「DXによって人手不足が解消できるって本当かな…」
と感じている方。
DXによって日々の業務を効率化し、企業の人手不足を解消することは可能です。
ただし、現在はDXに取り組めるIT人材そのものが不足しています。このまま進むと2025年には約43万のIT人材不足、そして最大12兆円の経済損失が生まれると予想されています。
IT人材の必要性を理解したうえで育成、DX推進に取り組むことで、企業は人手不足の解消や業務の効率化などが期待できます。
とはいえ、具体的にどのような方法でIT人材を育成すればよいのかは、なかなかわかりにくいですよね。
そこで今回は、
- DXとは、ITの活用によって企業活動や生活の質を向上させること
- デジタルトランスフォーメーション(DX)は企業の人手不足も解消する
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と未導入のリスク
- デジタルトランスフォーメーション(DX)を担う人材を育成した事例
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の人手不足を解消する対策
を紹介します。
まずはDXの概要について、ざっくりと理解しましょう!
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DXとは、ITの活用によって企業活動や生活の質を向上させること
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、IT技術の活用によって企業活動や人々の生活の質を向上させることです。主にAIやIoT、5Gなどのテクノロジーを活用します。
ただしDXの定義は非常に幅広く、企業の規模や個人の認識によってイメージが異なることが少なくありません。
例えば、経済産業省の意味は以下の通り。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
出典:経済産業省「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf
今回は「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」をDXの定義とします。
デジタルトランスフォーメーション(DX)は企業の人手不足も解消する
実はDXは導入によって、企業の人手不足を解消するといわれています。
DXというと大手企業が全社的な取り組みとして、
- チャットやコールセンターを統合したコンタクトセンターを構築
- コレクトセンターで集めた顧客の声を、次の経営施策へのデータとして利用
- AIやロボットを駆使して製造から在庫管理、配送まで管理できるシステムを制作
など、莫大な費用がかかる取り組みにフォーカスが当てられがちです。しかし、身近なところからデジタル化を行うこともDXに違いありません。
それを当メディアでは「身の丈に合ったDX(デジタルトランスフォーメーション)」と呼んでいます。その例は、以下のとおりです。
- 社内のやり取りをメールからSlackに移行
- ExcelからGoogleスプレッドシートに変更
- CRMシステムや生産管理システムの導入
- 電話対応に特化したシステムを活用し、会話内容を録音
- チャットボットを活用したホームページでの接客
例えば、社内のやり取りをメールからSlackに変更したとしましょう。これまでメールは複数の宛先を設定する、1つずつ開封する手間がかかるなど多くの時間を取られていました。
Slackの場合、チャットのような感覚でやり取りすることが可能です。気軽にコミュニケーションを取ることができ、連絡にかかる負担を軽減できます。
連絡業務を効率化することで時間が増え、コア業務に集中できる時間が増えることも。限られた人員であっても、業務をしっかりと遂行しやすくなります。
ただしITに対応できる人材の育成が必要、現在はまだまだ不足している
先ほどDXは、企業の人手不足を解消する可能性があるとお伝えしました。しかしまだまだ課題も多く、その中でも「ITに対応できる人材育成」が求められています。
というのも経済産業省によると、IT人材は以下のように不足していくといわれています。
【IT人材不足の現状と今後】
- 2015年:約17万人
- 2025年:約43万人
その理由は、以下の3つ。
- メインフレーム担い手の退職や高齢化
- 古いプログラミング言語を理解できる人材の不足
- 先端IT人材の供給不足
古いシステムを使っていると、運用方法などを把握している人材が限られます。また新しいシステムに対応できる人材が生まれる機会もなく、DXにもなかなか着手できません。
DXによって人手不足を解消できるのに、対応できる人材も不足している状態なのです。
出典:経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf
ここまでDXと人手不足の関係を解説しました。
