カスタマーハラスメントは、対応マニュアルを用意するなど従業員が適切な対処ができる環境を作ることで、トラブルの拡大を防げます。
またトラブルを最小限に収めれば、従業員の受けるストレスが少なく済み、離職防止にもつながります。
しかし、実際にカスタマーハラスメント対応マニュアルを作ろうとすると、「何から手を付ければ良いのか」「どの項目を盛り込めば良いのか」と悩んでしまう方も少なくありません。
そこでこの記事では、カスタマーハラスメント対応マニュアルを作る際のポイントや、上手く活用するコツを解説します。カスタマーハラスメントへの具体的な対応策や事例もお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
カスタマーハラスメントに備えるには、企業として講じるべき対策を把握しておくと、迅速に対応できるためおすすめです。
シンカでは、社労士監修のもとカスタマーハラスメントとクレームの違いや、対応フローの一例などをまとめた資料をご用意しています。資料が手元にあれば、マニュアル作成時や対応フローの検討時にすぐ参照できます。気になる方は以下よりダウンロードし、お手元でご確認ください。
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▲従業員と企業を守るための具体的な対策を解説
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは
カスタマーハラスメント(略称:カスハラ)とは、顧客などからの迷惑行為です。対象は顧客だけではありません。サービスをまだ利用していない人からの迷惑行為も、カスタマーハラスメントに該当します。
厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」によれば、過去3年に従業員からハラスメントの相談を受けた企業のうち、92.7%がカスタマーハラスメントを経験していました。
カスタマーハラスメントは、多くの企業が直面する課題であり、対策は必須です。この項目では、カスタマーハラスメントの対策を効果的におこなうために、以下を解説します。
- 事例
- クレームとの違い
- 企業が対策すべき理由
とくにカスタマーハラスメントと正当なクレームは、明確に区別する必要があります。両者を混同しないように、違いをしっかりと押さえましょう。
カスタマーハラスメントの事例
まずは、カスタマーハラスメントの事例にどのような内容があるのか押さえておきましょう。カスタマーハラスメントの事例を知っておけば、現実に発生した際に「これはハラスメントである」と判断でき、対処しやすくなります。
カスタマーハラスメントの具体的な事例は、下記のとおりです。
- 業務に支障が出るほど、長時間拘束される
- 罵詈雑言を浴びせられる
- 過剰な謝罪要求(土下座の強要・サービスの値下げ)をされる
- 机を叩いたり、ものを壊したりなど、脅迫行為をしてくる
- SNSを使った嫌がらせをする
暴言や脅迫は犯罪に該当する場合もあり、毅然とした態度で対応しなければなりません。
「自社で受けた迷惑行為がカスタマーハラスメントに該当するかわからない」方に向けて、以下の記事ではほかの事例も詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
カスタマーハラスメントと正当なクレームの違い
次に、カスタマーハラスメントと正当なクレームの違いを把握しましょう。
カスタマーハラスメントとクレームは混同されるケースも多いですが、明確な違いがあります。以下の図では、カスタマーハラスメントとクレームの違いを表しました。
おおまかに区別すると、下記のように定義できます。
- クレーム:顧客等からの企業に対する主張・請求
- カスタマーハラスメント:顧客等からの迷惑行為
なお、厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」では、カスタマーハラスメントを下記のように定義していました。
顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為
具体的には、下記のケースに該当すると、カスタマーハラスメントと判断されます。
- 精神的な攻撃
- 身体的な攻撃
- 性的な言動
- 継続的もしくは執拗な言動
- 拘束的な言動
たとえば「商品が壊れていたので直してほしい」は正当なクレームですが、「誠意を見せて土下座しろ」「個人情報をSNSで拡散してやる」などはカスタマーハラスメントです。
より詳しい具体例は、下記の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。
カスタマーハラスメント対策が必要な理由
企業がカスタマーハラスメント対策をおこなうべき理由は、下記のとおりです。
