「中小企業デジタル化応援隊事業に興味があるが、どんなメリットが期待できるかわからない…」
と感じている方。
中小企業デジタル化応援隊は、中小企業庁と中小企業基盤整備機構がタッグを組んで中小企業のデジタル化を支援する制度です。
新型コロナウイルスによってテレワークなどのデジタル化が急務となりましたが、デジタル化を進めるためのノウハウを持っていない企業は少なくありません。
そこで、IT知識が豊富なフリーランスや副業ワーカーをIT専門家として選定。中小企業とマッチングすることで、中小企業のデジタル化を応援する仕組みです。
中小企業デジタル化応援隊をうまく活用することで、自社のデジタル化を向上させることができます。
とはいえ、自社に具体的にどのようなメリットがあるのかはなかなかわかりにくいですよね。
そこで
- 中小企業デジタル化応援隊を活用して、自社企業のデジタル化を進める方法
- 中小企業におけるデジタル化の現状
- 中小企業デジタル化応援隊が解決できるデジタル化の事例5つ
を紹介します。
まずは中小企業デジタル化応援隊の概要について解説します。
中小企業デジタル化応援隊を活用して、自社企業のデジタル化を進める方法
まずは中小企業デジタル化応援隊事業について
- 中小企業デジタル化応援隊は中小企業のデジタル化を一助する団体
- 【中小企業向け】中小企業デジタル化応援隊の応募概要
- 【IT専門家向け】中小企業デジタル化応援隊の応募概要
の順に解説します。
中小企業デジタル化応援隊は中小企業のデジタル化を一助する団体
中小企業デジタル化応援隊は中小企業庁と中小企業基盤整備機構がタッグを組んで中小企業のデジタル化を支援する制度です。
新型コロナウイルスによって、テレワークやECサイトなどのデジタル化が進む中、ノウハウを持っておらずにデジタル化の定着が進んでいない中小企業が多数存在します。
そこで、ITに詳しいフリーランスや副業ワーカーなどの人材からIT専門家を選定し、中小企業デジタル化応援隊として全国の中小企業におけるデジタル化を支援する取り組みです。
「中小企業デジタル化応援隊」にIT専門家として選定された人材は中小企業とマッチングし、デジタル化のコンサルティングを実施します。
あくまでコンサルティングがメインであるため、実際に一緒に手を動かすことはありません。
中小企業側は最低でも500円/時間(税込)を専門家に支払います。
これに加えて、専門家には中小企業デジタル応援隊の事務局から最大で3,500円/時間(税込)の金額が支払うことになります。
【中小企業向け】中小企業デジタル化応援隊の応募概要
中小企業に登録したい方の条件は下記の通りです。
【受付期間】
2020年9月1日(火)〜2021年1月31日(日)
【中小企業などの範囲】
業種・組織形態 | 資本金 | 従業員(常勤) |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 | 3億円 | 900人 |
ソフトウエア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種 | 3億円 | 300人 |
医療法人、社会福祉法人、学校法人 | – | 300人 |
商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所 | – | 100人 |
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 | – | 主たる業種に記載の従業員規模 |
特別の法律によって設立された組合またはその連合会 | – | 主たる業種に記載の従業員規模 |
財団法人、社団法人 | – | 主たる業種に記載の従業員規模 |
特定非営利活動法人 | – | 主たる業種に記載の従業員規模 |
【小規模事業者の範囲】
業務分類 | 従業員(常勤) |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
【必要確認書類】
- 身分証明書
- 所得税納税証明書
- 所得税確定申告書B
これらの書類を提出して、中小企業デジタル化応援隊への登録が終了です。
出典:中小企業デジタル化応援隊「令和2年度中小企業デジタル化応援隊利用についての手引書<中小企業者等向け>」
https://digitalization-support.jp/documents/handbook_company.pdf
【IT専門家向け】中小企業デジタル化応援隊の応募概要
IT専門家に登録したい方の条件は下記の通りです。
【受付期間】
2020年9月1日(火)〜2021年1月31日(日)
【IT専門家の範囲】
- 個人として本事業への参加を希望するフリーランス・副業・兼業の方
- 中小企業等経営強化法に定められた 認定情報処理支援機関(SMEサポーター) としての認定を受けた法人に所属する方であること。
【必須確認書類】
- 身分証明書
- 顔写真
- 口座通帳写真
必要な書類を提出して、IT専門家への登録業務が終了です。
出典:中小企業デジタル化応援隊「令和2年度中小企業デジタル化応援隊利用についての手引書<IT専門家向け>」
https://digitalization-support.jp/documents/handbook_supporter.pdf
中小企業におけるデジタル化の現状
続いて、中小企業におけるデジタル化の現状について
- 中小企業庁が発表した2020年における中小企業のデジタル化の実態
- 中小企業におけるデジタル化の課題
の順に解説します。
中小企業庁が発表した2020年における中小企業のデジタル化の実態
中小企業庁が2020年に発表した調査結果によると、中小企業のテレワーク実施率は下記の通りです。
【中小企業のテレワーク実施率(2020年3月と比較)】
従業員規模 | 前回調査(2020年3月) | 今回調査(2020年5~6月) |
---|---|---|
30人未満 | 12.3% | 45.0% |
30人以上50人未満 | 17.6% | 63.2% |
50人以上100人未満 | 25.0% | 64.4% |
100人以上300人未満 | 32.2% | 77.0% |
300人以上 | 57.1% | 90.0% |
他にもインターネットバンキングやクラウドサービスのIT技術を導入する企業が進んでいます。
