クラウドPBXは、コスト削減や業務効率化、柔軟な働き方の実現につながることから、注目を集めている電話システムです。
とはいえ、実際導入するには事前準備や注意点をおさえる必要があるため「どのように進めればよいのかわからない」という声も少なくありません。
本記事では、クラウドPBXの概要から導入ステップ、失敗しないための注意点、事例などをわかりやすく解説します。初めてクラウドPBXを導入する方に役立つ内容になっていますので、最後までご一読ください。
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クラウドPBXを導入するメリット・デメリット
クラウドPBXは、インターネットを活用して電話機能を提供するサービスです。近年、コスト面や柔軟性の高さから多くの企業に導入が進んでいますが、メリットだけではなく注意すべきデメリットも存在します。
ここでは、導入前に知っておきたい代表的なメリット・デメリットをまとめました。
メリット | デメリット |
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クラウドPBXを導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、導入前にメリット・デメリットを把握して、自社にとって必要な機能や環境との相性を見極めることが重要です。それぞれの項目について詳しくは、以下の記事をあわせてご一読ください。

メリット・デメリットを理解したうえで気になるのは、費用面です。次は、企業規模別にクラウドPBXの導入にかかる費用感をみていきましょう。
導入前に知っておきたい!クラウドPBXにかかる費用とは?
クラウドPBX導入前に検討のポイントとなるのが「どれくらいの費用がかかるのか?」という点です。
ここでは、企業規模を3パターンにわけて目安を紹介します。
規模 | 初期費用相場 | 月額費用相場 |
---|---|---|
社員数が30人以下の場合 | 20,000~50,000円 | 10,000~15,000円+通信量+オプション料 |
社員数が50人以下の場合 | 30,000~50,000円 | 16,000~24,000円+通信量+オプション料 |
社員数が100人以下の場合 | 200,000〜300,000円 | 80,000〜120,000円+通信量+オプション料 |
上記のように導入費用は事業規模や必要な機能によって大きく変わります。
少人数の企業であれば、低コストかつシンプルな構成で導入できるケースが多く、クラウドPBXの導入ハードルは比較的低めです。一方で、多拠点運用やコールセンター機能の導入を想定すると、規模に応じた投資が必要となります。
ここで紹介した費用感を参考に複数のサービスを比較し、自社に最適なコスト設計を検討しましょう。
具体的な費用に関しては、以下の記事でまとめています。あわせてご覧ください。

失敗しない!クラウドPBXを導入するまでの基本5ステップ
ここからは、クラウドPBX導入をスムーズに進めるための手順5ステップと、運用開始時にしておきたいことを解説します。
- 必要な機材・インターネット環境を確認する
- 自社のニーズ・要件を整理する
- サービス比較・選定をおこなう
- 契約手続き・アカウント発行をする
- 初期設定・テスト通話をおこない運用を開始する
- 【導入後】運用開始時にしておきたいこと
では、みていきましょう。
1.必要な機材・インターネット環境を確認する
導入前の準備として、クラウドPBXに必要な機材・環境の確認が必要です。
クラウドPBXは、インターネット回線を使って通話をおこなうため、通信環境がそのまま通話品質に影響します。導入前に、社内のインターネット回線が安定しているか、通信速度や遅延が問題ないかを必ず確認しましょう。
あわせて、端末の準備も必要です。
▼例
- オフィス内:IP電話機
- コールセンター:PC+ヘッドセット
- テレワーク:スマートフォンやPC
私用スマートフォンの業務利用を想定している場合は、対応している機種やバージョンなどを確認しておきましょう。
さらに、現在使用している電話番号が引き継げるかもこの段階で確認しておくとスムーズです。
