2021年に施行されたデジタル改革関連法により、さまざまな業界でデジタル化が推進されています。従来アナログ志向が強かった不動産業界も例外ではなく、少しずつ業務のデジタル化が進んでいます。
デジタル化の波に乗り遅れると、提供できる顧客体験に他社との差が生まれる恐れがあり、競争力の低下は避けられません。
そこで本記事では、不動産業界にデジタル化が求められる背景とともに、具体的にどのような業務がデジタル化の対象となるのかを詳しく解説します。
なお、生産性を上げるには、デジタル化とあわせて現状の課題を理解しておくことも重要です。カイクラでは「不動産会社の新戦略」として、不動産業界を取り巻く課題と契約率アップの秘訣をまとめた資料を無料で配布しています。お気軽にダウンロードください。
\契約率アップの秘訣を紹介!/
不動産会社の新戦略の詳細を見る
▲2年で500→800戸へ!
不動産デジタル化とはデジタル技術を使って業務効率化すること
「不動産デジタル化」とは、不動産業界のアナログな業務をデジタル技術で効率化する取り組みです。
たとえば、これまで手書きで行っていた「契約書作成業務」をデジタル化すると、パソコンやタブレットを使用してオンライン上で完結できるようになります。
また、「紙の書類で管理していた顧客情報や物件情報」は、システムを導入してデータベース化すれば一元管理が可能です。
このように、手動でやっていた業務の一部をシステムで自動化することで、情報の管理・共有を簡単にして業務の負担を減らすことを目的としています。
「デジタル化は手段・DX化はゴール」それぞれの違い
「デジタル化」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)化」は似ていますが、それぞれ目的が異なります。
前述した通り、デジタル化とは「デジタル技術による業務の効率化」です。一方、DX化は、「デジタル化を進めて、業務体制を整えたり新しいビジネスモデルを生み出したりすること」を目指します。
それぞれ具体例を挙げてみると、以下の通りです。
- デジタル化:お客様の情報をデータベース化しパソコンで管理する
- DX化:デジタル化によって得られた顧客のデータベースを活用して、お客様のニーズや行動分析をし、新しいサービスを考える
つまり、デジタル化はDXを実現するための手段のひとつであり、DX化がより大きな目標といえます。
不動産業界にデジタル化が求められる理由2つ
不動産業界でデジタル化が急速に進んでいる背景には、主に2つの理由があります。
- デジタル改革関連法の成立に伴う変化
- 慢性的な人手不足の解決策としてのデジタル化
それぞれ解説します。
【理由1】デジタル改革関連法の成立に伴う変化
1つ目の理由は、2021年に施行された「デジタル改革関連法」です。この法律により、さまざまな業界でデジタル化が推進されることになりました。
従来アナログ志向が強かった不動産業界でも、例外ではありません。
宅地建物取引業法における「押印義務の廃止」と「書面化義務の緩和(書面の電子化)」の法改正はその1つです。この結果、重要事項説明や契約手続きをオンラインで完結できるようになりました。
実際、不動産テック7社と全国賃貸住宅新聞が2023年に行った調査によると、不動産関連事業に従事する1,436名のうち、66.5%がDXに「取り組んでいる」または「取り組む予定である」と回答しています。
なかでも管理⼾数が3,000⼾以上5,000⼾未満の企業がDXへ取り組む割合は、96.6%と最多でした。
この結果からも、デジタル化の波が不動産業界に押し寄せていることがわかります。
【理由2】慢性的な人手不足の解決策としてのデジタル化
2つ目の理由は、不動産業界が長年抱えている慢性的な人手不足問題です。
公益財団法人不動産流通推進センターの調査「2023年不動産業統計集」によると、不動産業界の法人数は年々増加しているにも関わらず、一事業所あたりの平均従業員数は3.6人と、全産業平均よりも4人以上少ない状況です。
今後も小規模体制が続くと予想される中、いかに日々の業務の生産性を向上させるかは大きな課題といえます。そこで注目されているのが、業務効率化を図れるデジタル化です。
つまり、デジタル化は不動産業界にとって避けては通れない道であり、今後もますます加速していくと考えられます。
不動産デジタル化がもたらすメリット
デジタル化による最大のメリットは、「業務の効率化」です。これまでアナログな方法で行っていた仕事をデジタル技術で自動化することで、作業時間を大幅に削減できます。
たとえば、契約書の作成を手書きから電子化して、修正や確認が簡単になった結果ミスが減れば、限られた時間や人員でもより多くの仕事をこなせるようになります。
次に注目したいのが「一元管理によって組織全体での顧客対応が可能になる」点です。
営業データを社内で共有できれば「この顧客の情報は担当者しか知らない」という状態を防ぎ、接客の品質向上へ貢献します。さらに、共有された情報は新人教育にも活用でき、組織全体のスキルアップにもつながります。
また「顧客のさまざまなニーズに柔軟に対応できるようになる」点もメリットのひとつです。
たとえば、内見予約や問い合わせをWebで受け付けるようにすれば、24時間365日いつでも顧客の空いている時間に予約できます。