出典:中小企業庁「中小企業のデジタル化に向けて」
https://www.fsa.go.jp/singi/shomen_oin/shiryou/20200731/01.pdf
中小企業におけるデジタル化の課題
中小企業においてデジタル化の浸透が遅い要因は
- 費用対効果
- リテラシー
の2つであると中小企業庁は考えています。
費用対効果は、コスト負担や従業員のスキル不足、導入効果がわからないなどの課題があがっており、それを裏付けるように業種別ERP(企業資源計画)導入比率が総じて低いです。
リテラシーは、ノウハウ不足やデジタル化のイメージができないことが課題としてあがっており、デジタルな技術に日頃から触れていないことがこの課題の要因となっています。
それをあらわすように経営者年齢別のSNS活用率は、もっとも若い40歳未満でも61%です。
出典:中小企業庁「中小企業のデジタル化に向けて」
https://www.fsa.go.jp/singi/shomen_oin/shiryou/20200731/01.pdf
中小企業のデジタル化における課題について、さらに詳しく知りたい方は「中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)における実態と課題とは?解決策もあわせて紹介」をご一読ください。
[clink url=”https://kaiwa.cloud/media/dx/chusho-dx/”]
中小企業デジタル化応援隊が解決できるデジタル化の事例4つ
最後に、中小企業デジタル化応援隊が解決できるデジタル化の事例について
- 食料品製造業×EC構築
- 不動産×テレワーク
- 人材業界×SaaS
- 金属加工業×セキュリティ
の4つを紹介します。
事例1:食料品製造業とEC構築
1つ目は食品企業が自社製品を販売するECサイトを作成し、販路の拡大に成功した事例です。
この企業はオーガニック食材のみを使用したジュースを製造しています。大手スーパーに卸す場合は卸値が下がって売上が安定するものの、本当は製品の希少性に目をつけてくれるお客様に出会いたいという背景がありました。
そこで、ECサイトを構築しようと考えたが、ITの実務経験を持った社員がいないため、取り組めずにいました。
そこで実行された支援内容は
- ECサイト構築のIT専門家とマッチング
- ECサイト構築ツールの選定のお手伝い
- ECサイト活用方法の支援
など。2週間で課題が解決し、販路拡大に成功しました。
事例2:不動産とテレワーク
テレワークに不安を抱いていた不動産企業は、中小企業デジタル化応援隊を活用することで、業務効率化に成功しました。
元々、社内コミュニケーションはメールか電話か、FAXという企業。物件の空き情報や金額交渉など、スピードが求められる作業にも時間がかかってしまいます。
タイムリーな対応ができるテレワーク環境を整えることで、業務の質も向上すると考えていましたが、ITに詳しい社員がおらず、自社に合ったコミュニケーションツールが選べませんでした。
そこで、IT専門家によって
- ツール選択に必要な要件の洗い出し
- 業務フローにおける課題
- ツール導入とプラン選択
を実施。これにより業務を円滑に進めることが可能となりました。
事例3:人材業界×SaaS
人材サービス企業が中小企業デジタル化応援隊を活用することで、事務作業の効率化が行われて本業に専念できる時間がアップします。
ITシステムの導入をしていない状態の企業で、請求書や見積書は表計算ソフトで作成していました。
1つの作業にかかる時間が多く、非効率的な作業が続いていましたが、IT専門家によるSaaSの導入によって、事務作業の負担は軽減されました。
また、SaaSはクラウド上での情報管理ができるため、外出時でも事務作業を進める効率的な仕事が可能となりました。
事例4:金属加工業×セキュリティ
金属加工業のIT支援は2021年1月現在も支援実施中です。
ITに関して自社で考えて対応していた企業でしたが、セキュリティ対策については不安がありました。
そこで、中小企業デジタル化応援隊を通してセキュリティ強化のIT専門家と協力して改善に取り組んでいます。
セキュリティ対策状況の把握から始めていき、セキュリティ強化のためのルールの策定や社内における意識の共有など、セキュリティの標準化を目指していくようです。
ツールの導入は後々の目標で、まずは現在地の把握から始めていきます。
中小企業デジタル化応援隊の取り組みを活用してより自社のデジタル化に効率的に進めよう
今回は中小企業のデジタル化を支援する中小企業デジタル化応援隊について、解説しました。
おさらいすると、中小企業デジタル化応援隊は中小企業庁と中小企業基盤整備機構がタッグを組んで、中小企業のデジタル化を支援する制度です。
デジタル化の定着が進んでいない中小企業とITに詳しいフリーランスや副業ワーカーなどのIT専門家をマッチングすることで、中小企業におけるデジタル化を支援します。
続いて、中小企業のデジタル化の現状について解説しました。
2020年ごろから、テレワークを実施する企業は増えています。同じように、インターネットバンキングやクラウドサービスを導入する企業も多いです。
一方で、中小企業でデジタル化の進展が遅いのには、
- 費用対効果
- リテラシー
の2つの理由が挙げられます。
最後に、中小企業デジタル化応援隊が解決できるデジタル化の事例について
- 食料品製造業×EC構築
- 不動産×テレワーク
- 人材業界×SaaS
- 金属加工業×セキュリティ
の4つを紹介しました。
デジタル化がなかなか進まないと悩んでいる中小企業さまは、中小企業デジタル化応援隊の事例などを参考にデジタル化を検討してみてはいかがでしょうか。
また、中小企業がデジタル化を進めると言っても資金が限られており、なかなか大きな金額をデジタル化に割くのが難しいことも。
また大きな予算をかけてデジタル化が失敗すると、中小企業にとっては会社の経営をおびやかすミスとなりかねません。
中小企業こそ限られた予算で効率化をはかっていくためのデジタル化が必要です。
限られた予算で実施するデジタル化について、詳しくは「数万円でも始められる「身の丈」デジタルトランスフォーメーション(DX)で業務効率化を達成するには?事業・部署・部門での成功ポイントを紹介」をご一読ください。