働き方改革と新型コロナウイルス禍により、テレワークの重要性がこれまで以上に大きくなっています。政府や地方自治体も助成金を用意し積極的に導入を働きかけている今こそ、テレワーク導入のチャンスです。
弊社で扱う顧客接点クラウド「カイクラ」はテレワークの支援ツールであり補助金の対象です。
そこで本稿ではテレワークに関する助成金や補助金、各種援助についてまとめました。是非ご活用ください。
※本記事は令和2年5月25日時点の情報です。
助成金と補助金の違い
経済的な援助を得られるという点で助成金と補助金はほとんど同じ制度のように見えますが、若干の違いがあります。
どちらもあらかじめ定められた期間内に応募する必要がある点、予算に限りがある点、申請条件を満たす必要がある点については共通ですが、助成金は応募条件を満たして申請すれば獲得できるのに対し、補助金の場合はさらに審査をパスしなければ獲得できない点が異なります。
以上の点から、補助金よりも助成金の方が獲得しやすいと言えるでしょう。
助成金がカバーする範囲と活用方法
助成金には様々な種類があり、それぞれに対応範囲が異なりますが、基本的には何らかの設備の導入や社内整備、営業開拓活動に必要な経費の一部、あるいは全額をカバーしてくれます。
大抵は100万円や200万円といった具合に支給額の上限が定められており、その中で企業側が使った金額に対して補助率という割合で支給されます。
例えば上限100万円で補助率50%の場合、100万円の設備投資をしても50万円分しか補助されませんが、これが補助率100%なら全額が支給されます。
上限額が高くても補助率が低ければ、負担額が増大するので注意が必要です。
厚生労働省の支援
一つ目は厚生労働省の働き方改革支援の助成金です。
働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
最新の案件という事で令和2年4月1日から申請が始まったばかりの助成金となります。
主たる目的は働き方改革支援にありますが、テレワークはコロナ対策にもなります。今こそ活用すべき助成金だと言えるでしょう。
対象となるのは下記の通り。
- テレワーク用通信機器の導入・運用と就業規則・労使協定等の作成・変更
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家によるコンサルティング
申請時に立てた成果目標に対する達成度で助成金額が変わるのが特徴で、成果達成時には社員一人当たり40万円、会社全体では300万円を上限に補助率75%が助成されますが、未達時は社員一人当たり20万円、会社全体では200万円を上限に補助率50%しか助成されません。
詳細は厚生労働省のホームページをご覧ください。
新型コロナウイルス感染症対策のための時間外労働等改善助成金
2020年3月31日の時点で第1弾のテレワークコースは終了しており、新たな令和2年分の申請は2020年5月29日が締め切りとなっています。
本稿を作成中の現在(令和2年5月10日)から締め切りまで間がありませんが、まだ間に合うのなら急いだ方が良いでしょう。
テレワークコースの支給額の上限は100万円で補助率は50%。対象となるのは下記の通りです。
- テレワーク用通信機器の導入・運用
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング
詳細は下記のリンク先をご覧ください。
新型コロナウイルス感染症対策のための時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
経済産業省の支援
3つ目が経産省の補助金です。
IT導入補助金
IT導入補助金にはいくつも種類があり、ツールに限定された通常枠(A類型・B類型)とハードウェアのレンタルが対象となる特別枠(C類型)に分かれます。
申請日は令和2年5月11日から29日が締め切りとなっており、この機会を逃すと次の締め切りは半年後の令和2年9月30日を待たねばなりません。
短期間しか受付していませんが、A類型は補助率50%以内で30万円から150万円未満、B類型は補助率50%以内で150万円から450万円未満といった具合に上限額が大きいので、大規模なITツール導入に向いています。
条件が細分化されており、ややこしいので申請時に自社がどの類型に当てはまるのか判別するチャートが参考になります。
下記の手引きに記載されているので、ITツールやハードウェアのレンタルを検討している会社は参考にすると良いでしょう
令和元年度補正・令和2年度補正(特別枠含む)サービス等生産性向上IT導入支援事業交付申請の手引き
少額減価償却資産の特例
テレワーク導入支援策として助成金や補助金とは別に、中小企業は30万円未満のテレワーク設備を全額損金算入出来るようになりました。在宅ワーク用にノートPCを支給したりソフトウェアを購入した場合、固定資産にならないので非常に有益です。
