和歌山県の最南端に近い串本町から、県境を越えて三重県の尾鷲市まで広大なエリアをカバーし、葬儀事業を展開する株式会社アスカフューネラルサプライ。80年以上にわたり地域に根ざし、現在では和歌山・三重両県の対応エリアで地域シェアNo.1を誇ります。
同社は「“明日からも頑張ろう”と思えるお葬式」というミッションを掲げ、人との対話を何より大切にしています。電話で受けた大切な情報を確実に残して正確に引き継ぐこと、そして個人の記憶やメモに頼った属人的な対応を“仕組み”で支えることを目的に「カイクラ」を導入しました。今回は導入の経緯や現場にもたらされた変化について、代表代行 兼 取締役 西祥平氏にお話を伺いました。
導入事例
和歌山・三重で創業80年 電話文化が根強い地域で、“明日からも頑張ろう”と思えるお葬式を支えるDX
- 全通話を録音し、認識の行き違いも事実に立ち返って解決
- AI要約の自動表示でメモ入力が不要に。「全員が当事者」の連携を後押し
- 属人化していた電話対応を、個人の力に頼らず「仕組み」で支える体制へ
- kintone連携で過去のやり取りを即座に把握し、スムーズな応対へ
「伝言ゲーム」をなくし、お客様の声を正確に引き継ぐ仕組みづくり

――はじめに、カイクラの導入を検討されたきっかけについて教えてください。
弊社は和歌山県の串本町から三重県の尾鷲市まで、広域にわたって葬儀事業を展開しております。私たちが最も大切にしているのは、お客様一人ひとりに深く寄り添い、ご遺族様が「いいお葬式だった、明日からも頑張ろう」と思えるお見送りをお届けすることです。
そのなかで、お客様との大切な接点となっているのが「電話」です。私たちのエリアは、今もお電話でお問い合わせやご依頼をいただく文化が根強く残る地域で、供花や供物の発注一つをとっても、WEBからではなく直接お電話でご連絡をいただくことが多いです。
当時はスタッフが電話で受けた内容を、担当者へ口頭で伝える「伝言ゲーム」のような状態になっていたため、一本一本に込められた情報を引き継ぐことに時間が掛かってしまい、スタッフへの負荷に課題を感じていました。
弊社では、万が一何か行き違いが起きたとき、それを個人の能力のせいにするのではなく、「仕組みとして整えられていないことが課題だ」と捉える文化があります。電話対応についても、個人の記憶力やメモの力に頼るのではなく、仕組みで解決したいと考えており、社内のDXを進めるなかで、解決策を探し始めたことがきっかけでした。
――DXはどのように推進されているのですか。そのなかで、カイクラを選んだ「決め手」は何でしょうか?
当社のDX推進は、顧客管理や人事労務といった基幹部分を自社でkintoneを主軸にシステム開発しながら進めています。ただ、電話回線をつないで対応するという領域だけは専門性が非常に高く、カイクラのようなサービスは自社では手の届かない部分でした。
カイクラの録音機能は、単なる「記録」のためだけではなく、お客様が一生懸命にお話ししてくださる内容を、聞き漏らさず正確に形にするために必要不可欠です。これがあればスタッフの心にゆとりが生まれ、よりお客様との温かい対話が可能になる。そう確信したことが、導入の決め手となりました。
すべての通話を録音し、認識の行き違いも事実に立ち返って解決
――運用を始めてから、現場での電話対応にはどのような変化がありましたか?
大きく変わったのは、お客様とのやり取りを記録として確実に残せるようになったことです。今では営業も含め、すべての通話を録音する運用にしています。導入当初は、監視されているのではないか、声を聞かれるのが恥ずかしい、といった戸惑いの声もありましたが、録音を逐一聞くわけではなく、必要なのは正確な記録だと伝えることで、運用は次第に浸透していきました。今では、お客様の声を一件残らず正確に受け止められる状態が、当たり前のものになっています。

