「ブライダル業界にDXの導入は可能なのだろうか」
と感じている方。
新型コロナウイルスの影響によるブライダル業界へのダメージは大きいです。2020年1~12月でブライダル業界全体の損失額は約8,500億円と推測されています。
結婚式というリアルの場に多くの友人や知人を招くことが難しいため、オンラインウェディングの開催を検討する人も少なくありません。
アフターコロナのウェディングを考えても、デジタル化を進めているブライダル企業が生き残っていく可能性が高いです。
とはいえ、ブライダル企業にどんなDXを導入すれば良いかはなかなかわかりにくいですよね。
そこで今回は
- コロナ禍の影響が深刻なブライダル業界ではDX化が急務
- ブライダル業界に導入できるデジタルトランスフォーメーションの具体例
- ブライダル業界をDX化する前に準備しておきたい3つのこと
- ブライダル業界でDX化に成功した企業の事例
- ブライダル業界におすすめのデジタルトランスフォーメーションツール3つ
を紹介します。
まずは新型コロナウイルスによるブライダル業界への影響をについて解説しますね。
コロナ禍の影響が深刻なブライダル業界ではDX化が急務
新型コロナウイルスの影響を受けて、大きな打撃を受けています。現状の危機を乗り越えるためにも、ブライダル業界にとってDX化の推進が必要です。
日本政府が定めるデジタルトランスフォーメーション(DX)の定義について、詳しくは「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?定義や事例、今後の課題など徹底解説」をご一読ください。
[clink url=”https://kaiwa.cloud/media/dx/about_dx/”]
ここからは、2020年度におけるブライダル業界の状況について
- 2020年度のブライダル業界の損失額は約8,500億円と推定
- ベストブライダルが発表した『感染防止対策ガイドライン』
の順に解説します。
2020年度のブライダル業界の損失額は約8,500億円と推定
公益社団法人「日本ブライダル文化振興協会」のアンケートによると、2020年1~12月でブライダル業界全体の損失額は約8,500億円と推測されています。
リアルの場での結婚式も徐々に再開されていますが、新型コロナウイルスの影響で結婚式を中止する夫婦も少なくありません。
そこで、オンライン結婚式の取り組みが徐々に広まりつつあります。
例えば、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念して結婚式の欠席を考えている人に向けてオンラインでの挙式を導入する夫婦が増えています。
リアルの場での挙式に参加するのは近くで暮らしている親族にとどめ、遠方の友人や感染リスクを懸念する人はビデオ会議アプリで招待。ご祝儀は投げ銭ができる電子決済アプリを活用することで完結できます。
出典:公益社団法人日本ブライダル文化振興協会「新型コロナウイルス感染症影響度調査結果」
https://www.bia.or.jp/wp-content/uploads/2020/10/d95722af211ff8c1239949332f3a8de9.pdf
ベストブライダルが発表した『感染防止対策ガイドライン』
全国でゲストハウスウェディングを展開している株式会社ベストブライダルが、「感染防止対策ガイドライン」を制定しました。
制定されたガイドラインには、コロナ禍でも結婚式が開催できる下記のような項目が記載されています。
【ベストブライダルが発表した感染防止対策ガイドライン】
- 消毒液の設置
- アルコール消毒液による拭き取り
- 消毒・殺菌対応の専用スタッフ巡回
- 非接触体温計による体温測定
- 殺菌作用のあるおしぼりの配布
- お客様間隔の確保
- 換気の実施
- 空気清浄機の設置
- スタッフのマスク着用
- スタッフのフェイスシールド着用
- 飛沫感染シールドの設置
- スタッフの健康管理
非接触によるサーマルチェックやソーシャルディスタンスなど、コロナ禍において必要な対策のガイドラインも制定されています。
出典:PRTIMES「【ベストブライダル】コロナ禍でも“安心・安全”の結婚式を叶える!接触感染、飛沫感染対策を強化した約100項目の「感染防止対策ガイドライン」を制定」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000595.000004975.html
ブライダル業界に導入できるデジタルトランスフォーメーションの具体例
続いて、ブライダル業界に導入できるデジタルトランスフォーメーションとして、