- 従業員の心身を守るため
- ほかの顧客に配慮するため
- 自社のイメージダウンを防ぐため
まず、企業には従業員の心身を守る義務があります。労働契約法の第5条では、企業は「労働者への必要な配慮」をおこなうことが義務であると明示されています。
また、カスタマーハラスメントを受けた従業員は、肉体的・精神的にダメージを負うため、退職リスクが上がる点も軽視できません。従業員が退職した結果として人手不足に陥れば、企業にとっても損失が大きいです。
次に、カスタマーハラスメントに居合わせたほかの顧客が怯えたり、不快に思ったりすると、自社サービスに対する満足度が下がってしまう恐れもあります。
加えて、事実ではないことをインターネットやSNSで拡散されると、自社のイメージダウンにつながってしまいます。
企業がカスタマーハラスメント対策をおこなうべき理由は、下記の記事でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
以上のリスクを避けるために、日頃からカスタマーハラスメント対策に取り組んでおきましょう。
カスタマーハラスメント対策は現場での対応が鍵を握るため、従業員全員がある程度の対処ができるよう、マニュアルを用意しておくのが有効です。次からは、カスタマーハラスメント対応マニュアルを作る際のポイントを解説します。
カスタマーハラスメントの対応マニュアルを作る際のポイント5つ
カスタマーハラスメントの対応マニュアルを作る際のポイントは、下記の5つです。
- 厚生労働省のマニュアルを参考にする
- カスタマーハラスメントへの基本方針を決める
- 対応の手順を決める
- 相談窓口を設置する
- 社内研修をおこなう
あらかじめポイントを押さえておけば、カスタマーハラスメントへの対応をよりスムーズに決められます。それぞれ詳しくみていきましょう。
【ポイント1】厚生労働省のマニュアルを参考にする
カスタマーハラスメントの対応マニュアルを作る際は、厚生労働省が公開しているマニュアルを参考にするのがおすすめです。
下記のマニュアルでは、会社が取り組むべきカスタマーハラスメント対策について、事例をまじえて具体的に解説されています。
参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」
とはいえ、厚生労働省のマニュアルは、飲食業界や小売業界での使用を想定しており、自社で活用するには内容を整えなければなりません。
マニュアルは、主に想定しているのは飲食業界や小売業界等の企業向けのものだが、特定の業界に特化した内容にすることは考えていない。業界としてそのまま使えない場合は、今回作成するマニュアルを参考にして、特定の業界向けに作成するといった使い方をしていただければと考えている。
厚生労働省のカスタマーハラスメント対応マニュアルをベースにしつつ、自社の業界や事例を加え、オリジナルの内容を作りましょう。
次の項目からは、厚生労働省のマニュアルを踏まえて、自社にあったマニュアルを実際に作る際のポイントを解説します。
【ポイント2】カスタマーハラスメントへの基本方針を決める
マニュアルを作る際は、最初に会社のトップがカスタマーハラスメントへの基本方針を決め、従業員に周知します。「カスタマーハラスメントから従業員を守る」と明確にすれば、従業員も安心して業務に集中できるためです。
厚生労働省は、カスタマーハラスメントの対応マニュアルで、以下の基本方針を定めることを推奨しています。
- カスタマーハラスメントの内容
- カスタマーハラスメントは自社にとって重大な問題である
- カスタマーハラスメントを放置しない
- カスタマーハラスメントから従業員を守る
- 従業員の人権を尊重する
- 常識の範囲を超えた要求や言動を受けたら、周囲に相談して欲しい
- カスタマーハラスメントには組織として毅然とした対応をする
出典:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」P22
基本方針を決めるだけではなく、従業員に周知し、教育することが重要です。上層部のみが基本方針を共有していても意味がないため、必ず従業員全員に周知しましょう。
クレームのなかには会社として真摯に対応するべき内容もあります。誤ってハラスメントとして処理しないためにも、基本方針では「カスタマーハラスメントと、対応するべきクレームの違い」を明確にしておきましょう。
【ポイント3】対応の手順を決める
カスタマーハラスメントが発生したときの対応手順を決めておくと、スムーズに行動できます。
現場監督の立場にある従業員がいない状況でも、アルバイトや一般従業員が対応できるように手順を決めましょう。ただし、相手から暴力・セクシュアルハラスメントを受けた場合は、速やかに現場監督者に状況を引き継ぎます。
対応フローの例は下記のとおりです。
- 限定的な謝罪をする
- 相手から情報を聞き取る
