自動運転やコネクテッドカー(常時インターネットに接続する機能を備えた車)の開発などに欠かせないIT技術、カーシェアリングの普及などによって、自動車業界の構造そのものが変化しつつあります。
業界を取り巻く環境の変化に加えてコロナ禍の影響も大きく、国内の自動車メーカーも車の販売方法を大きく見直しています。
販売方法が大きく変わることによる影響は、どこまで及ぶのでしょうか。
この記事では、急速に広がりつつある自動車のオンライン販売について、国内外メーカーの事例、メリットやデメリットなどを詳しく解説します。ぜひ最後までご一読ください。
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自動車販売のオンライン化が進んだ背景とは?
自動車販売のオンライン化が進んだ背景は、以下の3つです。
- 自動車の利用方法の多様化
- 幅広い世代へアプローチへの対応
- 購買行動の変化
現在は
- カーシェア
- カーリース
- リース後の所有
など、ライフスタイルに合わせて車の買い方や利用方法が選べる時代です。
さらに、購買行動による変化が自動車販売のオンライン化を加速させています。以前は店舗に訪れてから欲しい車を見つけるのが主流でしたが、現在はインターネットで調べたうえで店舗に訪れることが一般的です。
上記に加えてコロナ禍の影響もあり、自動車販売のオンライン化がすすめられています。
では、オンライン化を進めるにはどうしたらよいのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
自動車販売におけるオンライン化の方法3つ
自動車販売におけるオンライン化の方法は、次の3つです。
- メーカーのネット直販で自動車販売を完結する
- オンライン販売後、ディーラーが納車や整備を担当する
- ECモールやマッチングプラットフォームで販売する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【方法1】メーカーのネット直販で自動車販売を完結する
1つ目は、自動車メーカーのウェブサイト経由で、ディーラーを介さずメーカー直販で販売する方法です。
購入者は、ネットで車を選び、金額などを確認。申込金の支払い、車庫証明の提出、残金の支払い処理も、全てオンライン上で完結させます。
たとえば当初からオンラインに特化した販売戦略を展開してきたテスラは、ディーラーを介さずメーカーが消費者に直接販売する手法をとっています。納車もディーラーを通さず、自宅や指定された拠点で受け渡すことが可能です。
オンライン上で完結するため、スムーズに販売できるのがメリットです。
【方法2】オンライン販売後、ディーラーが納車や整備を担当する
方法1はすべてオンライン上で完結する方法でしたが、ディーラーを介して納車や整備を担当する方法もあります。
ディーラーは車を販売するだけでなく、販売後の車の点検や修理などのアフターフォローやメンテナンス、リコールの対応などさまざまな役割を担っています。
そのため日本では、オンラインで受注しても納車はディーラーで行う方法が一般的です。
購入時にディーラーとのつながりを持つことで、納車後にも車のトラブルや点検、リコールの際などに速やかに対応してもらえるというメリットがあります。
【方法3】ECモールやマッチングプラットフォームで販売する
オンラインでの販売が増えると、メーカーの直販だけではなく、ECモールやマッチングプラットフォームで自動車を販売する企業も出てきました。
EC市場が拡大する中国では、自動車販売も例外ではなく、オンライン上で決済まで完了する新車販売が普及しています。
中国EC最大手であるアリババグループの「天猫(Tmall)」や、韓国の「K‐Car」など、大手通販サイトが複数のメーカーと契約し、新車の販売を積極的に拡大しています。
日本でもよりスムーズに自動車販売をする選択肢の1つとして、ECを活用した自動車販売も視野に入れると良いのではないでしょうか。
自動車販売をオンライン化するメリット3つ
自動車のオンライン販売が進むことで生じるメリットとして、次の3つが挙げられます。
- 時間・場所を問わず自動車を販売できる
- 販売価格や購入プランがわかりやすい
- 製品のオプション機能を簡単にカスタマイズできる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【メリット1】時間・場所を問わず自動車を販売できる
オンラインで車が販売できるメリットに、時間や場所を問わず、いつどこにいても販売が可能な点があります。
冒頭でお伝えした購買行動の変化やコロナ禍も相まって、顧客が店舗に訪れる回数は減っています。そのため店舗スタッフの人件費に比べて、売り上げが伸び悩んでいると感じている方も多いのではないでしょうか。
しかしオンライン販売であれば店舗に訪れずとも接客が可能なため、顧客が少なく接客ができないといった問題を解決できます。
【メリット2】販売価格や購入プランがわかりやすい
オンラインで車を購入するときのメリットとして、車の本体価格やオプション価格の表示のわかりやすさも挙げられます。
店舗で接客する場合は、顧客の要望をヒアリングした上でおすすめの車を紹介し見積りをする必要があります。しかしオンライン販売であれば、サイト内で必要な情報を入力してもらうことで「見積りのシミュレーション」や「査定」などが可能です。
事前に購入価格を把握した上で試乗や問い合わせなどをしてもらえるため、スムーズに販売できます。