- 顧客管理システムの導入
- オンラインウェディング・ライブ配信
- 結婚式場における非接触や検温システム
の順に解説します。
具体例1:顧客管理システムの導入
ブライダル業界においても顧客管理システムは必要です。
例えば、結婚式や披露宴のプランニングを実施する企業では問い合わせの件数や来館者、成約数などの記録から、成果率を算出できます。
成果率から顧客のニーズを把握でき、自社のサービス向上につながるのです。
また、一度に複数の顧客とやりとりをすることが多いことから、あつかう情報の数も少なくありません。
顧客ニーズを正確につかんで的確な接客をするのであれば、顧客管理システムは必要不可欠といえるでしょう。
具体例2:オンラインウェディング・ライブ配信
新型コロナウイルスの影響を受けて、需要が拡大したのがオンラインウェディングです。
コロナ禍において、大人数をリアルの場に招待した上での結婚式は難しいです。特に遠方から知人や友人を招待する場合は、長距離の移動が必要となります。
しかし、新型コロナウイルスの感染状況によっては移動手段が制限されることも少なくありません。
そんな遠方の知人や友人のために結婚式の様子をライブ配信するオンラインウェディングを実施して、インターネットさえあれば結婚式に参加できる環境を提供します。
オンラインウェディングの参加者はネット決済サービスを利用して、ご祝儀を渡すことも可能です。
具体例3:リアルの場における結婚式開催時の非接触での準備
新型コロナウイルスの影響を考慮しながら、リアルの場で結婚式をする夫婦が増えています。結婚式の準備においても、非接触での対応が求められているのが現状です。
結婚式の準備における非接触での対応として、以下のようなものがあります。
【結婚式の準備における非接触での対応】
- リモート試着
- 非接触自動検温器
- QRコードを用いた受付
オンラインで結婚式ができると言っても、場の空気感まで共有することは難しいです。
規模を縮小してでもリアルでの結婚式を開催したいと考える夫婦も少なくありません。
安全に結婚式を実施するためのサービスは今度も増えてくることが予想されます。
ブライダル業界をDX化する前に準備しておきたい3つのこと
続いて、ブライダル業界においてDX化を始める前に準備しておきたいことについて
- DXに詳しい人材を確保しておく
- 社員に向けたDXに関する情報共有
- DXに割けるコストの確認
の順に解説します。
準備1:DXに詳しい人材を確保しておく
DX化の推進にはIT人材の確保が必要です。しかし、エンジニア人口の現象が著しく、現時点の予想では2030年に78.9万人の不足が予想されています。
企業の内でDXを推進するためにも、IT人材の育成が必要です。
また、IT人材が確保できたとしても適所に配置できなければ効果は薄いです。老朽化したシステムの改善にIT人材を充ててしまい、能力を活かしきれないケースも少なくありません。
IT人材を配置する前に社内の課題を明確にしておき、IT人材の能力を活かす準備をしておきましょう。
準備2:社員に向けたDXに関する情報共有
DXを推進する場合、社内全体でDXに対する意識を統一する必要があります。
特にDXを検討する上層部と実際に実行する現場で話し合いは必要です。双方の話し合いの上でDX推進をしなければ、意見の食い違いが起こってしまいます。
「DXを推進する理由」「具体的なDXの取り組み」などを社内で共有することがDX成功の重要なポイントです。
準備3:DXに割けるコストの確認
DXを進める場合、新しいツールを自社に導入するケースが多いです。サービスやシステムの導入費用がかかってしまい、経営を圧迫する可能性があります。
また、DXを進めてもすぐに成果が出るわけではありません。そのため、長期的な施策を続けるための資金確保が必要です。
DXを実施する際には大きな課題から取り組みがちですが、小さなデジタル化から進めることがおすすめです。
ITに頼る業務とマンパワーに頼る業務を分けて、ローコストでできる課題解決から徐々に取り組んでいきましょう。
ブライダル業界でDX化に成功した企業の事例
続いて、ブライダル業界でDX化に成功した企業として
- ワタベウェディング株式会社
- 株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ
- 株式会社CRAZY
の3つを紹介します。
企業1:ワタベウェディング株式会社
ワタベウェディング株式会社では、グループ会社や海外法人がそれぞれ別システムを使用して稟議申請を運用していたことから、データベースが分散していることが問題でした。