――録音を活用するようになって、現場ではどのような効果がありましたか?
何より大きいのは、お客様とのあいだで認識に違いが生まれたときに、事実に立ち返ってお話しできるようになったことです。
たとえば、事前にお伝えした金額や内容について、後日お客様の受け止めと私たちの認識が食い違ってしまうことがあります。以前であれば、双方の記憶を頼りに話すほかなく、なかなか折り合いがつかないこともありました。そうしたときも、録音という客観的な記録があれば、当時のやり取りを共に確認し、事実をもとに認識をすり合わせることができます。
私たちにとって大切なのは、お伝えしていた内容をその通りに形にすることです。事実に立ち返れる録音は、お客様にとっても私たちにとっても、大きな支えになっています。
AI要約が当たり前の景色に。「全員が当事者」で支える応対の質
――新しく導入されたAI要約機能は、どのように活用されていますか?
導入した当初はまだこの仕組みがなかったため、「受電したら半日以内に必ず記録を残す」というルールを徹底するところから始めました。記録に残さなければ情報が共有されないので、まずは習慣づけが必要だったのです。それが今では、手で入力しなくても要約が自動で表示されるようになり、現場の負担は大きく軽くなりました。
当初、手動での記録入力を求められていたスタッフからすれば、自分で打ち込まなくても要約が残る今の状態は、大幅な負担軽減に繋がっていると感じます。
――情報が自動で共有されるようになったことで、チームの連携にはどのような変化がありましたか?
通話のやり取りや各案件のゴールが客観的なデータとして残り、チーム全員に見えるようになったことで、担当者でなくても状況を把握でき、共有された内容が社内のコミュニケーションツール上でも自然と飛び交うようになりました。その結果、「その内容なら、以前はこういうアプローチが効いたから、次はこうしてみてはどうか」といった声が、担当の枠を越えて寄せられるようになっています。
もともと弊社には、一件一件のご依頼に対して「このお客様にとって何がゴールなのか」を全員で考える文化があります。カイクラによって情報が見える化されたことが、その「全員が当事者」という姿勢をさらに後押ししていると感じています。
「環境責任」で築く、属人化しない仕組み

――貴社では、電話対応を「仕組み」で支えることを大切にされているそうですね
弊社には、何か行き違いが起きたとき、それを個人の能力のせいにするのではなく、「仕組みとして整えられていないことが課題だ」と捉える「環境責任」という考え方があります。
電話対応も同じです。一件一件のご依頼に対して担当者がゴールを設定し、その内容が記録として残ってチームで共有される。個人の記憶力やメモの力に頼るのではなく、仕組みとして全員で整えられるようになったことで、私たちが大切にしている「環境責任」の考え方が、この領域でもようやく形になったと感じています。
スタッフを引き立てる「最強の補佐」。電話が欠かせない地域・業種にこそ
――貴社にとって、カイクラはどのような役割を担っていますか?
私たちスタッフを引き立ててくれる「最強の補佐」だと感じています。一度使うと手放せなくなるもので、弊社にとって今いちばんなくなったら困る存在です。
仮に同じことを別の手段でやろうとすれば、通話を録音し、文字に起こし、要約し、それをCRMと連携させて……と、多くの手間がかかります。そうした一連の流れをまとめて担ってくれるからこそ、現場にとって欠かせないものになっています。

この役割を踏まえると、カイクラが力を発揮するのは、やはり電話でのやり取りが欠かせない地域や業種だと思います。都市部はWebや入力フォームで完結する場面が増えていますが、私たちの商圏は今も電話が中心で、だからこそ効果も大きい。電話の量が多く、お客様とのやり取りを正確に残すことが重要な業種、たとえば保険や金融に関わる事業などにも、有効ではないでしょうか。
――今後、カイクラをどのように活用していきたいとお考えですか?
弊社のCRMはkintoneを母体としており、カイクラと連携することで、お電話をいただいた瞬間に前回までの履歴が簡単に確認できるようになっています。
次に取り組みたいのは、この連携をさらに深めることです。今は受電時に履歴を確認できる一方で、その履歴をkintone側に自動で蓄積していく形はまだ実現できていません。
弊社はkintoneを細かくカスタマイズしており、扱えるフィールドを使い切ってしまっているためです。そこを整理しながら、ぜひ実現したいと考えています。
カイクラとkintoneの親和性は非常に高いと感じているので、この連携をさらに突き詰めながら、これからも一件一件のお見送りに丁寧に向き合い、ご遺族の皆さまに「いいお葬式だった、明日からも頑張ろう」と思っていただけるような、心に寄り添うサービスをこれからも追求していきたいと考えています。