続いては、実際にどれくらいの企業がDXに取り組んでいるのか、現状をお伝えします。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と未導入のリスク
株式会社三菱総合研究所が、DXの導入状況について調査しました。
- 未着手:26.4%
- 会社戦略は明確でない中、部門ごとなど一部は試行・実施中:39.6%
- 会社戦略に基づいて一部部門で試行・実施中:26.4%
- 会社戦略に基づいて部門横断的に推進:7.7%
未着手が26.4%と、まだまだ導入していない企業も多く、会社戦略が明確でない中着手している企業も39.6%ほど存在。
戦略に基づいて運営しているのは約34.1%と少数です。
また推進にあたっての課題として、以下の3つもあります。
- 全体工程を管理する人材が不足:55.3%
- ビジネス案を実際に形にする人材が不足:47.4%
- 十分な収益性を確保できるビジネスモデルが確保できない:44.7%
先ほどお伝えしたように、多くの企業が「IT人材の不足」によってDXにしっかりと着手できていないようです。
出典:株式会社三菱総合研究所「DX成功のカギはデジタル人材の育成 第2回:DX推進に求められる「デジタル人材」とは?」
https://www.mri.co.jp/knowledge/column/20200528.html
DXが遅れると、2025年には最大12兆円の経済損失が発生する可能性がある
DXは人材不足によって導入が難しくもありますが、未導入でも大きな損失が発生するといわれています。
経済産業省の予想では、DXの遅れによって2025年には最大12兆円の経済損失が発生するといわれているほど。
その理由は以下の3つです。
- 既存システムの複雑化・ブラックボックス化
- 増加するデータを活用できず、デジタル競争で敗者になる
- 事故や災害、トラブルなどでデータを紛失する
経済損失を防ぐためにも、IT人材を育成しながらDXに取り組むことが必要です。
出典:経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf
経済産業省が定義する理想のDX人材と必要なスキル
先ほどの経済産業省のデータでは、理想となるDX人材は「ユーザー企業のあらゆる事業部門でデジタル技術を活用し、事業のデジタル化を実現できる人材」と定義されています。
具体的な職種では、例えば
- プロデューサー
- ビジネスデザイナー
- エンジニア、プログラマー
- AIエンジニア
- UXデザイナー
などです。
このような人材の協力を得ながらDXに取り組むことが必要となりそうです。
DXの概要やメリットなど、詳しくは「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?定義や事例、今後の課題など徹底解説」をご一読ください。
[clink url=”https://kaiwa.cloud/media/dx/about_dx/”]
ここまでDXの導入状況と未導入のリスク、必要となる人材を解説しました。
とはいえ、具体的にどのような方法で人材不足を解消するのかは、なかなかわかりにくいですよね。
そこで次は、DX推進に向けてIT人材を育成した事例をお伝えします。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)を担う人材を育成した事例
ここからは、DX推進のためにIT人材を育成した事例として、
- ダイキン工業
- 住友生命
の2つを紹介します。
事例1:ダイキン工業
ダイキン工業は社内講座「ダイキン情報技術大学」を開講して、社内のDX人材を育成しています。
ダイキン工業は、新たな事業創出やものづくり技術化の高度化、業務改革の推進のために、DXの1つであるAIの活用が必要だと考えていました。
社内で講座を開講した理由は「優秀な人材は即戦力となるが、獲得競争が激しいため」。
また社内での育成は、事業戦略と連動した教育プログラムを提供できることが強みにもなります。結果として、課題解決のためのデータ収集や活用をスムーズも進むと考えたのです。
ダイキン情報技術大学では、以下の授業を提供しました。
- 数学などの基礎知識
- プログラミング
- 機械学習やAI応用
また管理職、既存社員、新入社員にわけてコースを用意し、新入社員は入社から2年は講座での学習に専念。
2018年には新入社員351人のうち、希望者である100人が受講しました。
自社内で育成した人材によって、新たな事業やサービスを創出していく予定です。
出典:みずほ情報総研「DX推進人材を育成し活躍を促す企業の取り組み」
https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/navis/039/special02.html
事例2:住友生命
住友生命は既存エンジニアにテストを実施し、DX推進に向いている人材を発掘しています。
住友生命がDX推進をスタートした理由は「基幹システムの刷新を見越したため」です。
