茨城県つくば市に本拠を構え、県南部に26拠点を展開する自動車ディーラー、株式会社ホンダ茨城南。県内におけるホンダの大手正規ディーラー3社の1角を担い、約5万人もの強固な顧客基盤を誇ります。「5人家族なら5台の車がある」と言われるほどの車社会である茨城県において、ご家族の世代を超えた「家族ぐるみのお付き合い」を強みに、「お客様との絆」を大切にした地域密着型の営業を展開しています。
同社では、日々寄せられる膨大な入電への対応品質を高め、営業スタイルの変化に合わせたスタッフの負担軽減と売上貢献を両立するために「カイクラ」を導入しました。導入の経緯や現場にもたらされた効果について、社内のDX推進を担う、社長室室長 兼 企画管理部副部長の田中康弘氏と、元・販売課長として現場への浸透を主導した、企画管理部企画課 兼 保険課長の山中三千穂氏にお話をうかがいました。
導入事例

新人の8割が苦手な電話を、カイクラによるDX化で改革!見込み客の「重要な一本の電話」を確実に繋ぐ活用術
- 顧客名と担当者のポップアップ表示で、拠点内の取り次ぎ負担が半減
- 検討車種や商談状況のメモ共有により、土日の「見込み客」の着信を確実にフォロー
- ハガキからSMS送信への切り替えで、点検案内の効率化と確実なコスト管理を実現
- 「不審なユーザー」の情報を一元管理し、無駄な電話対応を未然に防止
着信履歴の限界と定休日の留守電対応。訪問から「電話」への過渡期に露呈した課題
――カイクラの導入前、現場の電話対応にはどのような課題がありましたか?
山中氏:当時は訪問から電話中心の営業スタイルへの切り替え期でしたが、従来の電話機の仕組みがボトルネックになっていました。
一番の課題は、電話機の着信履歴が5件しか表示されないことです。同じ方から複数回着信があっても履歴が埋まってしまい、他の不在着信が消えてしまうため、誰からの電話か分からない状態が頻発していました。また、定休日に溜まる留守電も、ご高齢のお客様が多くお名前が聞き取れないケースが多く、相手の特定に多大な時間を費やしていました。こうした電話対応の非効率さが、貴重な営業機会の損失に繋がっていました。