- 相手の意見の事実確認をおこなう
- 現場監督者か相談窓口に情報共有をおこなう
- 必要であれば本社・本部と連携して、弁護士・警察に相談する
冷静かつスピーディーに対処するために、従業員を1人にせず、必ず複数人で対応しましょう。
【ポイント4】相談窓口を設置する
カスタマーハラスメントの被害に遭ったときのために、従業員が迷わず相談できる窓口を設置するのも欠かせません。気軽に相談できる窓口がないと、従業員が1人で悩みを抱え込んでしまう可能性もあります。
相談窓口を設置したあとは、従業員がすぐ頼れるように、担当部署や担当者など窓口の詳細を周知しましょう。
窓口での対応者は、現場の状況を把握している従業員が望ましいです。被害に遭った従業員の話を否定せず、丁寧に傾聴する姿勢を持つことが重要です。
またカスタマーハラスメントに限らず、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントの被害にあった場合の窓口としても設置すれば、人事担当や法務担当との連携が取りやすくなります。
【ポイント5】社内研修をおこなう
カスタマーハラスメントが発生したとき、従業員が確実に対処できるように、社内研修をおこないましょう。
マニュアルは重要ですが、座学だけでは身につかないスキルやノウハウがあるのも事実です。事前に社内研修をおこなっておけば、カスタマーハラスメントへの実践的な対応が理解できます。
社内研修で教育したい内容は、以下のとおりです。
- カスタマーハラスメントとクレームの違い
- 対応の流れ
- 謝罪の方法
- 傾聴のコツ
- 事実確認の方法
- 記録の方法
- 実際の事例
研修は、アルバイトや一般従業員だけではなく、現場監督者などマネジメント層もおこないます。カスタマーハラスメントの初期対応は一般従業員がおこないますが、最終的にはマネジメント層が引き継ぐ場合も多いためです。
カスタマーハラスメントの研修は、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
社内研修では、クレーマー役と対応者役にわかれてロールプレイングをおこなうと、言葉遣いや表情など実践的な対応方法が身につき、効果的です。
とはいえ「そもそもクレーム電話がきたときの対応がわからない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
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ここまで、カスタマーハラスメント対応マニュアルを作る際のポイントを解説してきました。ただし、カスタマーハラスメント対応マニュアルは作るだけではなく、上手く活用してこそ意味があります。
次の項目からは、カスタマーハラスメント対応マニュアルを上手く活用するコツをみていきましょう。
カスタマーハラスメントの対応マニュアルを上手く活用する3つのコツ
カスタマーハラスメント対応マニュアルを上手く活用するコツは、以下の3つです。
- 誰でも読みやすく使えるマニュアルにする
- 事例を多く集めて記載する
- 内容を定期的に更新する
それぞれ詳しくみていきましょう。
【コツ1】誰でも読みやすく使えるマニュアルにする
カスタマーハラスメント対応マニュアルは、実際に活用できるように、誰でも読みやすく使える内容にすることが重要です。
読みやすくて使いやすいマニュアルを作るコツは、下記のとおりです。
まず、忙しい従業員が業務の合間に読んですぐに理解できるように、シンプルでわかりやすい内容を心がけます。
テキストで伝わりづらい場合は、動画にするのも有効です。さらに、全体像を素早く把握したいときは、フローチャートで記載するとわかりやすくなります。
また「カスタマーハラスメントが発生したが、マニュアルがどこにあるかわからない」状態を避けるために、従業員全員がいつでも見られるようにしておきましょう。紙での配布も手軽ですが、今後の更新やセキュリティ対策を考慮すると、オンラインで閲覧できる状態にしておくこともおすすめです。
マニュアルを見ても「特定の従業員に対応してもらわないと進まない」状態にならないために、誰でも簡単に実行できる内容にします。
一方で、詳細に記載しすぎるとかえって混乱する場合もあるため、シンプルでわかりやすい内容を意識しましょう。
【コツ2】事例を多く集めて記載する
カスタマーハラスメント対応マニュアルには、事例を多く集めて記載します。
過去の事例を集めてマニュアルに記載すれば、経験値が蓄積され、よりスムーズに行動できるためです。現場の従業員から過去のカスタマーハラスメント事例を聞き出し、マニュアルに反映させましょう。
カスタマーハラスメント対応マニュアルに事例を記載する際は、リスト形式にしておくと、閲覧するときに探しやすいです。カスタマーハラスメントが発生した理由や、対応の時系列順にまとめておくと、目当ての情報が見つけやすくなります。