現在稼働している古いシステムを縮小し、そのシステムを担当していた人材にテストを実施。DXに適した人材は、新プロジェクトに配置転換することを考えています。
テストは主に以下の3つ。
- イノベーティブ人材診断:好奇心や独創性などを評価するもの
- 人間力診断:実行力や計画力、コミュニケーション能力など仕事に必要な能力を測定するもの
- ITBT検定:IT技術のトレンドとビジネストレンドの知識を問うもの
上記のテストで能力や知識を数値化し、適切な人材によってDXに取り組みます。
出典:日経X TECH「DX人材不足の解決策を発見か、住友生命が目をつけた意外な「発掘先」」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/02925/
ここまでDX推進のために、IT人材の不足を解決した事例を紹介しました。
とはいえ、講座開設やテストを実施するほどの予算を確保しにくい企業も多いかと思います。
そこで次は、中小企業などが取りかかりやすい対策や、身近なところからできるDX推進の例を紹介します。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の人手不足を解消する対策
ここからは、DX推進のための中小企業向け対策として、
- アウトソーシングの活用
- 中長期的な視点を持った戦略
- 補助金による予算の確保
の3つを解説しますね。
対策1:アウトソーシングで専門知識を持った人材の協力を得る
スムーズな人材確保の方法として、アウトソーシングによって社外の協力を得ることも考えてみましょう。
アウトソーシングをおすすめする理由は、以下の2つ。
- 高い専門性を持った人材の技術を活用できる
- テストや講座開設などよりも素早くDXに取り組める
特にエンジニアやプログラマーは個人事業主として活躍している人も多く、すぐにプロジェクトや業務に参加してもらうことが可能です。
社外に任せられる業務はお願いすることで、自社スタッフはコア業務に集中できることも少なくありません。
時間や予算が限られているときは、アウトソーシングの活用を検討してみてください。
対策2:中長期的な視点を持ちながら人事戦略を考える
DXに取り組むときは、中長期的な視点で人事戦略を考えながら取り組みましょう。
先ほど、専門性を持った人材をアウトソーシングで採用するのも良いとお伝えしました。しかし多様な専門性を持つ人材は価値観なども幅広く、企業への定着が難しいことがあります。
DX推進にあたっては、多様性のある人材を明確にしたうえで、個人の現状にあわせたキャリアパスを用意することが欠かせません。
つまり、足りないスキルを一時的に埋めるためにアウトソーシングを活用するのではなく、長期的に参加してもらう戦略を考える必要があります。
そのためにも、以下3つの視点は重要です。
- なぜその人材を採用するのか
- どのようにしてその人材の成長に貢献できるか
- 自社オリジナルのビジョンは何か
このような視点を持ったうえで専門性のある人材を採用することで、DXへの取り組みも成功しやすくなります。
対策3:補助金などを活用して、十分な予算を確保する
人材確保やDX推進のための予算が厳しい場合は、補助金などの活用も検討しましょう。
例えば、「IT導入補助金2020」。
こちらは業務の改善やテレワークの導入にかかる費用を、一部補助してくれるものです。対象は認定を受けたITツールに限られますが、負担費用は「合計金額の4分の3」と大きいです。
補助金などを活用しながらDXに取り組むことで、導入スピードも早くなるはずです。
気になる方は、補助金の申請も検討してみてください。
DXは企業の人手不足を解消するが、ツールを活用できるIT人材の育成も欠かせない
今回は、DXにおける人手不足とその対策について解説しました。
おさらいすると、DXは取り組みによって企業の人手不足を解消する可能性がありますが、そもそもDXに取り組めるIT人材が不足しているのが現状です。
その理由は以下の3つ。
- メインフレーム担い手の退職や高齢化
- 古いプログラミング言語を理解できる人材の不足
- 先端IT人材の供給不足
そして中小企業などでも取り組みやすい人材不足の解消方法として、以下の3つをお伝えしました。
- アウトソーシングの活用
- 中長期的な視点を持った戦略
- 補助金による予算の確保
今回の記事を参考にしながら、少しずつ身の回りのDXに取り組んでいきましょう。
またアウトソーシングなどIT人材を採用するのではなく、まずは低予算のDXツールを導入してみるのもおすすめです。
詳しくは、「【低予算でDX】中小企業におすすめのデジタルトランスフォーメーション(DX)サービスと成功事例」をご一読ください。
[clink url=”https://kaiwa.cloud/media/dx/dx_teiyosan/”]
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