【メリット3】製品のオプション機能を簡単にカスタマイズできる
オンライン販売ならではの魅力として、カラーやオプション(タイヤの変更など)を追加してカスタマイズできる点が挙げられます。
店舗でももちろんできますが、店舗スタッフとやり取りしながら確認しなければなりません。またカラーを変更する場合もイメージがしづらい方も多いでしょう。
しかしオンライン販売であれば、
- ボディカラー(外装)
- インテリアカラー(内装)
などのカラーやオプションを変更して、サイト内で見た目を自由に確認できます。
このように、オンラインで自動車販売を行うメリットはとても多いです。
自動車販売をオンライン化するデメリット3つ
自動車販売のオンライン化で懸念されるデメリットは、次の3つが考えられます。
- 実店舗で自動車が売れにくくなる可能性がある
- 購入車両の整備やサービス対応に不安がある
- 中高年層には馴染みにくい販売方式である
順に解説します。
【デメリット1】実店舗で自動車が売れにくくなる可能性がある
1つ目のデメリットは「実店舗で自動車が売れにくくなる可能性がある」といった点です。
オンライン販売が主流になると、当然実店舗で購入する人が減ってしまいます。「自動車が売れるなら問題ないのでは?」と思った方もいるかもしれませんが、自動車販売の流れが変わるため影響の出る店舗も多いです。
たとえば、自動車メーカーからのオンライン販売が主流になったケースを考えてみましょう。
ディーラーが自動車を販売できないと、販売による利益が無くなってしまいます。納車準備やメンテナンスなどのサポートを行ったとしても、売上は落ちてしまうのではないでしょうか。
そのため、自動車メーカーに負けない集客施策を進めていくことが求められます。Web集客を強化したい方は、下記記事がおすすめです。
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【デメリット2】購入車両の整備やサービス対応に不安がある
オンライン販売は顧客にとって便利である一方、メンテナンスなどの点で不安を感じるデメリットも生じます。
車は購入した後も、点検や修理、車検など、メンテナンスの手間がかかります。しかしメーカーとの直接契約となると、顧客一人一人との密接な関係性を築くことは困難です。
そのため、オンラインでの購入が可能となっても、ユーザーは販売店(ディーラー)とのつながりを確保したいと考えるのではないでしょうか。
逆に言えば、販売店は「オンライン販売により自動車を購入した顧客」と何らかの形で接点を持たなければなりません。
【デメリット3】中高年層には馴染みにくい販売方式である
インターネットを使った販売方法は全般的に、高齢者とのつながりが難しい傾向にあります。なぜならインターネットが浸透してない時代に車を購入していた経験があり、店舗に訪れて相談するのが当たり前になっている方が一定層いるためです。
そのためオンライン販売はあくまでも販売方法の1つとして、強化していくことをおすすめします。
一方でデジタルネイティブといわれている20〜30代は、比較的オンラインでの購入を検討している世代です。そのためオンライン販売では、上記の層をターゲットに施策を展開していくといいでしょう。
自動車販売をオンライン化した国内外の企業事例7つ
新車のオンライン販売を進める国内外の企業を7つ紹介します。
- テスラ
- 吉利汽車(Geely Auto)
- BMW
- 現代自動車(ヒョンデ)
- ホンダ
- トヨタ
- 日産
各社の取り組み事例を詳しく見てみましょう。
【事例1】テスラ
アメリカの電気自動車メーカーであるテスラは、当初から販売代理店に頼らず、ネットでメーカーが直接販売するシステムを強化してきました。また、今後はアメリカの販売店は徐々に閉鎖していき、全ての販売をオンライン販売へシフトしていくと公表しています。
日本の販売店も段階的に閉鎖していき、オンラインでの販売に特化していく方針のようです。
オンライン販売の最大の目的は、コスト削減です。テスラは、長期的かつ多様なコスト削減策を組み合わせ、車両の販売価格を下げていくことを目指しています。
【事例2】吉利汽車(Geely Auto)
広大な土地の中国でも、自動車のオンライン販売の需要が増えています。
中国の吉利汽車(Geely)は、2020年2月、新車のオンライン販売をスタートさせました。吉利汽車のオンライン販売サイトでは、自動車の購入からローンや保険の契約までを一括して完結することが可能です。
成約後はキャリアカーに車を積載し、購入者の自宅まで新車を搬送します。自動車のキーを無人機ドローンを使って購入者宅に届けるサービスもあり、一度もディーラーを介さずに、完全非接触の販売を提供しています。
【事例3】BMW
かねてからオンライン販売を検討していたBMWは、コロナ禍を機に、2020年7月「BMWオンライン・ストア」を開設。オンライン・ストア限定のモデルも含め、日本で販売中の全モデルのオンライン販売をスタートさせました。
「BMWオンライン・ストア」では、見積依頼や試乗予約などの個別の商談から予約金の支払いまで、一貫してネットで完結することが可能。ディーラー販売用とオンライン販売用の在庫を、別々に確保して対応しています。
売り上げはディーラーの実績となるため、メーカーと販売店との従来の関係性も維持しながら、オンライン販売の拡大を実現しています。
【事例4】現代自動車(ヒョンデ)
韓国の自動車メーカー「現代自動車」は、2020年に、グローバル企業名を「ヒュンダイ」から、より韓国語の発音に近い「ヒョンデ」に改名。2022年5月から、日本での新車オンライン販売を開始しました。