【コツ3】内容を定期的に更新する
カスタマーハラスメントの対応時にノウハウが蓄積していくので、マニュアルの内容は定期的に更新しましょう。
対応が適切だったか振り返り、マニュアルに改善点を記載します。マニュアルを更新する時期もあらかじめ決めておくと、古い内容のまま運用してしまう事態を防げます。
カスタマーハラスメント対応マニュアルの内容を更新する際は、以下の点をチェックし、改善点を検討してください。
- カスタマーハラスメントの事例の内容
- カスタマーハラスメントの事例数の推移
- 対応者の感想 など
コロナ禍のように社会状況が大きく変化すると、クレームやカスタマーハラスメントの内容も変動します。社会の変化にあわせて、カスタマーハラスメント対応マニュアルも定期的に更新するのがおすすめです。
ここまで、カスタマーハラスメント対応マニュアルの作り方や、活用のコツをお伝えしてきました。とはいえ、「実際にどのような内容を作ればいいのかイメージできない」方もいるのではないでしょうか。
次からは、カスタマーハラスメント対応マニュアルを作成している企業事例をみていきましょう。
カスタマーハラスメント対応マニュアルを作成した事例4つ
カスタマーハラスメント対応マニュアルを作成・公開している事例として、以下の4つを紹介します。
- 株式会社シンカ
- 全日本自治団体労働組合総合労働局
- 神戸商工会議所
- 大阪府看護協会
それぞれの内容や、取り入れやすいポイントなどをみていきましょう。
【事例1】株式会社シンカ
株式会社シンカは、「ITで世界をもっとおもしろく」を経営理念としている会社です。
社労士事務所監修のもと、カスタマーハラスメント対策に関してまとめた資料を作成・無料で配布しています。資料に盛り込まれている内容は以下のとおりです。
- カスタマーハラスメント防止をめぐる世の中の動き
- カスタマーハラスメントの労災認定事例
- カスタマーハラスメントの定義、類型
- カスタマーハラスメントとクレームの違いとは
- カスタマーハラスメント対策に必要な対応実務
カスタマーハラスメント発生時の具体的な対応や対策を、フローチャートや図解、表を盛り込みながらわかりやすくかつ具体的にまとめているので「何から始めたらいいかわからない」という方にぴったりの内容となっています。
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▲従業員と企業を守るための具体的な対策を解説
【事例2】全日本自治団体労働組合総合労働局
「全日本自治団体労働組合」は、公共サービスに携わる人のための労働組合です。2023年2月に、カスタマーハラスメント対応マニュアルを発行しています。
同組合のカスタマーハラスメント対応マニュアルに盛り込まれている内容は、下記のとおりです。
- 自治体におけるカスタマーハラスメントの発生状況
- カスタマーハラスメントの定義
- カスタマーハラスメントの判断基準
- カスタマーハラスメントに係る犯罪
- 自治体当局への要求事項(自治体のトップがおこなうべき措置など) など
マニュアルに使われた資料のリンク先が貼られており、参照しやすい内容となっています。
さらに、カスタマーハラスメント対策のチェックリストが付いており、自社の状況を客観視できることもポイントです。
【事例3】神戸商工会議所
神戸商工会議所では、2023年2月にカスタマーハラスメント対策の冊子を発行し、会員へ配布しました。神戸商工会議所のカスタマーハラスメント対策の冊子に盛り込まれている内容は、下記のとおりです。
- カスタマーハラスメントの特徴
- カスタマーハラスメントへの対応のポイント
- 刑法の知識
- 組織的な体制を整備するポイント など
冊子には、カスタマーハラスメントに該当する可能性がある刑法が記載されています。現場でも「このような迷惑行為は〇〇罪に該当する可能性がある」と判断でき、落ち着いて対応しやすくなります。
また、カスタマーハラスメント対応時に使えるツール(防犯カメラ・ICレコーダーなど)を紹介しており、導入を検討しやすいです。
参考:神戸商工会議所
【事例4】大阪府看護協会
大阪府看護協会では、2022年6月に「訪問看護師のためのカスタマーハラスメント予防・対応ハンドブック」を公開しました。ハンドブックに盛り込まれている内容は、下記のとおりです。
- カスタマーハラスメントを予防する心構え
- カスタマーハラスメントの定義
- 現場での対応プロセス
- 予防対策 など
大阪府看護協会のハンドブックは、イラストや図表が多く、パッと見て概要がつかみやすい内容になっています。
被害者と管理者が取るべき行動や、報告書のフォーマットに盛り込むべき内容が書かれており、実践しやすいです。
参考:大阪府看護協会
ここまで、実際に企業ではカスタマーハラスメント対応マニュアルをどのように整備しているのか紹介してきました。
