「労働市場における諸課題を解決し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現」を企業理念に掲げ、「Labor force solution company」として躍進するディップ株式会社。
日本最大級の求人サイト「バイトル」の運営をはじめ、医療・介護分野の人材紹介サービス「ナースではたらこ」「介護ではたらこ」を展開する同社は、1回あたり約30分の業務削減を実現するとともに、1対1の通話におけるブラックボックス化を解消し、求職者の細かな声色や話し方から「介在価値」を高める指導体制や、メンバーを守るハラスメント対策を整えるため、「カイクラ」を導入しました。
今回は導入の経緯や現場の変化について、ソリューション事業本部 キャリアコンサルティング統括部 看護人材コンサルティング 1部1課 課長 井上 将太 氏にお話を伺いました。
導入事例

会話データでメンバーを守り「確かな指導」へ 携帯通話の「三重コスト」を解消した通話管理の仕組み
- 携帯電話の通話にかかっていた「三重コスト」を大幅に削減
- 面談後の手入力作業をなくし、1回あたり約30分の業務効率化を実現
- 会話データの求職者の細かな声色や話し方から介在価値を高める指導を実現
- トラブル時の事実確認やハラスメント対策で現場のメンバーを守る
携帯電話の通話録音で「三重コスト」を解消

――はじめに、カイクラの導入を検討されたきっかけについて教えてください。
弊社は「労働市場における諸課題を解決し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現」を企業理念に掲げる「Labor force solution company」です。
日本最大級の求人サイト「バイトル」の運営をはじめ、医療・介護分野の人材紹介サービス「ナースではたらこ」「介護ではたらこ」など人材におけるサービスを展開しています。また、自社でAIやDXを活用した業務効率化ツール「コボット」シリーズの開発・提供も行っており、社内でもテクノロジーへのリテラシーや効率化への意識が非常に高いのが特徴です。
今回カイクラを導入した医療・介護の人材紹介部門では、キャリアアドバイザーが求職者様とお電話で面談を行うのが主なコミュニケーション手段となっています。人生を左右する「転職」の相談ということもあり、面談時間は平均45分、長いと2時間程度におよぶことも珍しくありません。
当時、携帯電話での通話からテキスト化・データ保存を行うまでに「携帯キャリア料金」「録音ツール料金」「文字起こしツール料金」という“三重コスト”が発生しており、これらを集約して効率化できる仕組みを探していたことが検討のきっかけでした。また、面談内容の記録工数の削減や、1対1の通話がブラックボックス化しがちで実践的な指導がしにくいという課題も同時に解決したいと考えていました。
※求職者様との通話の録音は、同意を得た上で実施しています。
――数あるシステムの中で、カイクラを選んだ「決め手」は何ですか?
各種のCTIツールや通話録音サービスを情報収集し、比較検討を行いました。
その中でカイクラの大きな決め手となったのは、現在使用している営業担当の携帯電話番号をそのまま継続できる点と、特別なアプリのインストールが不要で現場に負荷なく導入できる点でした。コロナ禍以降、テレワーク(在宅勤務)が普及する中でも、求職者様にとって「担当アドバイザーに直接つながる安心感」を維持するためには、携帯電話での通話環境が不可欠だったからです。
また、カイクラが提供する確実な携帯通話会話データをベースに、弊社のシステムへと高度にAPI連携させ、文字起こしやAI要約、さらには顧客管理システムへの自動入力までを一気通貫で仕組み化できる圧倒的な拡張性に魅力を感じ、導入を決めました。
ブラックボックス化を解消し、テキストと音声の連動で「介在価値」を高める営業指導へ
――実際に運用を始めてから、現場での通話管理にはどのような変化がありましたか?
最も大きな変化は、面談記録の工数が劇的に削減されたことと、1対1の通話におけるブラックボックス化が完全に解消されたことです。
また、アドバイザーが面談後に20分以上かけて手入力していた記録工数がほぼゼロになり、周辺業務の効率化も合わせて1回あたりトータル約30分の業務削減が実現しました。同時に、「記録忘れ」や「個人による表記方法のブレ」も一掃されています。

管理職は面談内容の要約テキストに毎日目を通せるようになったので、テキストで大枠の状況を素早く把握しつつ、違和感があれば実際の音声をすぐに聞き直すことができます。テキストだけでは見えにくい「求職者様の細かな声色」や「アドバイザーの話し方のペース、言い回し」まで手にとるように把握できるため、より的確で実践的なフィードバックや指導が可能になりました。
――管理画面での可視化や録音環境が、アドバイザーの行動や具体的なエピソードにも繋がっているのですね。
はい、やり取りが可視化されたことで、アドバイザーに「良い意味での適度な緊張感」が生まれ、より丁寧な対応への意識付け(抑止力)としても機能しています。
以前、要約テキストをチェックしていたところ、アドバイザーが一方的に8割方話し、求職者様が「はい、はい」と生返事しかしていない、明らかにコミュニケーションが噛み合っていない面談を見つけました。
すぐに会話データを確認したところ、求職者様がアドバイザーに対して少し身構えてしまい、心を閉ざしかけているニュアンスを声色から察知しました。そこで面談終了から10分以内に、アドバイザーへ具体的なフィードバックを行い、結果的に選考への応募をいただくことができました。 もし録音環境がなく、要約との迅速な連動がなければ見過ごされていたかもしれません。その点からも、客観的なデータに基づき、スピーディーに軌道修正できる仕組みは、私たちの「介在価値」を高めるうえで不可欠な存在だと考えています。
表面的な情報を「記録する」から、信頼を「紡ぐ」データへ。通話履歴が医療機関と求職者を深く結ぶ