以上のように、デジタル化はさまざまな面で不動産業界に良い影響をもたらすことが期待されています。
デジタル化へ移行するメリットについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
デジタル化が進む不動産業界の業務8つ
ここまで、デジタル化の概要や不動産業界にもたらすメリットについて解説してきました。では、不動産会社がデジタル化をすることで具体的にどのような業務が変化するのでしょうか。
本項では、8つの業務におけるデジタル化の取り組みを役立つツールとともに紹介します。
業務名 | ツール名 | 説明 |
---|---|---|
電話業務 | 電話業務効率化システム | 電話業務を効率化するための情報管理・通話録音ツール |
賃貸管理 | 賃貸管理(不動産基幹ソフト)システム | 入居者の契約情報など賃貸管理に関わる情報をデータベース化する |
入居申込 | 電子入居申込システム | 入居申込から審査までをオンラインで完結するためのツール |
重要事項説明(IT重説) | IT重説システム | 不動産の取引時に行う重要事項説明を非対面で行うためのツール |
契約 | 電⼦契約システム | 書面ではなくインターネット上で契約を締結するためのツール |
内見予約 | 内見予約システム | 内見予約の受付業務をオンラインで自動対応または簡略化できるシステム |
賃貸査定 | AI査定システム | AI技術を使って賃貸査定を行うシステム |
内見 | VR/オンライン内見システム | その場に行かなくても物件の内見をできるようにするツール |
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
【業務1】電話業務
電話に頼りがちな不動産業界のやりとりは、電話業務サポートシステムの導入によって効率化が可能です。
受電と同時に電話相手の顧客情報を表示できるため、顧客に要件を伺わなくても担当案件を把握できます。
また、通話内容の記録機能により、「言った・言わない」問題を減らしたり、社内での情報共有がスムーズになったりするメリットもあります。
▼電話業務サポートシステムの主な機能
- 電話相手の情報(名前、電話番号、メールアドレスなど)
- お問い合わせ内容・対応履歴を表示
- 通話内容をテキスト化
- メモ機能
- 自動通話録音
- ビデオ通話
- メール送信 など
電話対応の品質向上には、「カイクラ」の導入がおすすめです。
カイクラを導入すれば、顧客の電話番号に紐づけて通話した内容を一元管理し、社内で共有できるので、情報伝達の時間が短縮でき「顧客を保留で待たせない電話対応」が実現します。
「カイクラ」の資料は以下から無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。
\利用社数2,600社以上!/
カイクラの詳細を見る
▲無料ダウンロード資料あり
【業務2】賃貸管理
賃貸管理に関わる情報は、データベース化するシステムを導入すれば、データ紛失や手作業による入力ミスを最小限に抑えられます。
物件情報や入居者情報を、必要なときにすぐに検索して引き出せる点が魅力です。更新手続きのアラートなども自動化されるため、確認作業の負担が減ります。
▼賃貸管理システムの主な機能
- 物件登録・管理入居者の情報管理(個人情報、契約内容など)
- 台帳管理
- 家賃の入出金管理
- 契約書類の管理・作成(賃貸借契約書、更新契約書など) など
【業務3】入居申込
入居申込は、オンラインシステムの導入で利便性が上がります。
入居希望者・仲介会社・家賃保証会社とのやり取りがオンライン上で一元管理できるようになれば、従来FAXや電話で確認していた時間が大幅に短縮されるためです。
システム化のメリットは、ミスを減らすことにもつながります。たとえば、書類に不備があった場合でも、自動でエラーが表示されるため自身で修正が可能です。
また、入居希望者にとっては、不動産会社へ足を運ぶ必要がなくなり、自身のパソコンやスマートフォンから必要事項を入力するだけで申込手続きが完了できるメリットがあります。
▼入居申込システムの主な機能
- 電子入居申込管理
- 仲介会社とのチャット
- メッセージ自動送信 など
【業務4】重要事項説明(IT重説)
不動産の取引時に行う重要事項説明(宅建業法第35条)を、ビデオ通話などのITを活用してオンラインで実施することで、内見から契約までの時間短縮を図ります。
顧客は不動産会社に足を運ばなくてもいいため、遠方にいる方や多忙な方でも契約を完了できるメリットがあります。
▼ビデオ会議システムの主な機能
- オンラインミーティング機能
- 録画録音機能など
録画録音機能はトラブル防止のためにも必要です。インターネット環境があれば無料のビデオ会議システムでも実施できますが、本格的な運用を考えている場合には、機能が揃っている有料ツールの導入をおすすめします。
なお、IT重説を行う際は、国土交通省が発表している「IT重説マニュアル」を参考にしましょう。
参考:賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明実施マニュアル概要
【業務5】電⼦契約
契約に関わる業務は、電子帳簿保存法の施行により電子契約化が進んでいます。
参考:国税庁「電子帳簿保存法の概要」