日本国内に販売代理店を設置せず、完全オンライン販売の形態をとっている現代自動車(ヒョンデ)。実店舗を持たないことで、販売コストを削減する狙いがあります。
現代自動車(ヒョンデ)は、専用アプリを使用し、最終的な売買契約までをオンラインで完結させることが大きな特徴です。アプリを利用して、販売だけではなく点検などのアフターフォローまで含めたサービスを提供しています。
【事例5】ホンダ
ホンダは、国内自動車メーカーで初の新車オンラインストア「Honda ON」を2021年10月に発表しました。
「Honda ON」は、新たに設立した子会社、ホンダセールスオペレーションジャパンが運営しています。
現時点では、サービス対象地域は東京都内のみ(納車拠点が東京都内のHonda Carsのみ)となり、現状は、カーリースサービスとしての「ホンダサブスクリプションサービス」の申込み窓口となっています。
サブスクリプションモデルを主体として、商談から契約、納車まで、新車販売のサービス全てのオンライン化を目指し、対象エリアも今後拡大していく見込みです。
ホンダは、オンラインストアで購入手続きをしても、納車はこれまで通り販売店で行う流れになっており、オンラインストアと販売店の共存を目指しています。
【事例6】トヨタ
トヨタ自動車は2019年から、月々定額で新車に乗れるサブスクリプションサービス「KINTO」をスタートさせました。
「KINTO」は、車選びから契約まで、全てオンライン上で完結することができるサービスです。受け取りを希望する販売店を選択し、来店は納車時のみにすることも可能です。
自動車税や任意保険、メンテナンス費用まで、諸経費が全て込みの月々定額プランとなっていて、ネットと販売店、どちらからでも申し込みすることが可能。2020年は、申し込み者の3人に2人がネットを利用しての申し込みとなりました。
「KINTO」に加えて、2020年にはオンラインサービス「My TOYOTA」というアプリシステムを開設しています。
▼「My TOYOTA」でできることの例
- 販売店と連携してオンライン上での商談ができる
- 新車の購入でもいつでも店舗と同じサポートを受けることができる
- 車の下取りやオプションを含めた見積もりのシュミレーションができる
【事例7】日産
日産自動車は、2020年6月、オンラインで顧客との商談に対応するサイト「オンラインチャット」を導入。さらに2021年11月、インターネットで新型EV「アリア」のオンライン販売をスタートさせました。
オンライン販売は、「オンラインオーダー」サービスを使い、商談から契約まで全てオンラインで行うことが可能。グレードやカラー、オプションを選択し、支払いプランなどを確認することも可能です。
オンライン上で検討している途中で、やはり実店舗での商談に変更したい場合は、販売店での商談に切り替えることも可能。オンラインとオフライン、どちらでも顧客の希望に対応できるサービスを提供しています。
オンライン化が進む日本の自動車販売業界で、販売店にできることは?
オンライン化が進むなかで販売店にできることとしては、以下2つがあるのではないでしょうか。
- オンラインによる集客施策の強化
- より手厚いおもてなし接客の提供
これまでお伝えした通り、インターネットで欲しい車を探す人が増えて来ると予想されます。そのため、インターネットから自社店舗に問い合わせが来たり、試乗の相談が来たりするような集客施策の強化は不可欠です。
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また、手厚いおもてなし接客の提供も必要でしょう。購入だけならオンライン上で完結できることから、何らかの「店舗を利用して購入する理由」を持たせることが重要です。
▼店舗を利用して購入する理由の例
- 顧客の予算や要望に寄り添った提案をしてもらえる
- 店舗スタッフの接客が丁寧で安心して自分に合った車を見つけやすい
- 自分で調べるよりも店舗に訪れて相談した方が短い時間でほしい車が見つかる
特に顧客と接点の多い電話対応を強化しておくことがおすすめです。たとえばカイクラなら、過去にやり取りがあった顧客であれば以下のように顧客情報を確認できます。
「過去のやり取りメモ」や「担当者」もわかるため、顧客を待たせずに電話対応が可能です。結果的にCS向上につながり、自動車購入の決め手になる可能性もあります。
また自動車購入後のアフターフォローもしやすく、車を買い替える際も相談してもらいやすくなるのではないでしょうか。カイクラについては、以下からお問い合わせください!
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まとめ:オンライン自動車販売でも顧客ニーズに応えることが大切!
オンライン販売のハードルは、着実に下がりつつあります。このさきオンラインでの自動車販売が主流となっていく可能性も高いのではないでしょうか。
今後はWeb集客の強化はもちろん、店舗でのおもてなしにつながる接客強化もしていくことが重要です。電話を活用した接客を強化したい方は、以下からお問い合わせください!
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なお、自動車販売のデジタル化の動向について、以下記事で詳しく解説しています。合わせてご一読ください!
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