しかし、「そもそもカスタマーハラスメントにどのように対応すればよいのかわからない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。ここから、カスタマーハラスメントの対応策を紹介します。
カスタマーハラスメントの対応策7つ
カスタマーハラスメントの対応策は、以下の7つです。
- 謝罪から始め事実を確認する
- 落ち着いて対応する
- 通話の録音や録画で証拠を残す
- 必要なら上司が代わる体制を整える
- カスタマーハラスメントを受けた従業員に配慮する
- 法的措置を検討する
- マニュアルを更新する
カスタマーハラスメントの対応策を押さえておけば、実際に発生したときでも落ち着いた行動が取れますので、それぞれみていきましょう。
【対応策1】謝罪から始め事実を確認する
カスタマーハラスメントに対応する際は、謝罪から始めます。
会社として全面的に非を認めるのではなく「相手に不快感を与えてしまったこと」「手間をかけていること」にのみ謝罪します。この段階でカスタマーハラスメントが発生した理由を解決できなくても、謝罪を受けたことで相手が落ち着くケースもあるためです。
クレームやカスタマーハラスメントは相手が感情的になっている場合が多いため、対応するのにストレスがかかる人も少なくありません。しかし、早めに終わらせようとする態度は相手に伝わってしまいます。火に油を注ぐ恐れがあるため、時間をかける意識を持ちましょう。
謝罪をおこなったら、相手の話を聞いて事実を確認します。相手の話を聞く際は、下記のポイントをチェックしましょう。
- トラブルが発生した日時・場所
- トラブルの内容
- 不満な点
- 会社への要望
以上のポイントを聞き取り、「相手の話が事実なのか」「事実であるうえで、会社に非があるのか」も確認します。
なかには明らかに理不尽な内容や、従業員を脅すような発言をおこなうクレームもあります。そのような場合でも、安易に相手の要求を呑まず、毅然とした態度を取りましょう。
下記の記事では、悪質なクレーム電話に対応するポイントや、電話で使える例文も解説していますので、あわせてご覧ください。
【対応策2】落ち着いて対応する
カスタマーハラスメントに遭遇した場合でも、落ち着いて対応することが重要です。相手につられて感情的になると、事態がより悪化する恐れもあります。
感情的にならないためには、以下の行動を心がけると効果的です。
- 相手の発言をさえぎらずに最後まで聞く
- 相手の言葉を否定しない
- 相手に共感する相づちを打つ
- 会話の内容をメモに取る
- 要約しつつ対応する など
どのようなクレームが発生するか事前にある程度想定できていれば、カスタマーハラスメントを受けたときに取り乱すリスクを減らせます。
下記の記事では、クレーム電話の種類や適切なフレーズをまとめてありますので、あわせてご覧ください。
【対応策3】通話の録音や録画で証拠を残す
カスタマーハラスメントを抑止するには、通話の録音や録画で証拠を残しておくのが有効です。録音や録画を残しておけば、「言った言わない」のトラブル防止につながるほか、刑事告訴・裁判になった際の証拠にもなります。
なお、録音や録画の目的が「証拠を残すこと」のみである場合は、相手に伝える必要はありません。しかし、カスタマーハラスメントを抑止する目的がある場合は、事前に録音・録画している旨を伝えるのが有効です。
録音や録画がされているとわかれば、相手に「この発言は残っても問題ないか?」という意識がはたらくので、強い言葉を使いづらくなります。
電話対応で録音に反発されたときは、「正確な状況把握のために録音させて頂きます」「同意して頂けない場合は対応できかねます」と伝えましょう。
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【対応策4】必要なら上司が代わる体制を整える
カスタマーハラスメントへの対応をおこなう相手を、1人の従業員に任せきりにするのではなく、必要なときに上司や先輩が代わる体制を整えましょう。
従業員1人で解決しようとすると、負担が大きくなるためです。相手から感情的な言葉を長時間かけられると、恐怖や不安で従業員の判断力が低下してしまい、毅然とした態度を保てなくなる恐れがあります。また相手に対して下手に出てしまうと、トラブルの悪化につながりかねません。
カスタマーハラスメントの対応中は、別の従業員が隣に控え、すぐサポートできる体制をとると、対応している従業員も安心感を持てます。
上司や先輩など複数の従業員で対応し、トラブルが大きくなる事態を防ぎましょう。
【対応策5】カスタマーハラスメントを受けた従業員に配慮する
カスタマーハラスメントを受けた従業員は、強いストレスを受けている可能性があるため、十分な配慮が必要です。