システム分散による運用コストの増加や情報共有の手間などが増えたため、共通のワークフローシステムとして「AgileWorks」を導入。
稟議申請を含む総務への申請の連携がスムーズになり、意思決定のスピードが加速しました。
また、必要書類の一元管理やデータ連携がスムーズになるなど、内部統制の強化が実現しました。
企業2:株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ
自社直営のゲストハウスを利用したハウスウェディングを手がける株式会社テイクアンドギヴ・ニーズでは、カスタマーセンターのスタッフがデータの転記や再入力などのタスクに追われていました。
そのため、本来の業務である「顧客との接点作り」に集中することがむずかしい状況。
その解決策として、デリバリーコンサルティングの「ipaS(アイパス)」の導入を2018年6月から開始しました。
ipaSを活用することで作業量が多かったデータ転記の業務を効率化でき、お客さまとの対話に割ける時間が増加したのです。
企業3:株式会社CRAZY
株式会社CRAZYでは、オンライン結婚式サービス「Congrats」の提供を2020年5月に開始しました。
新型コロナウイルスの影響によって対面での結婚式を延期せざるを得ない状況が続いています。そこで、日程や準備をユーザーが選ぶことができるオンライン結婚式サービスの提供を開始しました。
「Congrats」は打ち合わせ回数0回でインターネット環境さえあればどこでも開催可能です。ご祝儀制度を廃止して新郎新婦が設定した参加費を支払うだけで参加できます。
ブライダル業界におすすめのデジタルトランスフォーメーションツール3つ
最後にブライダル業界におすすめのデジタルトランスフォーメーションとして
- Salesforce
- フェアつく online
- カイクラ
の3つを紹介します。
おすすめ1:株式会社セールスフォース・ドットコム「Salesforce」
Saleforceは株式会社セールスフォース・ドットコムがリリースしているCRMプラットフォームです。
- マルチデバイスに対応可能
- データ保護を重要視しており、セキュリティ精度が高い
- 低コストで導入できる
顧客管理やデータ転記業務に課題を感じている企業さまにおすすめです。
おすすめ2:株式会社ウエディングパーク「フェアつく online」
フェアつく onlineは株式会社ウエディングパークがリリースしたウェディング向けのオンライン接客支援ツールです。
- 式場のバーチャルツアーが可能
- オンライン上で式場を細かく紹介できる
- 感染拡大の被害を避けながら、結婚式の準備を進めることができる
こちらのツールは式場向けではありますが、コロナ禍に対応した結婚式準備を進めたいブライダル企業におすすめです。
おすすめ3:株式会社シンカ「カイクラ」
カイクラは株式会社シンカがリリースしている顧客管理のためのクラウドサービスです。
- 顧客情報を一元管理
- マルチデバイス対応で外出先でも利用できる
- カイクラFaceTalkで非接触でのコミュニケーションが可能
オンライン会議ツールで得られた情報を一元管理したい企業さまにおすすめです。
ブライダル業界にとってDX化は急務。業務効率化や顧客管理などを改善しよう
今回はブライダル業界におけるデジタル化について解説しました。
おさらいすると、新型コロナウイルスの影響によるブライダル業界へのダメージは大きいです。2020年1~12月でブライダル業界全体の損失額は約8,500億円と推測されています。
リアルの場での結婚式の開催が難しいことから、オンラインウェディングを開催する夫婦も少なくありません。
また、リアルでの結婚式の準備も非接触で実施する必要があります。
変化する顧客への対応に柔軟に対応するためにも、ビデオ会議ツールを活用知った接客やリモートでのドレス試着など、業務のデジタル化が必要です。
実際にブライダル業界でDX化に成功した企業として
- ワタベウェディング株式会社
- 株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ
- 株式会社CRAZY
の3社を紹介しました。
今回紹介したブライダル業界におけるDX化の成功事例などを参考にして、自社での活用も検討してみてください。
また、インターネットでのやりとりだけではなく電話対応をDX化することも可能です。
電話対応のDX化について、詳しくは「電話対応をデジタルトランスフォーメーション(DX)化!メリットやデメリット、おすすめサービスを紹介」もご一読ください。
[clink url=”https://kaiwa.cloud/media/dx/denwa-taiou_dx/”]