自動車業界で沸騰しているワードの一つにCASEという言葉があります。
「聞いたことはあるけど、CASEって何?」
「CASEが自動車業界で注目されている理由は?」
「CASEによって自動車業界はどうかわるの?」
と思うことはありませんか?
CASEは自動車の在り方を変える大きな変革です。知らぬまま販売・生産を続けていると、競合他社に遅れをとる可能性もあります。この機会にCASEという言葉だけではなく、その概要、そして業界のこれからの動向についてもおさえておきましょう。
そこで今回は、CASE実現へ向けて日本の自動車産業がどのように動いているのか解説します。
- CASEの概要
- 日本の企業がCASEを積極的におこなう3つの理由
- そこから見えてくる今の日本の課題3つ
ぜひ最後までご一読ください!
自動車における「CASE」とは
2016年9月に行われたパリモーターショー2016で、メルセデス・ベンツグループ(旧名:独ダイムラー)が中期戦略として掲げた「CASE(ケース)」。
日本でもトヨタ自動車の豊田章男社長が、「100年に一度の大変革の時代を迎えているが、その変化を起こしているのはCASEだ」といい切り、自動車業界では今CASEという言葉が注目を浴びています。
ではベンツが提唱し、トヨタ社長も重要なキーワードと考えているCASEとはどのようなものなのでしょうか。
CASEは、以下の頭文字をとった造語です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
- C:Connected:IoT
- A:Autonomous:自動運転
- S:Shared&Service:シェアリングサービス
- E:Electric:電気自動車
Connected:IoT
Connectedとは、車に通信技術を搭載しIoTを活用しネットワークで車とユーザがつながる仕組みをつくることです。
車に情報通信技術(ICT)を搭載し車の状態や混雑状況を把握できるカーナビサービスや、渋滞情報の通知を受け取るなどは現在でもおこなわれていますが、将来的には双方向のサービスを目指しています。
また、車同士の情報を共有する機能が増えてくることも予想されています。たとえば近くで事故が起きた場合に、通知する仕組みなどです。このように、車が通信技術を持ったことでできることは増えています。
Autonomous:自動運転
Autonomousとは自動運転技術のことです。
自動運転には、人の運転を支援するものから、人がハンドルなどに触れることなく完全に走行するものまで、いくつかのレベルがあります。
- レベル0:自動化していない車
- レベル1:人の運転を自動システムが支援する車
- レベル2:特定の条件でのみ自動運転する車
- レベル3:限定的な場所での自動走行が可能な車
- レベル4:限定的な地域でのみ自動走行が可能な車
- レベル5:完全な自動走行が可能な車
完全に自動走行が可能になると、公道には乗用車だけではなく無人のタクシーやバスが走る、そんな未来が訪れそうです。
Shared&Service:シェアリングサービス
Shared&Serviceとは、カーシェアリングやライドシェアリングなどのサービスのことです。
都心部では徐々に認知され始めたカーシェアリング。車を持たない層が、カーシェアリング会社の会員になり、企業が所有する車を使いたいときに手軽に利用できるシステムです。
またライドシェアリングは、自動車を数人で相乗りすることによってタクシーよりも安く、目的地に行けるサービスです。欧米などでは主流ですが、日本では自家用車に有料で客を乗せることは禁止されているので、事業として展開するには法改正が必要になります。
物価が上昇していることもあり、安いライドシェアリングサービスを選択する人が増えてくると予想されます。
Electric:電気自動車
ElectricとはEV車(電気自動車)のことです。充電して走るEV車は、排気ガスなどがでることもないので環境問題の解決策にもなります。
また維持費(車検費用など)がEV車の方が安いこともあり、今後購入する方が増えて来るのではないでしょうか。
持続可能な開発目標「SDGs」の取り組みや「ガソリンの高騰」などにより、EV車の購入を検討しているユーザも一定数います。今後はガソリン車は廃止され、EV車がメインとなるでしょう。
参考:CASE技術戦略プラットフォームとは
経済産業省でもCASEに対して官民で取り組む指針を示し、「CASE 技術戦略プラットフォーム」を設立しました。
CASE 技術戦略プラットフォームとは、メーカーやサプライヤーなどを集めてCASEに関する情報を共有する会議です。
CASE 技術戦略プラットフォームでは、今後取組を強化すべきCASE技術に関して以下のように明示されています。
世界が取り組んでいる目標に日本だけ遅れると、世界の市場を失うことにもなりかねません。そのため、国と企業が一丸となって推し進めているのです。
CASEが注目される理由3つ
CASEが自動車業界で注目されている点は、大きく3つです。
- ニーズの多様化
- 環境対策
- 競争の激化
ではなぜ、ここに注目しているのでしょうか。その理由をみてみましょう。
【理由1】ニーズの多様化
1つ目の理由は「ニーズの多様化」です。
ここ数年でアナログからデジタルになったり、AIが実用化されたりなど、革新的技術が生活の中にもあふれていることを多くの人が実感しています。
だからこそ一部のエンドユーザからは「そろそろ革新的技術の車が誕生してもいいのではないか」、「スマートフォンとアプリを連動させて走る車はできないのか」など、自動車業界に改革を求める声が集まり始めました。
また「車は持つより、共有するものだ」と思う層も増えています。日本人のライフスタイルが多様化したことで従来のやり方では顧客を満足させるのは難しいと考え、CASEに注目が集まっています。
▼ほかにも顧客が求める自動車販売のサービスなどは下記を参考にしてみてください。
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【理由2】環境対策
ガソリン車と大気汚染は、切っても切り離せない環境問題です。世界的に温暖化が進むにつれ、CO2削減は自動車メーカに課せられた使命ともいえます。
