近年、社会問題となっているカスタマーハラスメント(カスハラ)に対し、努力義務ではなく、企業として取り組むことが法律で義務化される時代になりました。
とくに自動車業界は、本体価格が高額であることから顧客側に「丁寧にされて当然」という意識が生まれやすく、不満が感情的なクレームへ発展しがちな業界です。カスハラ対策が遅れると、最前線で顧客対応する営業担当やサービスフロントの離職やメンタル不調、法的なリスクにもつながりかねません。
この記事では、自動車ディーラーや整備工場が今すぐ取り組むべき具体的なカスハラ対策を、実際の事例を交えながらわかりやすく解説します。
カスタマーサクセス領域における業務改善のプロフェッショナル。株式会社シンカのマネージャーとして、3000社以上の「カイクラ」導入企業を支援するチームを統括。担当業務の多様化・複雑化に伴う「タスクの抜け漏れ」や「業務の属人化」といった、多くの企業が抱える課題に対し、ITツールを活用した業務プロセスの抜本的な再構築を主導。現場の課題解決から事業成長までを幅広く支援する、電話コミュニケーションDXのプロ。
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▲従業員と企業を守るための具体的な対策を解説
カスハラ対策が急務になっている理由

まず押さえておきたいのは、カスハラ対策は推奨される任意の取り組みではなく、企業として取り組むことが義務である点です。
2025年6月11日に公布された労働施策総合推進法の改正では、顧客などからの著しい迷惑行為への対応体制整備の義務化が盛り込まれました。義務化の施行は公布から1年6か月以内を予定しているため、企業にとってカスハラ対策は「いつかやる」ではなく、今すぐ対応すべき課題となっています。
自動車業界がとくにカスハラの影響を受けやすい理由は、高額商材であることです。数百万円の買い物になることも珍しくなく、「これだけ払っているのだから特別扱いしてほしい」などの心理が働きやすくなります。
点検、車検、保険、乗り換えなど、顧客との関係は長く続くため店舗側が強く断りにくい構造や、半導体不足や輸送遅延など営業やサービスフロントではどうにもならない事情もカスハラにつながりやすい要因です。
自動車業界に合ったカスハラ対策が今すぐ知りたい方は、自動車ディーラー・整備工場に必須!カスハラ対策7つをチェックしてみてください。
法改正の詳しい内容については、以下の記事でも詳しく解説しています。法律の内容は複雑ですべてを一気に理解することは難しいので、以下の記事もあわせてご覧ください。

カスハラ対策が急務になっている理由について確認したところで、ここからは実際に現場で起きやすい代表的なカスハラ事例を整理していきます。
自動車業界で実際に起きている代表的なカスハラ事例4つ

自動車業界で起きやすいカスハラは、大きく次の4つに分けられます。
- 納期遅延・部品欠品への激しい要求
- 車両価格や修理費への過度な値引き要求
- 長時間の電話・居座り行為
- SNSや口コミによる威圧
これらは特別な店舗だけで起きるものではありません。どのディーラーや整備工場でも起こり得る、日常的なリスクです。
顧客が「今日中に持ってこい」「損害を払え」など強い口調で責任を追及したり、「他社はもっと安い」「本社に言うぞ」と価格交渉をヒートアップさせるケースが後を絶ちません。電話で1時間以上拘束されたり、ショールームに長時間居座られたりすることで業務が止まるリスクも常にあります。
「SNSに書き込む」「口コミで評価を下げる」といった発言による圧力も増えており、現場が萎縮してしまうケースも見られます。
自動車業界は、顧客との最初の接点が電話ではじまることが多いという特徴もあります。
以下の記事では、電話対応の現場で発生した実際の企業のカスハラ対応事例を紹介しています。電話対応が多い自動車ディーラーとの共通の課題も多いので、カスハラを未然に防ぐ対策を検討する際は、ぜひ参考にしてみてください。

ここまではカスハラの事例を紹介しましたが、具体的にどのような対策をすべきなのでしょうか。ここからは、自動車業界でとくに重要な7つのカスハラ対策を紹介します。
自動車ディーラー・整備工場に必須!カスハラ対策7つ

自動車業界として整備するべきカスハラ対策は、以下7つです。
- カスハラ対策マニュアルを作成する
- マニュアルに基づいて社員研修をおこなう
- クレームとカスハラを区別できる基準を決める
- カスハラに対応できる体制を整える
- 従業員の安全を確保できる体制を作る
- 当時の状況を確認できる環境を整える
- 専門家に連携できる体制を作る
1.カスハラ対応マニュアルを作成する
まずは、会社としての基本方針を明文化することが第一歩です。現場で顧客対応をする営業担当やサービスフロントが、カスハラの迷惑行為に遭った際の対応や対策を統一するために、マニュアルには以下を盛り込みます。
- 基本姿勢
- 報告・相談フロー
- 初期対応の流れ
- 想定ケース別の対応例
「損害を払えと言われた場合」「本社に言うぞと言われた場合」など具体的な文例があると、現場で活用しやすくなります。
マニュアルは作って終わりではなく、現場の声を反映しながら定期的に見直すことも大切です。以下の記事では、厚生労働省のガイドラインを自社のマニュアルに落とし込む際のポイントを紹介しています。
マニュアルの内容を検討する際に、ぜひ参考にしてみてください。

