「6代120年続く大工の会社」というキャッチフレーズのとおり、株式会社ハウジング重兵衛は明治32年(1899年)に創業しました。現在はリフォームを中心に、新築・増改築、外構、外壁塗装まで幅広く事業を実施。千葉・茨城に根ざした住まいの「総合アドバイザー」として、9店舗を展開しています。
創業以来変わらないのは技術へのこだわり。リフォームを主力事業としている企業としては珍しく、10数名の職人を自社で抱えています。2019年入社の新卒でも3名を採用するなど、「大工の匠と心意気」の伝承にしっかり取り組み、安定した成長を続けています。
導入事例
年間約7,000件の問い合わせはほぼすべて電話
「カイクラ」の導入で、コールセンターの業務負担が3〜4割減少
- 年間約7,000件にも及ぶ電話対応の効率化が課題
- 顧客情報の表示やメモ活用により、業務負担を約40%も軽減
- 顧客リレーションシップの強化で、自社の存在感向上に成功
- 「カイクラ」の活用で、リピート率2.5%を達成
明治時代に大工としてその歴史をスタートさせたハウジング重兵衛が、リフォーム事業へとシフトしたのは約20年前。未だに建設業界では「リフォーム会社の技術レベルは低い」といわれることも多い中で決断を下したのは、ブルー・オーシャンを求めてのことだったと代表取締役の菅谷重貴氏は語る。
「ビルダーやハウスメーカーとしのぎを削るよりも、技術力を活かしてリフォーム事業へ、という先代社長の判断でした。トイレやキッチン、風呂、洗面といった水回りに特化しているのもそのためです」(菅谷氏)
水回りは、“開けて”みないと状態がわからない。シロアリがいたり、土台が腐ってしまったりしている場合もある。工事に着手する前の見積もり段階である程度の状態を見極め、それを顧客に適切に説明するためには、一定の経験値と技術力が必要だ。その点、ハウジング重兵衛ではリフォーム特化型の会社には珍しく、自社で職人を抱えている。また、リフォーム業界でトラブルになりがちな料金上乗せも一切行わない。
「正直であることが私の理念ですから、明朗会計にこだわり、ホームページやチラシで表示した金額をそのまま、10年保証付きで提供しています。諸経費も一切上乗せしません」(菅谷氏)
確かな技術力と安心感、そして長年積み上げてきた実績。同社で注目すべきは、これらに寄りかかることなく、全力で知名度向上に取り組んでいるところだ。とりわけ注力しているのが折込チラシ。全9店舗それぞれから車で1時間圏内に展開し、毎月100万枚以上を投入する。さらに、幹線道路などに屋外広告を設置し、テレビCMも展開。これらが相乗効果を発揮し、チラシ5,000枚に対して1件の顧客獲得につながっているという。単純計算で月に200件。緻密な戦略で右肩上がりの経営を実現できている企業なのだ。
メモ機能の活用で、問い合わせ内容の入力作業負担が軽減
同社ではチラシを軸とした集客施策に注力していることもあり、問い合わせや依頼はほぼすべて電話だという。問い合わせだけでも、年間約7,000件。定休日翌日の午前中は、コールセンターの電話が鳴り続けることも珍しくない。そのため菅谷氏は、「カイクラ」の存在を知ってすぐ導入を決意した。
「お客様のおもてなしにつなげたいという思いが一番にありました。たとえば従来は、リピーターのお客様から電話があった際、まず弊社の営業担当者が誰かをお聞きしていました。でも、お客様にしてみれば『そちらが知っているはずでは?』と思うはずです。『カイクラ』を活用することで、こうした課題を解消できると考えました」(菅谷氏)
お客様相談室係長の吉田早苗氏は、「カイクラ」の導入によって、コールセンター業務が大幅に軽減したと明かす。
「コールセンターは、電話対応だけが業務内容ではありません。マーケティング戦略に活かせるように、電話の内容を記録するのも重要な業務です。しかし、立て続けに電話が鳴った場合など、入力を後回しにせざるを得ないケースもあります。そうなると記録に抜け漏れが生じるリスクが発生します」(吉田氏)
