「葬儀業者でもDXって必要かな…」
と感じている方。
結論からお伝えすると、葬儀業者はDXに取り組むことで、業務の効率化やスムーズなお客さま対応を実現できます。
葬儀は突発的な行事であるため、数十年前の顧客情報が必要になることが少なくありません。
クラウド上に顧客情報を管理していることで、スムーズにお客さまの連絡先などを把握し、安心感のある対応ができるのです。
とはいえ、本当に必要なのかは、なかなかわかりにくいですよね。
そこで今回は、
- 葬儀業者のデジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例3つ
- 葬儀業者がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むときのポイント
を紹介します。
今回の記事を参考に、自社でもDXに取り組むとどうなるのか、具体的なイメージをつかんでいきましょう!
葬儀業者のデジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例1:株式会社博愛社
1つ目の成功事例は、「株式会社博愛社」です。
株式会社博愛社さまは、ご遺族に寄り添った丁寧なサポートを強みとしています。
全日本葬祭業協同組合連合会が認定する「葬祭業安心度評価」でも、最高評価のトリプルAを取得し、加盟社のうち10%に含まれているほど。
そのような企業でも、電話対応にDXの必要性を感じ、顧客情報やコミュニケーションを一元管理できる「カイクラ」を導入されました。次で詳しく解説しますね。
DXに取り組んだ背景は「動揺したお客さまからの電話対応の難しさ」
博愛社さまがカイクラを導入した理由は、「動揺しているお客さまにスムーズに対応するため」です。
葬儀は長い時間をかけて準備するものとは限りません。急逝はもちろん、余命宣告を受けていても動揺するお客さまが多いです。
そのため問い合わせの電話で、「名前や電話番号などをうまく答えられない」「顧客管理システムの検索に時間がかかる」などの課題が発生していました。
そこで、着信時にお客さま情報が表示される「カイクラ」を導入したのです。次で実際の効果をお伝えしますね。
DXの効果は自分たちから顧客情報を確認し、お客さまの精神的負担を減らせること
博愛社さまは、DXの効果として「お客さまの精神的な負担を減らせていること」と語られています。
カイクラを通して顧客情報を確認できることで、お客さま自身が個人情報を伝える必要はありません。担当者から「〇〇さまですよね」と問いかけることで、お客さまの負担が少なくなります。
結果として、担当者から余裕のある対応ができるように。お客さまは悲しい気持ちや睡眠不足の中、安心して通話することが可能になりました。
DXを通して、電話対応の効率化にも成功
博愛社では、以下によって業務の効率化にも成功しています。
- 担当者にスムーズな取り次ぎができる
- 営業電話を取り次ぐ必要性がなくなった
これまで電話対応は、営業事務が担当していました。カイクラの導入によって顧客情報と担当者名が表示されるため、担当スタッフがそのまま電話を取ることができます。
またカイクラでは、営業電話を登録することも可能。カイクラに1度登録しておくと、営業目的の電話に時間を取られることもありません。
上記2つの改善によって、作業を中断することがなくなり、業務の効率化に成功しています。
詳しくは、「極限の精神状態のご遺族からの電話「カイクラ」の導入で、電話対応の負担を軽減 ご遺族に寄り添う電話対応のため必要不可欠なツールに」をご一読ください。
葬儀業者のデジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例2:株式会社よりそう
2つ目の成功事例は、よりそうお坊さん便を提供する「株式会社よりそう」です。
「よりそうお坊さん便」とは、葬儀などのためにお坊さんを手配できるサービスのこと。
というのも近年、日常生活でお寺さんと接点を持つことはそれほど多くありません。葬儀など急な手配が必要になったとき、お願いできるお寺を見つけにくくなっているのが現状です。
よりそうお坊さん便では、明確な金額、かつ指定の日時に対応できる僧侶を手配してくれます。
お坊さんの手配にLINEのAIアシスタント「Clova」を活用
よりそうはDXの一環として、「LINEのAIアシスタント・Clova」を導入しています。
Clovaとは、LINEキャラクターの見た目をしたスマートスピーカーのこと。
Clovaに話しかけることで、以下のことを依頼できます。
- 3分法話:お坊さんの法話を聞くことができる
- 僧侶手配:指定の日時にお坊さんを手配できる
僧侶手配では、「葬儀」「供養」「戒名授与」の3つの目的から選択します。口頭で目的と電話番号を伝えるとコールセンターから連絡があり、個人のニーズにあったお坊さんを手配してくれます。
全国の1,200人のお坊さんと提携、累計問い合わせが4年間で約18.4倍に
よりそうでは、以下のサービスが始まった2013年から現在まで、全国のお坊さん約1,200人と提携しています。
またお坊さんと提携したことで、累計問い合わせが約18.4倍まで増加。
Clova用の袈裟をモチーフにした着せ替えを用意するなど、認知度アップのためにさまざまな取り組みを用意しています。
出典:PR TIMES「僧侶手配のお坊さん便が「LINE Clova」に登場 7月下旬以降Clovaスキルストアにて配信開始」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000016513.html
