あらゆる業界で関心が高まるDX(デジタルトランスフォーメーション)。自動車業界も例外ではなく、業界全体としてDX導入が進められています。
しかし
「実際に自動車業界のDXはどう進んでいるの?」
「各社どんなDXを行っているの?」
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では下記について解説します。
- 自動車業界における2つのDX導入トレンド
- 自動車業界のDX導入事例
- 自動車業界でDX導入が求められている背景
- 現在の自動車業界のDX導入状況
注目を集める「CASE」の解説をはじめ、事例を含めて自動車業界のDXについて見ていきます。最後までご一読ください。
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自動車業界のDX導入トレンドは2つある
自動車業界のDX導入トレンドは下記の2つです。
- 自動車業界の大きなトレンド「CASE」
- サプライヤー向けのDX導入
それぞれ詳しく解説しますが、特に1つ目の「CASE」はトヨタ自動車の社長も注目している言葉。業界のDXを把握するうえで欠かせません。
ではひとつずつ見ていきましょう。
1.自動車業界の大きなトレンド「CASE」
自動車業界全体のDXに欠かせない言葉が「CASE」です。
CASEは下記の言葉の頭文字を取った造語で、主に一般消費者向けのDXです。
- C(Connected):自動車のIoT
- A(Autonomous):自動運転
- S(Shared & Service):シェアリングサービス
- E(Electric):電気自動車
具体的な取り組みはこちらです。
概要 | |
---|---|
C(Connected):自動車のIoT | ・車に通信技術を搭載し、IoTを活用してネットワークで車とユーザーがつながる仕組みをつくること ・将来的には双方向でのサービスが目指されている |
A(Autonomous):自動運転 | ・自動運転技術 ・政府主導での開発が進められている |
S(Shared & Service):シェアリングサービス | ・自動車を所有するから共有する仕組み ・カーシェアリングが増加している |
E(Electric):電気自動車 | ・環境負荷軽減を目的に世界各社が開発 ・日本でも2035年以降新車の発売は電気自動車のみへ |
「CASE」が実現することにより、消費者の乗車体験は大きく変わるといえるでしょう。
後ほど「CASE」に沿ってDXを進めている企業の事例を紹介していますが、「CASE」についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。あわせてご一読ください。
[clink url=”https://kaiwa.cloud/media/trends/car-sales-case/”]
2.サプライヤー向けDX導入
2つ目のトレンドはサプライヤー向けのDX導入です。
自動車業界のDXが進み、新技術が増えている分、従来通りのやり方ではサプライヤー各社も対応しきれません。そのため、サプライヤー向けのDX導入も進んでいます。
たとえば、会社内外でシステムを連携し、下記を行うことで生産性の向上を図るような取り組みも行われています。
- リアルタイムでデータを共有
- 不良品・ミスの早期発見
ものづくりの現場は未だに長年の勘や経験に依存している部分もありますが、人手不足になりつつある中で人的資産に依存し続けるわけにはいきません。
IoTやAIの導入を進め効率化・生産性向上を図ることが、企業の成長のためにも重要です。
自動車業界のDX導入事例
自動車業界のDX導入事例を紹介します。
- 【事例1】トヨタ自動車
- 【事例2】フォルクスワーゲン
- 【事例3】TOYOTA SHARE
- 【事例4】テスラ
- 【事例5】旭鉄工
それぞれ自動車業界のDXのトレンド「CASE」、サプライヤーのDX事例となっています。
【事例1】トヨタ自動車
トヨタ自動車が進めているDXは、「CASE」でいうC:Connected。IoTで工場と現場などの部署間をつなぐ情報共有基盤の構築がされています。
これまでも個々のデータのデジタル化を通じて技術開発や生産準備に成果をあげてきたトヨタ自動車。しかし実際の製造や消費者からのデータを技術開発にタイムリーに反映できない点に課題を感じていました。
そこで工場を横断する共有プラットフォームを構築。
各事業部や工場が共有プラットフォームを使った現場プロジェクトを立ち上げ、取り組みの数を増やしたことで、トータルで費用対効果の向上に成功しています。
工場IoTの成功を受けて、工場IoTをエンジニアリングチェーンやサプライチェーンへと展開。開発・市場・工場をDXで連携することを目的に情報共有基盤の構築が進められています。
【事例2】フォルクスワーゲン
ドイツの自動車メーカー「フォルクスワーゲン」で進めるDXは、「CASE」のA(Autonomous)にあたる自動運転の開発です。
フォルクスワーゲンでは、2019年に自動車運転の最先端技術研究所として子会社を立ち上げ、自動運転の市場導入を目指しています。また、2022年1月には自動車部品世界最大手のボッシュと自動運転技術で提携を発表して自動運転のソフトウェア開発に臨んでいます。
2023年には高速道路におけるレベル3(条件付き運転自動化)の車両への搭載も予定。フォルクスワーゲンは、今後も自動運転の実現に向けてDXを大きく推進しています。
【事例3】TOYOTA SHARE
「CASE」のS(Shared & Service)、シェアリングサービスは、海外では配車サービスの「Uber」が有名です。日本でもカーシェアリングに各社が取り組んでおり、都心部を中心に人気を集めています。
一例としてトヨタ自動車が2019年から全国展開を行っているカーシェアリング「TOYOTA SHARE」を紹介します。
TOYOTA SHAREは入会費・月額費無料で利用できるカーシェアリングサービス。ユーザーは専用アプリを使うことで、予約・利用〜清算まで行うことが可能です。
