顧客からの強引な要求や過激な言動が社会問題として注目されているカスハラ(カスタマーハラスメント)。
カスハラ加害者の心理を知らないと、初動対応を誤って事態をエスカレートさせたり、SNS炎上などで企業の評判を大きく損なったりする恐れがあります。カスハラ被害の防止や早期解決のためにも、カスハラ加害者の心理は知っておきたいポイントです。
この記事では、カスハラ加害者の心理的な特徴を5つのタイプに分類し詳しく説明します。
「カスハラ」というキーワードは広く知られてきていますが、実際の対応策や企業への影響は、イメージしにくいのではないでしょうか。
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カスハラとは社会問題になっているハラスメント
カスハラは、顧客対応をする場面で起こりうる悪質なハラスメント行為です。
実際の調査でも、64.5%の企業や店舗で、直近1年以内に不当請求やカスハラの被害を受けたことがわかっています。
カスハラはセクハラやパワハラと同じように、社会的に大きな問題となっているハラスメントです。被害が拡大する背景には、以下の要因が挙げられます。
要因 | カスハラへの影響 |
---|---|
社会全体のストレスが増大 | 心の余裕がなくなり、些細なことでも攻撃的になりやすい |
SNSの普及 | クレームが「正義」として発信されやすい土壌がある |
インターネット上の匿名性 | 実名を出さずに批判・誹謗中傷しやすい 責任感が薄れやすい |
「お客様は神様」とする過剰な顧客至上主義 | 「理不尽な要求も許される」と誤った認識がある |
カスハラ被害が拡大し社会全体に悪影響を与えているため、企業だけではなく行政もカスハラ対策に取り組んでいます。しかし、そもそもカスハラがどのような行為なのかわからなければ、正しい対処は困難です。
正しく対処をするためにも、カスハラと正当なクレームの違いや、カスハラに向けた対策などの基本も押さえておきましょう。詳細を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

知っておきたい!カスハラ加害者の心理的特徴とタイプ5つ
悪質なクレームで無理な要求をするカスハラ加害者は、どのような心理が働いているのでしょうか。
カスハラ加害者の心理的特徴は、以下の5タイプに分類されます。
- 被害者意識・自責型
- 自己正当化・激高型
- 権威主義型
- 利益狙い型
- 承認欲求型
それぞれの特徴とともに、有効な初期対応とNG対応例も紹介していますので、職場でカスハラ対策フローを作る際の参考にしてみてください。
1.被害者意識・自責型
被害者意識・自責型は、精神的に不安定で強い不安やストレスを抱えており、ストレスと不満の蓄積により、感情のコントロールが難しいタイプです。
▼主な行動
- 声のトーンが不安定で、突然怒鳴ったり沈黙したりする
- 感情的な言葉が多く、「信用してたのに」「裏切られた」など感傷的な表現が目立つ
- 問題の本質と関係ない話(家庭・職場・社会への不満)を長時間話し続ける
▼有効な初期対応
- 傾聴と共感の姿勢を見せる: 「大変おつらい思いをされましたね」「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」と、相手の感情に寄り添う
- 話を整理してあげる: 「〇〇でお困りなのですね」と要点をまとめて確認する
▼NG対応
- 話を遮り、正論をぶつける: 「しかし、ルールですので」「ですが、それはお客様の…」などと相手の話をさえぎる
- 感情的な訴えを否定する: 「そんなつもりはなかった」「それは大げさです」など、相手の感じ方を否定する
- 早く終わらせようと急かす: 面倒なそぶりを見せたり、話を切り上げようとしたりする
ストレスによって心に余裕がない状態では、些細な出来事でも過剰に反応し、攻撃的な言動に出やすくなります。
その心理状態から言動も不安定になるタイプです。
2.自己正当化・激高型
自己正当化・激高型タイプは「自分の要求は正しい」と思い込み、過剰な正義感で相手を責め立てる傾向があります。
▼主な行動
- 強引に自分の要求を認めさせようとする
- 極端な他責思考で「店が悪い」と一方的な感情を持つ
- 自分の正しさを認めさせるまで理不尽な怒りをぶつけ続ける
▼有効な初期対応
- 事実確認に徹する: 「お客様のおっしゃる〇〇の件、事実確認をいたします」と伝え、感情的な部分と事実を切り離して対応する
- 組織として対応する姿勢を見せる: 「その件は、社の規定を確認した上で回答いたします」など、個人ではなく会社として対応する姿勢を見せる
- できないことは毅然と断る:「大変申し訳ございませんが、そのご要望にはお応えいたしかねます」と毅然とした態度で断る
▼NG対応
- 感情的に反論する: 相手の剣幕に引きずられ、「ですから!」「そうはおっしゃいましても!」などと感情的に対抗する
- 相手の非を真正面から指摘する: 「その原因はお客様にあります」といった発言をする
- その場で安易に謝罪する: 事実確認の前に全面的に謝ってしまう