葬儀業者のデジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例3:株式会社アスカネット
3つ目の成功事例は「株式会社アスカネット」です。
株式会社アスカネットは、遺影などの写真の作成や加工を請け負っている企業です。
2020年、新型コロナの影響で葬儀に参加できない、故人を偲ぶことが難しくなることが増えました。
そこで株式会社アスカネットは、遺影写真や思い出のビデオなどをインターネット上で確認できる「inori(イノリ)」を開発します。
次で詳しく紹介しますね。
「inori」とは、Web上で遺影写真の閲覧や香典の注文ができるサービス
「inori」とは、時間や場所にとらわれずに故人を偲ぶことができる遺影写真のサービスです。
具体的な機能は、以下の2つ。
- 遺影写真:故人の写真を30秒ほど表示し、お悔やみのメッセージを表示させるもの
- メモリアルビデオ:ご遺族からお預かりした写真をもとに故人を偲ぶ映像を作成
上記のコンテンツを専用のWebページに作成し、式前や式中に閲覧してもらいます。
Webページ上で閲覧するため、時間や場所に左右されることがありません。
新型コロナの影響で遠方から葬儀に参加することが難しい場合でも、最後のお別れをすることが可能です。
DXは突き進めると、新しいサービスの開発にもつながる
ここまで、株式会社アスカネットの新サービス「inori」について解説しました。
本メディアでお伝えするDXとは、「身近な業務をデジタルによって効率化・自動化すること」です。ただしDXは突き進めると、inoriのような新サービスの創出にもつながります。
例えば、経済産業省の定義を見てみましょう。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
出典:経済産業省「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf
最終にたどり着くゴールは「ビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立すること」。
DXに取り組んだ企業が新規事業などを創出することは多く、長期的に取り組むと新たな利益につながることもあります。
DXについて、詳しくは「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?定義や事例、今後の課題など徹底解説」をご一読ください。
[clink url=”https://kaiwa.cloud/media/dx/about_dx/”]
葬儀業者がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むときのポイント
続いては、葬儀業者がDXに取り組むポイントとして、
- 通常業務からDXに取り組んでいく
- DXの必要性を理解する
の2つを解説します。
ポイント1:電話対応など通常業務から少しずつDXを取り入れる
1つ目は「通常業務から少しずつDXを取り入れること」です。
先ほどDXには、新サービスの創出なども含まれるとお伝えしました。とはいえ、いきなり新事業をDXによって考えるのはハードルが高いです。
まずは通常業務から身の丈にあったDXを取り入れる方が、段階的に取り組むことが可能です。
例えば、
- 電話対応
- 顧客情報の管理
など。
今回紹介した事例のように、お客さまとのコミュニケーションツールからDXの導入を検討してみてください。
ポイント2:葬儀業界ならではの課題とDXの必要性を実感してもらう
2つ目は「葬儀業界の課題とDXの必要性を実感してもらう」です。
お葬式などは頻繁に行われるのではなく、突発的に必要になることが多いのではないでしょうか。
場合によっては数十年前の顧客情報が必要であり、人の記憶ですべてを把握することはできません。また突然の不幸に対して積極的な営業をかけることも難しく、既存顧客のリストが重要となります。
数十年前の顧客情報でも、クラウド上にまとめておくと管理がスムーズになります。災害などで紛失する可能性も低く、検索もしやすいです。
実際に「なすの斎場」を運営する有限会社三誠では、顧客情報を管理するためにkintoneを導入しました。
kintoneを導入した2018年12月から2019年3月までの3ヶ月間で、およそ9,000の顧客情報を移行。アフターフォローも徹底したことで、売上が前年比200%を達成しました。
特殊な業界だからこそ、DXの必要性が高いことを証明した事例です。
出典:kintone「なすの斎場グループ 様の導入事例」
https://kintone-sol.cybozu.co.jp/cases/nasunosaijo.html
葬儀業者は電話対応など身近な業務のDXによって顧客満足度アップにもつながる
今回は、葬儀業者がDXに取り組んだ事例について解説しました。
おさらいすると、お伝えしたのは以下3つの成功事例です。
- 株式会社博愛社さま:カイクラの導入でスムーズな電話対応と業務の効率化を実現
- 株式会社よりそう:AIの活用で僧侶の手配をサポート
- 株式会社アスカネット:DXによって故人を偲ぶ新サービスを創出
また葬儀業者がDXに取り組むポイントとして、以下の2つをお伝えしました。
- 通常業務からDXに取り組んでいく
- DXの必要性を理解する
今回の成功事例を参考にしながら、DXの導入を検討してみてください。
また初めてDXに取り組む場合、まずは低予算のものからスタートするのがおすすめです。
低予算で実現できるDXについて、詳しくは「数万円でも始められる「身の丈」デジタルトランスフォーメーション(DX)で業務効率化を達成するには?事業・部署・部門での成功ポイントを紹介」をご一読ください。