2.マニュアルに基づいて社員研修をおこなう
マニュアルを作成しても、現場に浸透していなければ十分に活用することはできません。
とくにディーラーでは新入社員がいきなり店舗へ配属されてお客様対応にあたるケースも多いため、新人研修の段階からカスハラ対応の基本を組み込んでおくことが重要です。
研修方法としては、過去の通話録音データを教材として活用する方法も有効です。
ただ録音を活用するだけではなく、店長やサービスフロント責任者など、階層別に研修内容を分けると、「こんなときはこう対応する」「全社で対応を共通化する」など、エスカレーション時の判断力も底上げできます。
以下の記事では、電話対応研修をより充実させるためのポイントを紹介しています。社員研修に電話対応研修を組み込むことを検討している方は、参考にしてみてください。

3.クレームとカスハラを区別できる基準を決める
自動車業界は高額商品を扱うため「高い買い物をしたのだから当然」という心理から、顧客の主張がエスカレートしやすく、正当なクレームとカスハラの線引きが曖昧になりがちです。
基準がないと、理不尽な要求にも応じてしまったり、逆に正当なクレームをカスハラ扱いしてしまうリスクがあります。
「主張内容に正当性があるか」「要求手段は妥当か(暴言・威圧・長時間拘束がないか)」などの観点で判断基準を定め、マニュアルに明記しておくと現場の迷いを減らすことができます。
クレームとカスハラの違いや見分け方は、以下の記事で詳しく解説しています。カスハラとクレームでは現場での対応もそれぞれ異なるので、ぜひ確認してみてください。

4.カスハラに対応できる体制を整える
自動車ディーラーでは、営業担当が顧客と1対1で接する場面が多いため、カスタマーハラスメントを受けても「自分の担当だから」と一人で抱え込んでしまいがちです。
そのため、カスハラに組織として対応できるように、具体的なエスカレーション基準を決めましょう。
▼具体的なエスカレーション基準例
- 同じ要求が2回以上繰り返された
- 暴言があった
- 対応時間が30分を超えた など
判断基準を現場の従業員に共有しておくことで、現場の迷いや我慢を減らすことができます。
さらに、店舗単位で対応を完結させるのではなく、本部やエリア単位で情報を共有する仕組みを整えることも大切です。
同様のトラブルを他店舗で繰り返さないためにも、事例を蓄積・共有し、組織全体で再発防止につなげる体制づくりが求められます。
5.従業員の安全を確保できる体制を作る
カスハラのなかでも、暴力行為や威嚇が伴う場合は、何よりも従業員の安全確保を最優先に考える必要があります。
自動車ディーラーのショールームは開放的な空間が多く、居座りや威圧行為が起こりやすい環境でもあるため、あらかじめ対策を整えておくことが重要です。
▼具体的な対策例
- 上司がすぐに対応を引き継げるエスカレーションフローをあらかじめ明確にしておく
- 居座りや威圧行為が続く場合の警察への通報基準を社内で共有しておく
- 対応は必ず複数名で行い、従業員が一人にならない体制を整える
- 商談スペースに防犯カメラを設置し、映像記録が残る環境をつくる
- 名札はフルネームを避けるなど、従業員の個人情報を守る工夫をする など
さらに、カスハラを受けた従業員へのフォロー体制も欠かせません。
産業医やカウンセラーに相談できる環境を整えるなど、メンタルケアまで含めた安全対策を講じることで、安心して働ける職場づくりにつながります。
6.当時の状況を確認できる環境を整える
カスハラ対応では、「言った・言わない」の水掛け論に発展するケースが非常に多く見られます。とくに電話対応の機会が多い自動車ディーラーでは、通話内容を記録できる環境づくりが欠かせません。
電話の自動通話録音を導入して証拠を保全しておくことで、万が一のトラブル時にも事実確認がスムーズになります。また、「この通話は録音されています」といった事前アナウンスをおこなうことで、カスハラの抑止力としても機能します。
録音データや対応履歴は、問題発生時の確認だけでなく、社内研修の教材として活用することもでき、再発防止や対応力向上にもつながります。
7.専門家に連携できる体制を作る
脅迫的な言動や店舗への繰り返しの押しかけなど、社内対応だけでは対処しきれない悪質なカスハラも存在します。そのため、あらかじめ専門家と連携できる体制を整えておくことが重要です。
具体的には、法的対応を相談できる弁護士、暴力や脅迫があった場合に連絡できる警察、そして従業員のメンタルケアを担う産業医やカウンセラーなど、役割ごとに相談先を明確にしておきます。
「必要なときにすぐ相談できる先がある」という状態は現場の安心感につながるだけでなく、「当社は法的対応も含めて組織として対応します」と明示することで、加害行為への抑止力にもなります。
なお、ここまでに紹介した対策の詳細は、以下の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