そこで打ち出したのが、地球に優しいクリーンエネルギーで走るEV車です。環境に優しいだけではなく維持費もガソリン車より安いため、購入を決める方も増えています。
CASEの取り組みによって、電気自動車の普及は今後さらに進むのではないでしょうか。
【理由3】競争の激化
上記でお伝えした通り、自動運転には以下のレベルがあります。
- レベル0:自動化していない車
- レベル1:人の運転を自動システムが支援する車
- レベル2:特定の条件でのみ自動運転する車
- レベル3:限定的な場所での自動走行が可能な車
- レベル4:限定的な地域でのみ自動走行が可能な車
- レベル5:完全な自動走行が可能な車
日本の自動運転システムはまだレベル1から2程度ですが、海外ではすでにレベル4の技術が搭載された車が完成しました。
極端にいえば、従来の技術に頼り新しいことに挑戦しないでいると、自動車産業は海外市場でシェアを失う可能性もあるでしょう。また海外の自動運転に並ぶ技術を確立するために、日本国内の企業も競争が激化していく可能性があります。
ここまでCASEが注目される理由を3つ紹介しました。では、実現に向けてどういった課題があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
CASE実現の課題3つ
CASEに積極的に取り組む自動車メーカーですが、3つの課題が見えてきました。
- シェアサービスが浸透していない
- 完全無人化は難しい
- 制御コンピュータの進化が必要
この内容について説明します。
【課題1】シェアサービスが浸透していない
「カーシェアリング」の言葉を知っている人もいますが、サービスを理解している人は一定数にすぎません。
その理由は、以下の2つです。
- 地方では車での移動が当たり前になっているため不便に感じる方も多い
- ライドシェアリングの法律がまだ整備されていない
都心で暮らす人は電車やバスなどの交通機関を利用する方が便利なため、休日にしか車に乗らない方も多いです。そのため、カーシェアリングに需要があります。
しかし、一家に一台以上の車を保有するのが当たり前の地方では、駅から遠いところに職場があることも多いです。車は毎日乗る移動手段となっており、リースやレンタルでは不便に感じてしまいます。
上記の背景により、カーシェアリングが浸透しにくいです。
またライドシェアリングは法律でまだ認められていないため、認知度が少ないのは当然と言えるでしょう。日本で認可がおりたタイミングで、多くの人が利用するサービスになるのではないでしょうか。
【課題2】完全無人化は難しい
自動運転が当たり前になると、自家用車だけではなく無人のタクシーやバスなども走る未来予想図が見えてきます。
しかし残念ながら、日本の自動運転のレベルは1〜2の車がほとんどです。レベル1〜2はドライバーが運転を監視して走行するのに対して、レベル3以上はシステムによる監視がメインとなるため、2と3の間には大きな技術の壁があります。
とはいえ海外ではレベル3以上の技術を搭載した車が完成していることから、今後出てくる可能性は高いでしょう。日本の法改正の動きについても、チェックしていきたいところです。
【課題3】制御コンピュータの進化が必要
自動車の内部には制御コンピュータが多く組み込まれています。しかし外部との通信を前提としたコンピュータではないため、CASEの車には対応できない課題があります。
とはいえ「国がCASEを推進していること」「海外ではすでにCASEがかなり進められていること」なども考慮すると、今後技術は進化していくことが予想されます。
なお、自動車業界が抱える課題は他にもいろいろあります。詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
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CASE実現に向けたメーカー事例
課題の多いCASEへの取り組みですが、実現に向けてメーカーは色々な取り組みを実施しています。
▼CASE実現に向けたメーカーの事例
自動車メーカー | 取り組み |
---|---|
トヨタ | ・コネクテッドサービス「T‐Connect」を開始 ・今後国内で発売するほぼすべての乗用車にDCM(車載通信機)を搭載予定 |
日産 | ・米マイクロソフトと提携 ・「NissanConnect」を展開 スマートフォンと連動して操作をする |
スバル | ・ネクトサービス「STARLINK(スターリンク)」開始 ・目標は世界の主要市場で2022年までに8割以上の新車をコネクテッドカーにする |
マツダ | ・トヨタとのアライアンスを最大限活用していく方針 ・情報、エンタメなどのコネクテッドサービス「G-BOOK ALPHA」を提供 |
ホンダ | ・ソフトバンクと提携 ・通信モジュール「Honda CONNECT」搭載車を拡大中 |
また車載通信技術は各社それぞれで開発するには費用も時間もかかりすぎることから、スズキ、スバル、ダイハツ、トヨタ、マツダの5社が、車載通信機の技術仕様を共通する協調領域を設けました。
車載通信機技術のベースをトヨタが提供し、スズキ、スバル、マツダ、ホンダはそれを利用しつつ、アプリケーションやサービス面はそれぞれで開発をすすめています。それにより開発の時間がかなり短くなりました。
まとめ:CASE実現に向けた自動車業界の動向に注目
100年に一度の大変革の時代を迎えている自動車業界。国内外の企業のトップたちもCASEへの取り組みを早急に進めなければならないと考えているようです。
日本でCASEを成功させるための3つの課題をあげましたが、それをクリアするために、国と企業はタッグを組み、果敢に挑んでいる最中です。近い将来、CASEが実現し、日本の自動車業界は大きな転機を迎えることは間違いないでしょう。
そのときに備えて、営業所でも今から準備が必要です。顧客満足度の高いサービス提供をしたい方は、電話対応の品質改善を進めてみてはいかがでしょうか。
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