一般的にはNTTから取得した番号であれば同じ電話番号が使えますが、契約内容によっては引き継げないケースもあるため、事前の確認をおすすめします。
▼引き継げる電話番号例
- 市外局番:「03」「06」など
- フリーダイヤル:「0120」や「0800」など
2.自社のニーズ・要件を整理する
クラウドPBXサービスは多機能なぶん、目的や必要性が曖昧なまま導入すると、使わない機能にコストをかけてしまうことがあります。導入前に「なぜ導入したいのか」と目的を明確にし、自社に必要な要件を洗い出しておくと、その先のサービスの選定がスムーズになります。
整理しておく具体的なポイントは以下です。
▼整理したいポイント
- 利用する拠点数・ユーザー数(アカウント数)
- テレワークでの利用有無や比率
- 通話の用途(社外対応が多い・社内内線中心など)
- どのような+αの機能が必要か(例:代表番号対応、内線転送、IVR、録音機能など)
- 必要な外部連携(CRM、チャットツールなど)はあるか
ここで整理した要件をもとに、サービス選定へと進みます。
3.サービス比較・選定をおこなう
サービス比較は、料金だけではなく、通話品質や導入後のサポート体制まで含めた総合的な判断が必要です。
判断材料になりやすいポイントを以下にまとめました。
▼検討すべきポイント
- 通話品質・安定性・音声遅延の有無
- 初期費用・月額費用・契約条件(縛り・解約金など)
- セットアップ支援・カスタマーサポート体制
- セキュリティ対策
- 導入事例や口コミ
とくに事例は、自社と同じ業種や規模の企業の実績があるサービスを選ぶと、導入後のイメージがしやすく安心です。
4.契約手続き・アカウント発行をする
サービスを決定したら、正式に契約を結びます。契約が完了すると、管理者アカウントや初期設定用のID・パスワードなどが発行されます。
あわせて、新しい電話番号の取得や、既存番号を引き継ぐ場合は番号ポータビリティの手続きが必要です。既存番号の引き継ぎには、場合によって数週間から1か月程度かかることもあるため、余裕を持って進めましょう。
5.初期設定・テスト通話をおこない運用を開始する
契約手続きを終えたら、導入したクラウドPBXの設定をおこないます。
▼設定例
- 代表番号・内線番号
- IVR(音声ガイダンス)や営業時間
- 各端末へのアプリインストール・設定
設定が完了したら、実際に通話テストをおこない、音質や転送機能などが正しく動作しているかを確認しましょう。
社員への周知やテスト運用を経て、正式に社内展開します。
▼社員への周知
- 社員向けに簡単な使い方マニュアルやQ&Aの作成
- トラブル時の対応窓口・フロー共有
- 問い合わせ窓口の案内
- プレ運用スタート
トラブル防止のため、正式運用に入る前に、一部の部署でプレ運用を実施すると、現場のフィードバックを得ながら細かい修正が可能です。
【導入後】運用開始時にしておきたいこと
運用が始まった後も、業務にクラウドPBXを定着させるための継続的な改善が欠かせません。
▼運用開始後にやること
- 社内ルールの整備(問い合わせ対応、転送の運用など)
- マニュアルの定期的な使い方の見直しやアップデート
- 利用状況・効果の確認(定量/定性)
このように、クラウドPBXは導入して終わりではなく業務にしっかりと根付かせるためには、継続的な改善・活用が必要です。現場の運用にズレや負担が生じると、せっかくの機能が十分に活かされず、かえって業務効率を下げてしまうおそれがあるため、実際の利用状況や課題をふまえて見直しを重ねていきましょう。
導入までの基本ステップは以上です。続いて、クラウドPBXを安心して導入するために覚えておきたい「5つの注意点」をみていきましょう。
クラウドPBXをスムーズに導入するための注意点5つ
クラウドPBXの導入を成功させるには、基本ステップを踏むだけではなく、事前に注意すべきポイントをしっかり把握しておくことが大切です。
ここでは、導入時によくある失敗をふまえた注意点を解説します。
- インターネット回線の品質を事前に必ず確認する
- 通話に必要な端末・アプリがすべて対応しているか確認する