電話対応が多い業種では、通話録音機能や文字起こし、通話内容をAIで要約できるシステムを導入しておくと、カスハラ発生時に迅速な事実確認が可能です。
ここからは、カスハラ対策に有効なシステムを紹介します。
自動車業界でのカスハラ対策には「カイクラ」がおすすめ

自動車業界でのカスハラ対策を強化するなら、通話記録を軸に対応を可視化できる「カイクラ」の活用がおすすめです。
カイクラは全通話録音と自動文字起こしに対応しており、トラブル発生時の証拠保全がスムーズになります。
さらにAI要約機能があるため、実際に通話をすべて聞き直さなくても状況を素早く把握でき、上長やチームへの情報共有の遅れによる二次クレームの防止にもつながります。

AI感情ラベリング機能により、通話中の感情の変化を可視化できるため、トラブルの予兆を早期に察知することが可能です。

カスハラ判定機能を活用すれば、その対応が通常のクレームなのか、それともカスハラに該当するのかを判断しやすくなります。

カイクラは電話だけでなく、メール・SMS・LINEなどの履歴も一元管理できるため、クレーム対応にとどまらず、日常業務の効率化にも貢献します。
カスハラ対策から日常業務の効率化まで対応でき、ナンバー認証システムとしても活用されているカイクラの詳細は、以下からご確認ください。
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自動車業界に強い「カイクラ」とは?
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顧客満足度も向上!自動車業界のカイクラ導入事例

岐阜ダイハツ販売株式会社様は、カイクラを導入したことで、カスハラ対策だけでなく、顧客満足度の向上にもつながりました。
カイクラを導入し、実感した効果を以下のように挙げています。
- 電話がかかってきた際にポップアップでお客様の情報が表示されるので、受電時に担当者がスムーズに対応できるようになった
- 通話履歴やメモ機能によって過去にどのスタッフがどのような対応をしたのかがすぐにわかり、情報の確認に手間がかからなくなった
- そのためスタッフからも「安心して電話対応できるようになった」との声が挙がっている
着信時に過去の対応履歴がすぐ確認できると、現場の従業員は「過去にカスハラ行為をおこなっている顧客なので慎重に対応しよう」「この顧客は現在カスハラ対応中なので上長が対応する」といった判断ができます。
カイクラでは、電話着信と同時に顧客情報や過去のやり取りがポップアップ表示されるため、状況把握が非常にスムーズです。
対応前に顧客の詳細を把握できることで、担当変更時の引き継ぎ漏れや折り返し連絡の行き違いといったミスも減り、結果としてトラブルの未然防止やカスハラ防止にもつながっています。
「システムの使いやすさもカイクラの大きな魅力だと感じています。(中略)カイクラは直感的に操作できるため特別なITスキルを必要とせず、すぐに現場で浸透させることができました。
特に、電話がかかってきた際に顧客情報がポップアップで表示される機能は、電話を受けた瞬間に誰がかけてきたのかがわかり、対応が的確に行えるため、顧客との信頼関係の構築や満足度の向上にもつながっていると思います。」
このように、カイクラはカスハラ対策に有効であるのはもちろんのこと、日々の顧客対応の質を高め、信頼関係の構築を支える基盤としても活用されています。
まとめ:自動車業界のカスハラ対策は仕組み化が鍵

自動車業界は、営業担当やサービスフロントが顧客対応の最前線に立つ業界です。だからこそ、個人の対応力に任せるのではなく、方針の策定や対応フローの整備、記録体制の構築といった「組織で守る仕組み」が欠かせません。
とくに電話対応は、「言った・言わない」の認識違いや折り返し連絡の漏れなどがトラブルの起点になりやすく、通話内容を可視化することがカスハラ対策の第一歩になります。自動通話録音などの機能を備えたシステムの導入は、有効な対策のひとつです。
カイクラなら、全通話の自動録音からAI文字起こし・感情分析・カスハラ判定まで一気通貫で対応できます。「言った・言わない」のトラブルを防ぎながら、上長や他部署への情報共有もスピーディになり、現場の担当者が一人で抱え込まずに済む体制づくりに活用できます。
カスハラ対策に有効なカイクラの機能について詳しく知りたい方は、以下からぜひ確認してみてください。
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