「カイクラ」を導入する前は、Excelのシートに名前と電話番号、問い合わせおよび通話内容を入力していた。しかし、「カイクラ」のメモ機能を活用すれば、新規の顧客でも電話番号の入力は不要で、入力ミスの可能性もない。
「これまではお問い合わせ内容を分析する際にも、Excelのシートでソートをかけるといった方法でした。でも、『カイクラ』導入後はメモ機能を検索するだけでいいので作業がかなり効率化されました。また、リピーターのお客様からの電話対応時にも、お名前や弊社の担当者をお聞きする必要がなくなったので、時短の効果も出ています。体感ベースですが、『カイクラ』を導入したことで3~4割は業務負担が軽減されたと感じています」(吉田氏)
関係が希薄な顧客とのリレーションシップ強化にも
導入前には想定していなかった効果も出始めている。従来は、問い合わせの段階で新規顧客とリピーターの区別がつかなかったため、電話のたびに「これまで弊社をご利用されたことはありますか?」と聞いていた。しかし、「カイクラ」はリピーターであれば着信時に名前が表示されるため、その時点でセグメントできる。さらに、一度問い合わせをしたものの契約に至らなかった顧客が可視化されることで、話がスムーズに進みやすくなったという。
「お名前が表示されるお客様には、『いつもありがとうございます、○○様』と電話に出るようにしているのです。リピーターのお客様は、それを当たり前のように受け止めてくださる方がほとんどなのですが、契約に至らなかったお客様は『なぜ私だとわかったの?』とおっしゃいます。それで一気に距離が縮まるケースも少なくありません」(吉田氏)
名前が知られていることが顧客にも伝わるため、高圧的な物言いをされる機会が減少したことも興味深い。ある意味で、優良顧客を育成することにもつながっているといえるかもしれない。
「契約そのものは様々な要素があって実現するものなので、「カイクラ」を導入したことが契約率の向上に直結しているとは言い切れません。しかし、少なくとも関係が希薄だったお客様とのリレーションシップを強化する役割は果たしていると思います。リフォームは、急に必要となるケースも多いので、普段から弊社の存在を意識してもらうことが重要で、だからこそ弊社はチラシ施策に力を入れているわけです。「カイクラ」の導入は、こうしたチラシ施策に対するマーケティングの出口戦略としても効果的だったと考えています」(菅谷氏)
顧客コミュニケーションの強化でリピート率2.5%を達成
菅谷氏が指摘するように、リフォーム会社にとって顧客とのリレーションシップの強化は思わぬときに結果を生む。たとえば、2019年9月に千葉県を直撃し、広範囲かつ長期におよぶ大規模停電も引き起こした台風15号のときは、実に1,500件以上の問い合わせが押し寄せた。「正直なところキャパシティオーバーなので、お客様にはかえって申し訳なくて」と菅谷氏は苦しい胸の内を明かしてくれたが、そこまで問い合わせが殺到したのは、顧客コミュニケーションの強化がなされているからだろう。
「リフォームの場合、ウェブだけでは正確な見積もりは出せません。そのため、お客様とのコミュニケーションはほとんどが電話です。この部分を効率化できる「カイクラ」の存在は本当に大きいですよ」(菅谷氏)
顧客と密なコミュニケーションを図っている効果は、リピート率約2.5%とリフォーム業界では好成績とされる数値にも表れている。こうした効果が出ているからこそ、さらに機能が充実することを期待すると、コールセンターを管理する吉田氏は付け加えてくれた。
「お名前の表示にふりがながつかないのが悩みでしたが、今後改善されると聞いて喜んでいます。ほかにも私たちがまだ気づいていない改善ポイントがあるかもしれないので、ぜひどんどんバージョンアップを重ねていただきたいです。結果として、コールセンター業務をさらに効率化できるとうれしいですね」(吉田氏)