TOYOTA SHAREは全国に600以上のステーションを設置、多彩な車種がそろっていることもあり、人気を集めています。
家具や洋服も所有から共有へと変化するなかで、自動車についてもシェアリングサービスが発展してきています。
【事例4】テスラ
DXのトレンド「CASE」のE(Electric)で世界的に認知度の高い自動車メーカーといえば「テスラ」です。
テスラは2003年に設立された企業で、2008年に最初の電気自動車の販売を行って以降、複数の電気自動車を発表しています。
テスラの電気自動車は大変人気で、2020年には、アメリカの電気自動車の新車販売のうち約8割をテスラ社が占めました。
テスラの電気自動車は、加速性能や航続距離が優れており、長距離を無充電で走行できる点が優れているといわれています。
電気自動車の開発は、日本でもトヨタ自動車や日産自動車などが取り組んでいます。カーボンニュートラルが唱えられる中で、今後も電気自動車には注目が集まっていくでしょう。
【事例5】旭鉄工
サプライヤーのDX導入を進めた事例として旭鉄工の事例を紹介します。
旭鉄工は、トヨタ自動車の一次サプライヤーである自動車部品メーカーです。旭鉄工では「人には付加価値の高い仕事を」を合言葉に、IoTで生産性向上を実現しています。
- 2015年から2018年にかけて100の製造ラインで平均43%の生産性向上
- 2021年には2015年と比較して労働時間を年間約4万時間低減
- 労働時間低減の成功により、年間4億円以上の労務費削減
これらは生産を見える化する独自システムを開発し、現場で改善を回したことで実現しています。
サプライヤーであっても人に依存するのではなく、DXで見える化し、改善を推し進めることで成果を感じられるでしょう。
自動車業界全体でDX導入が求められている背景
トレンドでもお伝えしたように、自動車業界のDX導入は一般消費者向けの「CASE」だけではなく、製造にかかわるサプライヤー企業にも求められています。
つまり自動車業界全体としてDXの推進が求められている状況です。
DX導入が求められる背景には「業務効率化」があります。なぜならDXを推進すると、以下のようなメリットがあるからです。
- オンラインでつなげることで自動車メーカーとサプライヤーの連携が可能になる
- データベースを中心に作業状況をリアルタイムで把握できることで工程管理が可能になる
たとえばサプライヤーの現場では熟練の作業者が勘や経験をもとに、不良品の発生しづらい製造方法を行っている企業も少なくありません。
しかし少子高齢化で人材不足が予測される現在、熟練の作業者に依存した製造を続けることは難しいのではないでしょうか。
こういった問題もDXを導入して製品・製造方法の管理を自動化し、基準に満たない部品が出てきたときに感知できるようになれば解決できます。
このように、DX推進により解決できる課題やメリットが多いため、DX導入が求められています。とはいえメリットだけではないのは事実です。
以下で自動車業界のDX導入のメリット・デメリットをまとめているので、あわせてご一読ください。
自動車業界のDX導入状況
では、自動車業界のDX導入状況はどのようになっているのでしょうか。ここでは、以下2つに分けて紹介します。
- 日本のDX導入の現状
- DX導入時の問題
一つずつ詳しく見ていきましょう。
日本のDX導入における現状
最初に、日本のDXの状況から紹介します。
2020年に発表された世界デジタル競争力ランキング(スイスのビジネススクール国際経営開発研究所(IMD)発表)によると、日本は主要先進7か国のうち6位と後れを取っています。
さらに世界デジタル競争力ランキングの中の、個別項目である
- 国際経験
- 機会と脅威
- 企業の機敏性
- ビッグデータの活用と分析
では調査対象の63か国中、最下位。つまり日本は世界に比べてデジタル競争力でまだまだ強化が必要ということがわかります。
この前提のもと自動車業界に目を向けると、他のデジタル化と同じく日本は欧米に比べて発展が遅れています。
特にデジタル化を通じた新ビジネスの創出、攻めのDXにおいて、後れを取っているのが現状です。
なおCASEのAにあたる「自動運転の実用化」は日本でも進められており、2025年を目途に高速道路でのレベル4自動運転(特定条件下において、作動継続が困難な場合も含め、システムが運転を実施)の実現を目指しています。
このように自動車業界では世界に若干後れを取っているものの、日本の各社がDXを進めています。
DX導入時の問題
自動車業界のDX導入にあたっての課題を紹介します。課題は主に4つです。
- デジタル人材の育成
- サイバー攻撃への対策
- DX導入が手段から目的に
- IT部門への仕事の丸投げ
このなかでも一番の課題となっているのが、デジタル人材の育成です。
サプライヤーのDX導入にあたっては、デジタル化を推進できるような知識や実装をけん引する人材が求められているものの、IT人材は不足しています。
DXを導入するためには、企業のDXを推進できるようなIT人材を育成していく必要があります。
IT人材不足への対策についてはこちらで解説しています。あわせてご一読ください。
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まとめ:自動車業界全体としてDXを推進するのが重要
この記事では自動車業界のDXについて紹介してきました。
あらためてこの記事で紹介してきた内容を簡単に見ていきましょう。
- 自動車業界のDXは一般消費者向けの「CASE」とサプライヤー向けのDX導入
- 自動車業界の世界各社がDX導入を推進
- 業務効率化のためにも自動車メーカーからサプライヤーまで一丸となったDX導入が必要
- 世界と比べると日本の自動車業界のDXは後れを取っている
- 自動車業界のDX推進のためにIT人材の育成が課題
企業の成長、業務効率化の面から、自動車業界全体としてDXを進めていく必要があります。
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