- 電話番号の取得・移行に時間がかかることを見越して動く
- 社員向けマニュアルや運用ルールを事前に整備しておく
- 導入後すぐに本格運用せず、試験期間を設ける
ひとつずつ解説します。
1.インターネット回線の品質を事前に必ず確認する
▼失敗例
社内テストで問題なかったためそのまま導入したが、特定の時間帯のみ回線速度が著しく低下し、通話が頻繁に途切れるトラブルが発生した
クラウドPBXの通話品質は、インターネット回線の安定性に大きく左右されるため、回線の品質=通話品質といっても過言ではありません。導入前には必ず、通信速度や安定性を確認しましょう。
場合によっては、社内ネットワークの見直しやWi-Fi環境の改善、回線の増強を検討する必要があるため、デモが用意されている場合は実際にさまざまな時間帯・拠点での通信状況をチェックしておくことが重要です。
2.通話に必要な端末・アプリがすべて対応しているか確認する
▼失敗例
社員が使っている古いスマートフォンでは、クラウドPBXアプリがインストールできなかった
クラウドPBXは、IP電話機・PC・スマートフォンなどさまざまな端末で利用できますが、端末やOSによっては非対応や動作不安定な場合があります。
とくにスマートフォンの場合、古い機種ではインストールできない・動作しないなどの問題が起こりやすいです。事前に「誰が、どの端末で、どこで使うか」を想定し、使用予定端末が動作保証されているかを確認しておきましょう。
ヘッドセットやマイクの接続形式(USB/Bluetooth)も、使用環境によっては使用できない場合もあるので、環境に合ったものを選んでください。
3.電話番号の取得・移行に時間がかかることを見越して動く
▼失敗例
番号の移行期間が想定より長く、一時的に仮番号で運用せざるを得なくなり、顧客に混乱を与えてしまった
続いて気をつけたいのが、電話番号の移行期間です。新規番号取得は即日〜数日でおこなえますが、電話番号の継続利用を希望する場合は、「番号ポータビリティ」の手続きに1〜2か月程度かかることがあります。
クラウドPBXの導入は、単なるシステムの切り替えではなく、業務フロー全体に関わるプロジェクトです。内線番号の設定、通話履歴の管理、FAXの設定など、細かな業務の再構築も同時に進める必要があるので、「いつ、誰が、何をするか」を明確にした導入スケジュールを立て、段階的な移行を心がけましょう。
4.社員向けマニュアルや運用ルールを事前に整備しておく
▼失敗例
テレワーク社員がアプリの初期設定に戸惑い、設定ミスで通話ができない状態になった
新しいシステムに対する社員の理解が浅いと、導入直後に社内で混乱が起きやすくなります。社内の混乱を避けるためにも、あらかじめ、操作方法・運用ルール・トラブル時の対応方法などをまとめたマニュアルやQ&Aを整備しておきましょう。
操作方法は紙のマニュアルを配布するだけではなく実際の操作を動画で見せると、より正確に伝わりやすく効果的です。
5.導入後すぐに本格運用せず、試験期間を設ける
▼失敗例
正式運用を急いだ結果、利用者から「通話がつながらない」「転送されない」という問い合わせが相次ぎ、サポート体制が整っていなかったため対応が後手に回って混乱を招いた
クラウドPBXは柔軟な反面、設定や運用の自由度が高いため、導入直後に想定外のトラブルが発生することがあります。そこで、いきなり全社展開するのではなく、数日〜1週間程度のテスト運用期間を設けて実際に使ってみるのがおすすめです。
部署単位など少人数から運用を始めると、運用ルールの最終調整や設定ミスの修正もスムーズに進められます。
以下の記事でも、運用コストや操作性などの失敗例から、押さえておくべき対策を紹介しています。詳細が気になる方は、あわせてご覧ください。

以上が、クラウドPBXをスムーズに導入するために覚えておきたい5つの注意点です。次は、実際に導入した企業の成功事例を紹介します。より具体的なイメージを深めていきましょう。
クラウドPBX導入で業務はどう変わった?成功事例3つ
実際にクラウドPBXを導入した企業・自治体では、業務効率化やコスト削減、柔軟な働き方の実現など、さまざまな成果が生まれています。
- クラウドPBXでPBX管理の維持負担がゼロに!