「自分は正義の立場で企業を正している」と思い込むことで、攻撃的な言動が正当化されているのが特徴です。
主張を無理やり通そうとする傾向があり、要求が通らないと激高することがあります。
3.権威主義型
権威主義型は、過去の価値観や接客文化に影響され、「お客様は神様」など顧客が絶対的に優位であると信じているタイプです。
「客だから何を言っても許される」との誤解が、過剰な要求や横柄な態度につながっています。
▼主な行動
- 横柄な口調や命令口調で話す(「今すぐ対応しろ」「わかってるのか?」など)
- 担当者の立場や権限を軽視し、「上の人に代われ」「あんたじゃ話にならん」と繰り返す
- 接客態度や言葉遣いなど、マナーや態度への過剰な要求
▼有効な初期対応
- 丁寧な言葉遣いと毅然とした態度を貫く: 過剰に下手に出ず、しかし丁寧な言葉遣いは崩さずに「〇〇様」と名前で呼びかけ、一人の顧客として尊重する姿勢を見せる
- 役割を明確にする: 上司への交代を要求された場合、「担当の私がまず責任をもってお話を伺います」と伝え、安易な交代を避けて役割をきちんと示す
- 要求と意見を切り分ける: 「貴重なご意見ありがとうございます」と意見は受け止めつつ、「そのご要望は会社のルールで対応できかねます」と、理不尽な要求は明確に区別して断る
▼NG対応
- 過度にへりくだる: 必要以上に低姿勢になったり、恐怖で萎縮したりする
- 相手の言いなりにすぐ上司に代わる: 担当者が何も対応しないまま上司に代わる
- 感情的になったり、逆に馴れ馴れしくなったりする: 相手の横柄な態度につられてこちらも感情的になったり、「まあまあ」と馴れ馴れしくなだめたりする
「金を払ってるんだから当然だ」「その態度は客に対して失礼だ」など、業務範囲を超える要求を当然の権利として主張する行動が見られます。
4.利益狙い型
利益狙い型は、返金や特典獲得など自分の利益を目的に、計画的に嫌がらせをおこなうタイプです。
▼主な行動
- 会話の序盤から録音・録画を宣言する、法的措置をほのめかす
- 「SNSに晒す」「消費者センターに言う」といった脅し文句を多用
- 謝罪を受け入れるそぶりを見せつつ、「迷惑料を払え」「商品券で誠意を見せろ」など金銭的な補償に誘導する
▼有効な初期対応
- 複数人で対応し、会話を記録する: 「正確な対応のため、私どもも記録させていただきます」と伝え、一人で対応しない
- 金銭要求には絶対に応じない: 「金銭による解決には一切応じられません」と、会社の方針として明確に拒絶する
- 脅しには屈せず、警告する: 「SNSに晒す」などの脅しには動じず、「これ以上の要求は、脅迫(または威力業務妨害)にあたる可能性がございます」と冷静に伝える
▼NG対応
- 脅しに屈して安易な約束をする: 怖くなり、その場しのぎで値引きや金品提供を約束する
- 一人で抱え込み、上司に報告しない: 自分の責任で解決しようと一人で対応し続ける
- 相手の要求を鵜呑みにする: 相手の言う「法律ではこうだ」「消費者センターがこう言っていた」との言葉を、確認せずに信じ込んでしまう
利益狙い型は、制度などを逆手に取り、自分に有利な対応を引き出すための手段としてカスハラを用いています。
ごね得(ごねて得をすること)を目論んで、要求が通るまで嫌がらせを繰り返す傾向があります。
5.承認欲求型
承認欲求型は、自分の価値を実感できず、逆らえない立場の他者を攻撃・支配することで一時的な満足感や優越感を得ようとするタイプです。
▼主な行動
- 相手の話を最後まで聞かず、さえぎって自分のペースで進めたがる
- 対応者の人格を否定するような発言(「バカなのか?」「そんな簡単なこともできないのか?」)を繰り返す
- 過去の対応まで持ち出し、「あのときもダメだった」と延々と粗探しをする
▼有効な初期対応
- 相手の土俵に乗らず、事務的に対応する: 人格否定や罵倒には反応せず、「恐れ入ります、問題解決のためにお話を続けさせていただけますか」と冷静に受け流す
- 主導権を握り返す: 相手の話をさえぎり返すのではなく、相手が話終えることを待ってから「では、〇〇を確認いたします」と、こちらから具体的な質問を投げかけ、会話のペースを取り戻す
- 「個人」ではなく「組織の担当者」として振る舞う: 「私個人の問題ではなく、会社の担当としてお話を伺っております」との姿勢を貫き、相手の個人的な攻撃の的になることを避ける
▼NG対応
- 人格否定に感情で返す: 「ひどい」「そんな言い方はないでしょう」と感情的に反論したり、泣き出したりする
- 言い訳をする: 「それはには事情がありまして…」などと弁解を始める
- 相手の挑発に乗って議論を始める: 相手のペースに引きずり込まれ、無意味な言い争いを続ける
家庭や職場など自分の社会生活でうまくいかない心理状態を、カスハラ行為をおこなうことで発散する傾向があります。
カスハラ加害者の特徴からわかる通り、企業に非がないにも関わらず被害が発生するのがカスハラです。
いつ被害に遭うかわからないからこそ備える必要があります。
ここからは、カスハラ対策について紹介します。
カスハラは発生した際の備えが大切!