山中氏:お客様の不安解消と同時に、若手スタッフが安心して電話対応できる環境を整えることが急務でした。特に事故対応など緊急性の高いご用件は、ほぼ100%電話でのやり取りになります。しかし、今の若いスタッフは固定電話のない環境で育っているため、新人研修をすると8割が「電話対応は苦手」と答える状態でした。
着信前の段階で「誰からの電話なのか」が分かるなど、少しでも安心して電話に出られる環境を用意したいと考えました。
電話がつながらないからといって、スタッフが個人携帯のLINE、SMSでお客様と連絡を取り合ってしまうと、紛失時の情報漏洩リスクもあります。だからこそ、会社として一元管理できるセキュアなコミュニケーションツールを導入し、お客様と確実かつ安全につながれる体制を構築する必要がありました。
取り次ぎ件数が体感5割減少。見込み客の確実なフォローとSMS活用で売上にも大きく貢献
――そうした現場の課題や、組織としての強い必要性から「カイクラ」の導入に至ったのですね。運用を始めてから、現場の業務やスタッフの対応にはどのような変化がありましたか?
山中氏:カイクラを導入してから、電話対応における拠点内の「取り次ぎ」が劇的に減少しました。特に日頃からお電話が非常に多い拠点では、取り次ぎを行うケースが体感で半減しました。
自動車ディーラーは、スタッフの働く場所が物理的に離れているという特殊性があります。ショールームの事務所にいる受付スタッフ、外の展示場にいる営業、そして奥のサービス工場(ピット)にいるメカニック。以前は、工場にいるメカニック宛ての電話が入るたび、受付スタッフが現場まで呼びに行ったり、用件が分からないまま取り次いだりしていました。
今は、着信と同時にパソコン画面に「誰から、どのようなご用件か」が瞬時に表示されるため、離れた場所にいるスタッフへの連携が非常にスムーズになりました。お待たせする時間が減ったことで、顧客満足度の向上にも確実に繋がっています。
さらに嬉しかったのは、若手スタッフが電話を怖がらなくなったことです。。「知らない誰か」からかかってくる電話には怯えていた若手スタッフも、受話器を取る前に画面でお客様のお名前を確認できるため、心の準備をしてから落ち着いて電話に出られるようになりました。心理的なハードルが下がり、安心してお客様と向き合える環境が整ったと感じています。
――劇的な変化ですね。御社ならではのカイクラ活用術があれば教えてください。
山中氏:当社で最も売上貢献に直結しているのが、土日に開催する展示会などでの見込み客への確実なフォローです。新車の購入を検討されているお客様は、土日に複数のディーラー様をぐるぐると回って比較検討されるケースが少なくありません。商談がその場で決まらなかった場合、次の店舗へ向かわれます。そうしたお客様から、移動中や他店を見た後に「やっぱりさっきの件だけど……」とかかってくる着信は、絶対に逃してはならない極めて重要な一本です。
そのため当社では、カイクラのメモ機能に「新規のお客様」「検討車種:フィット」といった情報を即座に登録するようにしています。こうしておけば、仮に営業担当者が別の商談で席を外していても、お電話を取った受付スタッフが画面を見て「今すぐ営業に繋がなきゃいけない重要なお客様だ」と瞬時に察知できます。絶対に電話を取りこぼさず、確実に担当者へとダイレクトに繋ぐ仕組みができたことは、営業活動における大きな強みになっています。
また、もう一つの主要な活用法として、これまでハガキで行っていた定期点検や車検のご案内などを、日常的なSMS(ショートメール)送信へと全面的に切り替えました。ハガキに比べて作成や郵送の手間が省け、案内業務の工数とコストを大幅に削減できました。1通あたりのコストが明確なため、確実な販売施策のコスト管理・削減にも大きく役立っています。
導入直後の手探りな日々。5割の活用度から全容把握を目指した試行錯誤の時期
――導入直後、運用で苦労された点はありますか?
大濱氏:やはり若い世代にとって電話はハードルが高いと思います。新入社員の研修でカイクラの使い方を教えており、固定電話にもスマホのような機能があることを説明しています。心理的なハードルが下がったかはまだ確認ができていませんが、「スマホ感覚で使える」という安心感により、少しずつ慣れてきているのではないかと思います。
スタッフの戸惑いを期待に変えた、店舗主導の 「カイクラ推進担当」
――導入にあたり、社内の受け止めはいかがでしたか?
山中氏:導入直後の運用初期は手探りの状態でした。基本操作はすぐに馴染んだものの、想像以上に多機能だったため「100%使いこなせているのだろうか」という不安が常にありました。当時はまだ、使いこなせているのは半分程度という感覚で、現場に浸透させられていないもどかしさがありましたね。