- クラウドPBX導入で柔軟な業務対応とBCP対策を実現!
- 約1年かけて回線構成を見直し、従来コストでスマホ内線を構築
どの事例も、導入の背景や課題、導入後の変化がわかる事例です。それぞれ、みていきましょう。
1.クラウドPBXでPBX管理の維持負担がゼロに!
製造現場での拠点間連携を効率化するため、クラウドPBXを導入したカルビー株式会社様の事例です。
同社は、「各拠点でのPBX機器の維持管理や有線設備を設置できない拠点がある」ことに課題を感じていました。
クラウドPBXにすることで、PBX機器の管理負担がゼロになり、運用コストも約30%削減されたそうです。
さらに、携帯電話の内線化により、どこにいても社内通話が可能になり、現場業務が効率化。現場の連携スピードが向上し、生産支援の効率が飛躍的に改善されました。
クラウドPBXを導入した結果、製造現場の騒音下でも音質もクリアで問題なく使用できています。
参考:カルビー株式会社様 クラウドPBX/製造/業務効率化|導入事例|法人向け|KDDI株式会社
2.クラウドPBX導入で柔軟な業務対応とBCP対策を実現!
続いて「BOTANIST」「SALONIA」などを展開する、株式会社I-ne様の事例です。同社の導入前の主な課題は、以下です。
- オンプレミスPBXの老朽化・維持コストの増加
- 組織変更や席替えのたびに、電話設定を業者に依頼する手間とコスト負担
- 台風・障害などによる業務停止リスク
クラウドPBXの導入後、社内で内線・外線設定を変更できるようになり、業務スピードと柔軟性が向上しました。さらに、災害時にも在宅勤務体制で即時受電が可能になるなど、BCP対策にもつながっています。
株式会社I-ne様の事例は、成長スピードにあわせて柔軟に拡張できる電話環境が整った好例といえます。
参考:株式会社I-ne | クラウドPBXの導入事例 | 「INNOVERA」イノベラ
3.約1年かけて回線構成を見直し、従来コストでスマホ内線を構築
最後に自治体がクラウドPBXを導入した事例です。
宮城県大崎市では、本庁舎の移転とPBXの更新をきっかけに、固定電話からスマートフォン内線への切り替えを実施しました。
導入前は、固定電話中心の環境では外出中の職員との連絡が取れなかったり、災害時にPBXの故障で一時的に業務が停止したりするなどのトラブルがあったそうです。そこで、約1年かけて社内調整・回線の構成見直しなどをおこない、従来と同等の費用でスマートフォンの内線化を実現しました。
クラウドPBXの導入後は、個人のスマートフォン使用が不要になり、セキュリティ強化につながるなどの効果も生まれています。
参考:宮城県大崎市 | ConnecTalk | 導入事例 | 公共 | 法人向け | ソフトバンク
また、以下の記事では他にもさまざまなタイプの導入事例を紹介しています。よろしければご一読ください。

ここまで、クラウドPBXの導入で得られるメリットや注意点、導入事例をみてきましたが、「結局どのサービスを選べばいいの?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
次の章では、通話機能に加えて電話業務効率化と顧客対応の品質を高める、多機能なクラウド電話「カイクラフォン」を紹介します。
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まとめ:入念に準備をしてクラウドPBX導入をスムーズに成功させよう
クラウドPBXは、コスト削減・業務効率化・柔軟な働き方の実現など多くのメリットをもたらします。一方で、導入には準備と計画が欠かせません。
まずは、自社の導入の目的や必要な機能を明確にし、自社に合ったサービスを検討しましょう。しっかりと準備を整えれば、クラウドPBXの利便性を最大限に活用でき、トラブルなく運用できます。
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