強いストレスは健康状態に悪影響を及ぼすため、仕事のパフォーマンスが低下する恐れもあります。悪化すると離職・休職につながり、企業にとって大きな損失になります。
従業員をケアする方法の例は、下記のとおりです。
- 産業医や臨床心理士など専門家との面談
- 定期的なストレスチェック
- 同僚や上司とコミュニケーションを取る懇親会の開催 など
とくに懇親会の開催は、仕事の悩みを気軽に相談できる環境づくりにつながります。従業員同士でコミュニケーションが取りやすくなれば、カスタマーハラスメント対応時の協力もスムーズに進みやすいです。
【対応策6】法的措置を検討する
社内で解決できないほど悪質なカスタマーハラスメントの場合は、弁護士や警察に相談し、法的措置をとることも検討しましょう。とくに、暴行・ものを壊すなどの犯罪行為がおこなわれたときは、即座に警察へ通報してください。
また、カスタマーハラスメントがおこなわれた証拠を集めておき、弁護士を通じて加害者と交渉しましょう。普段から弁護士に相談できる体制を作っておくと、カスタマーハラスメントが発生した際もスムーズに行動できます。
【対応策7】マニュアルを更新する
カスタマーハラスメントの対応後は、企業や従業員の行動が適切だったか振り返り、マニュアルを更新しましょう。実際の事例を受けてマニュアルを改善すれば、より適切な対応が取れるようになります。
カスタマーハラスメント対応マニュアルを更新する際は、事例の正確な記録が欠かせません。
しかし、感情的になっている相手の対応をしているときに、冷静に記録することは難しい場合もあります。
また人力での記録は、記録漏れや思い違い・伝達のし忘れなど、ヒューマンエラーが起きる恐れもあります。そのため、客観的に事実確認ができる通話録音データを残しておくことは、カスタマーハラスメントの記録を残す際に有効です。
コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」を使えば、通話の自動録音のほか、文字起こしやAIによる要約が可能です。正確な記録や情報伝達ができるため、カスタマーハラスメントの対応もよりスムーズにおこなえます。
次の項目からは、カスタマーハラスメント対策にも有効なコミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」を紹介します。
カスタマーハラスメント対応マニュアルの作成時に事例を収集するにはカイクラがおすすめ
コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」は、通話を自動で録音できるため、カスタマーハラスメントの証拠を正確に残すことができ、対応マニュアルの作成時に有効です。
東邦オート株式会社様は、クレーム予防のために「カイクラ」の通話録音機能を活用しており、情報の聞き漏れ防止や事実確認に役立てています。正確な情報記録によって、「言った言わない」のトラブルが発生しなくなり、クレームが大きくなる事態を防げているとのことです。
「『言った言わない』という問題など、やはり人同士の会話ですので生じてしまいます。例えば、お約束していたご来店日時に関してや何らかの経緯の認識が曖昧になってしまうということが、どちらが悪いという話ではなく、思い違いが起こりうる可能性があります。しかし『通話録音』機能によって、そのような問題はなくなりました。会話内容を聞き返すことによって、記憶が定かではない部分を明確にし、改めてのご案内ができます。記録をしていることで大きなクレームにつながってしまうようなことを未然に防げるようになりました」(三箇氏)
「カイクラ」の通話録音機能は正確な情報把握に役立つため、カスタマーハラスメントの事例を収集し、マニュアルに記載する際に有効です。カスタマーハラスメント対応マニュアルの作成に寄与する「カイクラ」の資料は、以下からダウンロードできます。
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まとめ:カスタマーハラスメント対応マニュアルで従業員を守ろう
カスタマーハラスメント対応マニュアルを作る際は、厚生労働省のマニュアルを参考にしつつ、基本方針や対応手順を決めながら進めていくとスムーズです。
せっかく作成した対応マニュアルがただの置物にならないように、従業員全員がいつでも閲覧できるようにしておきましょう。
またカスタマーハラスメントに備えるには、マニュアルだけではなく、企業として対応する際の仕組みを作っておく必要があります。とはいえ、必要な対策は多岐にわたるため、把握しきれない方も多いのではないでしょうか。
シンカでは、企業が講じるべきカスタマーハラスメント対策や、対応フローの一例を解説した資料を配布しています。無料でダウンロードできますので、ぜひカスタマーハラスメント対策にお役立てください。
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