電子契約は、インターネット上でPDF形式の契約書を用い、従来の押印に代わって電子署名やタイムスタンプを活用して締結する契約方式です。
紙の契約書に比べて管理が楽になるだけではなく、顧客の来店負担も大幅に軽減されます。時間や場所の制約を受けずに契約手続きを進められるため、さまざまな顧客のニーズに応えられます。
なお、法的効力を持つ電子契約を実施するためには、専用の電子契約システムの導入が不可欠です。
▼電子契約システムの主な機能
- 契約書作成
- テンプレート管理
- 締結した契約書の管理
- 紙の契約書もデータ化して保存
- アラート通知機能 など
【業務6】内見予約
内見予約のデジタル化は、管理会社と顧客の双方にメリットがあります。
内見ができる日時をリアルタイムで確認し、自動で顧客への連絡をするため、管理会社が確認する手間が減ります。これにより人的リソースを他の重要業務に振り分けることが可能です。
さらに、時間や場所の制約なく24時間365日予約できることは、現代の多様なライフスタイルに対応する重要なサービスであり顧客満足度へとつながります。
また、いつ・どの物件に何件の内見予約が入ったかといったデータを自動的に集計・分析することで、顧客ニーズの把握や市場動向の予測にも活用できます。
▼内見予約システムの主な機能
- 内見予約の一覧表示・管理
- 内見予約メール送信
- 内見予約データ集計 など
【業務7】賃貸査定
賃貸査定にシステムを導入すると、査定業務に必要な、事例探し・賃料査定・資料作成などの時間のかかる作業を大幅に効率化でき、人件費を削減できます。
また、AIシステムを導入した査定内容は、担当者によって結果がぶれにくいメリットがあります。
従来の方法では、担当者の経験値に大きく依存していたため、結果にばらつきが生じる恐れがありました。AIシステムを導入することで、客観的かつ統一された基準での査定が可能です。
さらに、経験の少ない社員が査定をする際の答え合わせとして使うなど、新人教育にも活用できます。
▼賃貸査定システムの主な機能
- データに基づいた査定報告書を作成
- 設備の影響金額を表示
- 賃料の妥当性がわかる過去の事例を表示 など
【業務8】内見
内見の負担は移動時間がかかる点です。特に遠方から物件を探している顧客にとっては、限られた滞在時間の中で契約を判断する必要がありました。
そこで、近年ではオンラインを使った内見が求められています。実際に現地に行かなくても物件のイメージを共有できるため、来店せずに物件の内見が可能です。
オンライン内見は、以下のようにさまざまな手法があります。
不動産会社のスタッフが物件へ行き、ビデオ通話で物件の紹介をする
VR技術を使って360°カメラで物件を撮影してバーチャルルームツアーをする
また、オンライン内見は、顧客の利便性を高めるだけではなく、不動産会社にとっても業務効率の向上につながります。より多くの物件を短時間で紹介できるため、成約率の向上にも寄与する可能性があるからです。
▼バーチャル内見システムの主な機能
- ビデオ通話
- ライブ配信
- VRコンテンツの作成・配信 など
どう活用する?不動産デジタル化の成功事例
不動産会社では、どのように活用しているのでしょうか。ここでは、実際にデジタル化で成果を上げた事例を紹介します。
総合的な不動産サービスを提供する「株式会社山一地所様」は、電話業務効率化ツールの「カイクラ」を導入し、業務負担の大幅な削減に成功しました。
その効果は主に3つの面で表れています。
1つ目は、電話対応の時間を短縮できるようになったことです。データベースから過去履歴を検索し、状況把握が容易にできるようになりました。誰でもワンコールで電話が取れるようなスムーズな顧客対応が可能となり、電話1件あたり約30秒の効率化ができたと言っても過言ではありません。
2つ目は、音声録音機能の活用です。「音声を録音している」旨をお客様にアナウンスするだけで、実際のクレームやトラブルが減るという効果がありました。
3つ目は、SMSと電話を併用することにより、お客様とスムーズなコミュニケーションが取れるようになったことです。日中はお仕事で忙しくされている方や知らない電話番号からの電話には出ない方でも、会社の番号からSMSで用件を伝えることで、すぐに折り返しお電話がかかってくるなどの効果がありました。
成功事例について詳しくは、以下のインタビュー記事をご一読ください。
参考:「カイクラ」導入7年目で約2,500万円の売上創出効果/前回のインタビューからさらに「カイクラ」の効果が具体的に!
なお、電話対応業務以外の成功事例が知りたい方は、以下の記事もあわせてご一読ください。
まとめ:不動産デジタル化を導入するならいま!
本記事では、不動産業界で急速に進むデジタル化の背景と具体的にどのような業務がデジタル化されているかを詳しく見てきました。
デジタル化は、業務効率を大きく変えます。不動産業界でのデジタル化は今後も加速すると予想されますので、この機会にぜひ検討してみてください。
シンカでは、不動産会社でカイクラを活用した新戦略をまとめた資料を無料配布しています。顧客購買心理にも触れながら契約率アップの秘訣を解説していますので、詳しく知りたい方は以下よりダウンロードください。
\契約率アップの秘訣を紹介!/
不動産会社の新戦略の詳細を見る
▲2年で500→800戸へ!