田中氏:そのため社内からは「勉強会を開いて、すべての機能を隅々まで把握したい」という声が上がっていました。実際、今日も基本料金内で使える便利な新機能が随時アップデートされていると伺ったばかりです。
導入して終わりではなく常に進化するツールだからこそ、今後も定期的な勉強会などを通じてさらに使いこなしていきたいと考えています。
カイクラはパソコンと並ぶ、日々の業務に無くてはならない必需品へ
――導入前に想像していた期待値に対して、実際に運用を始めてみていかがでしたか?
山中氏:導入前は「名前がポップアップされる便利なツール」くらいに思っていましたが、想像以上に多機能でした。特に嬉しい誤算だったのが「SMS機能」の存在です。当初はそこまで活用するイメージがなかったのですが、今では定期点検や車検といった重要な販売施策のプロセスに完全に組み込まれています。
現場ともよく話すのですが、今や「もしカイクラが突然なくなったら業務が麻痺してしまう」という状態です。単なる便利ツールを超えて、オフィスにあるパソコンと同じくらい、日々の業務に無くてはならない必需品になっています。
――そこまで浸透しているのですね。逆に、運用面で注意が必要だった点はありましたか?
山中氏:各拠点にSMSの送信権限を付与しているのですが、ハガキに比べて格段に手軽な分、スタッフが日常的に活用しやすくなりました。ハガキを送るコストや手間に比べれば遥かに安価で効率的です。一方で、手軽だからこそ、本部としてもしっかりと適切な運用の意識を持って見守っていく必要があるな、というのが導入後の新鮮な気づきです。
顧客との絆を深める接客の要。そして不審な入電から組織を守る「リスク管理」の役割

――現在の御社において、カイクラはどのような「役割」を担う存在になっていますか?
山中氏:当社におけるカイクラには、大きく分けて2つの重要な役割があります。
1つ目は、お客様との「絆」を深め、期待値を超える接客を実現するための役割です。私たちディーラーは「1対多」の視点になりがちですが、お客様から見れば常に「1対1」の特別な存在です。その間にあるギャップを営業個人のマンパワーで埋めるのは限界がありました。
カイクラは、ご家族構成や過去の検討車種といった大切な情報を店舗全体で一元管理して共有できます。誰が電話に出ても「自分のことをきちんと覚えてくれている」という感動や安心感をお届けし、一歩進んだ接客を形にするために、なくてはならない存在です。
2つ目は、現場の貴重な業務リソースやスタッフの心を守る「リスク管理」としての役割です。
自動車業界には、様々なディーラーを点々としながらトラブルを繰り返す特定の不審なユーザーや、ハラスメントに近いお電話が一定数存在します。これまでは情報が管理職の間だけで留まりがちで、スタッフが10分以上も対応に時間を取られてしまうことがありました。
今では、そうした事象のあった番号を要注意ユーザーとして登録しておけば、別の店舗にかかってきた際にも出る前に画面で警告が出ます。これにより、スタッフが疲弊することなく初期段階でシャットアウトできるようになりました。攻めの営業だけでなく、守りの防犯ツールとしても絶大な力を発揮しています。
自動車ディーラーをはじめ、不特定多数のお客様と接する企業には必須のツール
――今後、カイクラをどのような企業にお勧めしたいですか?
田中氏:不特定多数のお客様を抱えるB to C企業に特にお勧めしたいです。顧客数が増えるほど電話の重要度を見極めるのは難しくなります。データを基盤に多くのお客様と向き合う企業なら、業種を問わず大きな恩恵を受けられるはずです。
山中氏:特に自動車ディーラーには必須のツールです。お客様が求める対応スピードが高まる今、取り次ぎの手惑いは大切な「絆」に傷をつけかねません。現場が仕事に集中でき、お客様に一歩先の安心を届けられる仕組みとして、ぜひ同業他社様にも導入をお勧めしたいですね。
――最後に、お二人が考える「理想の顧客対応」を教えてください。

山中氏:誰が電話を取っても、お客様に同じ安心感と「覚えてもらえている」喜びを感じていただける対応です。以前は経験の差が出がちでしたが、今は若手もベテランと同じ情報を見て落ち着いて向き合えています。働く側の心の余裕こそが、確かな信頼関係を形作ると考えています。
田中氏:車の購入やメンテナンスは人生の大切な節目と重なります。だからこそ、ご納車後の電話一本もお客様の安全を支える大切な接点として、そのご縁を大切にしたい。テクノロジーの力を借りてお客様を深く理解し、最適な対応を重ねることで「選んでよかった」と感じていただくことこそが、私たちの目指す理想の顧客対応です。