――導入後、アドバイザー(営業担当)はどのように録音を活用していますか?
人材紹介における求職者様は20代から60代までと年齢層も幅広く、お話が好きな方もいれば必要最低限の会話を好む方もいらっしゃいます。各自が求職者様一人ひとりに合わせた「伴走型」の、寄り添った対応を行う上で、カイクラの会話データは非常に貴重な振り返りの財産となっています。
前回の面談内容やそこでの細かなニュアンスをしっかりと確認して次の会話に備えることで、求職者様との間に深い信頼関係が生まれます。さらに私たちの役割は、医療機関(クライアント)様に対しても最適なマッチングをご提案することです。単なる表面的な条件や数字といった情報だけでなく、録音から伝わる「声色」や「相槌」、「リアクション」といった“言葉の奥にある人となり”までをアドバイザー自身が深く理解してご紹介を行うことで、サービスの質が劇的に高まっています。
――管理者側から見て、アドバイザーの通話録音を確認することにはどのような意義がありますか?
アドバイザーがテレワーク環境や1対1の密室でお客様と話す場合、かつては管理者がその内容を正確に把握することは容易ではありませんでした。しかし現在は、いつ・どのような内容のやり取りをしているかが管理画面上で一目で可視化されるため、適切な対応ができているかをしっかりと見守ることができます。

また、求職者様の人生の転機を扱う仕事だからこそ、トラブル時の「言った・言わない」の事実確認や、カスタマーハラスメントへの組織的な対応においても、会話データの存在は大きな意義を持っています。過去の対応履歴をデータベースに残しておくことで、万が一の際にもスムーズに管理職へ対応を引き継ぎ、現場のアドバイザーを守ることができるからです。
ハラスメント対策を強化し、従業員が安心して働ける環境を整えることは、企業としての重要な社会的責任です。カイクラは、現場のメンバーを守り、求職者様や医療機関・介護施設様との長期的な信頼関係を支える、まさに「ビジネスの心臓のような存在」だと感じています。
求職者からクライアント対応へ。DXのプロが仕掛ける、全方位の信頼基盤への拡大

――最初は限定的な導入からスタートし、現在は500台強の大規模展開へと拡大していただきました。その経緯について教えてください。
弊社では一度で全社へ広げるのではなく、まずは実現可能性を検証する「フィジビリティ(試行期間)」として、特定の限定された部門から段階的にスタートしました。自社で「コボット」などのDXツールを開発・提供しているからこそ、単に通話を録音するだけでなく、カイクラの会話データを高精度な「生のデータ素材(ローデータ)」として活用したいと考えていました。自社で行う文字起こしやAI要約、CRMへの自動記載まで、最初から仕組み化する設計に挑戦したかったからです。
社内のエンジニアとも密に連携しながら裏側の自動化システムを構築し、現場での確実な業務削減効果や指導の質の向上を確認した上で、徐々に新卒研修生を含む営業部門全体へとスムーズに拡大させています。スモールステップで確実に成功体験を積み重ね、独自の強固なシステム連携を完成させてから横展開したことが、追加導入へと繋がる確かな足がかりとなっています。
クライアント対応への拡大 全方位の信頼基盤が支えるディップの未来
――今後、このカイクラをどのように活用し、どのような展開を目指していきたいですか?
今後は、蓄積される携帯電話の会話データの活用の幅をさらに広げ、医療機関や介護施設といったクライアント(法人・取引先)様とのやり取りにも網羅的に拡大していく計画です。

法人営業の現場でも会話の奥にある本音を正しく把握し、トラブル時の事実確認やハラスメント対策、管理職へのスムーズな引き継ぎといったリスクマネジメントの観点からも、法人・個人の双方をカバーした全方位の会話データ基盤を構築する意義は非常に大きいと考えています。
深刻な労働力不足に直面するこれからの社会において、「確実なデータが裏側で常に守ってくれている」という圧倒的な安心感があるからこそ、現場のメンバーは臆することなく、より付加価値の高い攻めの提案や、求職者様の未来に寄り添った誠実な対応に全力を注ぐことができます。
カイクラという信頼のデータ基盤をさらに進化させながら、求職者様や医療・介護施設様の深い信頼を結ぶ伴走を、これからも力強く続けていきたいと考えています。