カスハラ対策では、カスハラ加害者の心理状態を理解し、個人ではなく企業としてカスハラに備えることが重要です。
押さえておきたいカスハラ対策は、以下の3点が挙げられます。
おさえたいカスハラ対策 | やるべきこと | 目的 |
---|---|---|
明確な社内ルールの策定 | 対応基準、マニュアルや報告フローを整備 | 従業員がサポートを受けれる体制を作るため |
従業員教育とトレーニング | ・対応マニュアルに則った冷静な対処法の教育 ・ケーススタディの活用 |
冷静な対応ができるスキルを身につけるため |
情報の記録・保存、共有 | ・電話対応の録音 ・対応履歴の確認 ・カスハラの内容の迅速な共有 |
証拠を残しスムーズな解決を図るため |
企業として明確なルールを策定し対応フローを共有することで、従業員はカスハラ加害者にも毅然とした対応をすることが可能です。
ルールやフローを決めた後は、カスハラに対するトレーニングも欠かせません。
強い口調で責められたり威圧的な態度を取られたりした経験のない従業員が、動揺せずに冷静な対応を取れるようになるには、訓練が必要です。
以下の記事でも、職場でも実践しやすいカスハラ対応の準備を紹介しています。カスハラの対応フローに関して詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

カスハラ対策において、客観的な証拠を残すことは「言った・言わない」の水掛け論を防ぐためにも重要です。
なかでも顔が見えないため被害が大きくなりがちな電話対応に関しては、通話録音をしていると顧客に伝えることが抑止欲にもつながり、カスハラへの重要な備えになります。
ここからは、カスハラ防止だけではなく被害にあったときにも頼りになるおすすめのシステムを紹介します。
電話対応でのカスハラに備えるならカイクラがおすすめ!
カスハラ対応においては、被害の証拠として「加害者がどのような要求や言動をしたのか」を具体的に残すことが重要です。
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CTIを活用して受電時に顧客情報がポップアップ表示されるので、カスハラ履歴がある顧客が事前にわかります。
常習的にカスハラ行為をする加害者からの受電も事前にわかるため、上司や特定の担当者が電話に出る、などの効率的な対応が可能です。
カスハラ対策に有効なカイクラの詳細は、以下からご覧ください。
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ここでは、士業であるセントラル社会保険労務士法人様の事例を紹介します。
セントラル社会保険労務士法人様では、過去に理不尽なクレーム電話を受けた経験がありました。しかしカイクラを導入後は、「通話録音がある」ということが伝わるだけで理不尽なクレームがなくなり、スタッフを守ることにも役立っている、といいます。
通話録音機能によって対応履歴が自動的に残されることで、従業員が電話トラブルにも安心して対応できるようになったそうです。
セントラル社会保険労務士法人様の事例詳細は、以下よりご覧ください。
参考:セントラル社会保険労務士法人様
まとめ:カスハラ加害者の心理を知り、冷静な対応を
カスハラ対応には、従業員の精神的・身体的な負担が伴います。カスハラ被害者を孤立させないためにも、カスハラ心理を理解して、企業単位でカスハラに備えていきましょう。
カスハラ対応を誤ると、企業の管理責任が問われて信頼を失う恐れもあります。適切なカスハラ対応には、法律やとるべき対策などの網羅的な知識が必要です。
シンカでは、社労士が監修したカスハラの資料を無料で配布しています。カスハラ対応のフローなど実践的な情報も紹介しているので、カスハラに関して網羅的に知りたい方はぜひご活用ください。
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