少額減価償却の特例自体は以前よりある制度ですが、新型コロナウィルスで影響を受けている事業者向けに様々な税制緩和の施策がうたれています。
下記のガイドブックには経済産業省の事業者の資金繰りや税優遇などの様々な取り組みがまとめられているので、是非ご覧になってみてください。
新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ|経済産業省
各自治体の支援
各省庁が準備した補助金・助成金は地域による制限がありません。しかし特定地域に限定されたが助成金・補助金、自治体の援助は数多いです。
各都道府県ごとに様々な取り組みがありますが、なかでも代表的な案件を紹介します。
東京都:事業継続緊急対策(テレワーク)助成金:令和2年6月1日まで
常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、東京都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業を対象とした助成金です。250万円を上限としてIT機器の購入や維持費を100%補助してくれます。
ただし所在地と従業員数以外にも東京オリンピック・パラリンピック準備局の2020TDM推進プロジェクトに参加する必要があるので注意して下さい。プロジェクトではテレワークによって当日の混雑を避けるなどの協力が求められます。
適用範囲が広く上限額以内なら全額補助という条件は破格です。申請期限は令和2年6月1日が締め切りとなっているので、ぜひ活用しましょう。
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金のご案内|東京しごと財団
東京都:はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金):令和3年3月31日まで
こちらも東京しごと財団による補助金ですが、受給条件に東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けた企業という一文が入っています。
東京都労働産業局にてコンサルティングを受けられるので、下記のホームページから申請してコンサルを受けたのち、テレワーク環境構築のための費用を助成してもらいましょう。
会社の従業員数に応じて30万円から100万円の範囲で支給され、補助率は100%です。補助金の範囲内で設備導入すればコンサル付き、かつ無料でテレワーク導入できるのです。
はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)|東京しごと財団
申請期限は令和2年4月8日から令和3年3月31日までということで余裕がありますが、予算が無くなり次第終了との事ですから急ぐに越したことはありません。
東京都:テレワーク活用推進コース:令和2年5月10日時点で終了。次回募集は未定
こちらも東京しごと財団によるテレワーク導入に関する助成金です。
常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業を対象としており、テレワーク活用推進コースではテレワーク機器やサテライトオフィス利用に関わる費用を上限250万円で50%助成してくれるというものですが、申請期限が令和2年3月31日ということで過ぎています。
現時点(令和2年5月10日)では次回募集についての情報はありませんが、今後情報が更新されていくと思われます。詳細については下記のページをご覧ください。
神奈川県の支援
神奈川県に限定された助成金や補助金はありませんが、厚生省や経産省の助成金獲得の為の無料相談を受け付けています。
しかし特筆すべきは中小企業はテレワーク用設備(パソコンやソフトウェア)を全額損金算入できるという税制面での支援です。経済産業省の支援策では30万円以下という金額制限がありましたが、神奈川県では制限がありません。
金銭面での直接的なサポートはありませんが、この支援を知っているか否かは大きく本年度の税金に関わります。
テレワーク用にパソコンやコミュニケーションツール類を導入した神奈川県の企業は是非とも活用して下さい。
まとめ
ここまで紹介してきた数多くの助成金や補助金、税金の優遇についてはじめて知った、という人も多かったのではないでしょうか。
政府や自治体は税金を取るだけではありません。経済的補助を通じて積極的な産業育成を行っています。
ただしテレビコマーシャルや対象者への直接連絡といった手段で広く世間に告知していないため、存在を知っている人だけが活用できる制度となっていることは否定できない事実です。
補助金や助成金の存在を知っているか否かで数百万円の機会損失が生まれてしまうのです。
この度の新型コロナウイルス禍は経済に大きなダメージをもたらしました。政府では企業の損害を少しでも抑えるべく多くの助成金を用意しているので、まずは自社が対象範囲に入っているか確認して、最大限の援助を引き出しましょう。
また助成金申請をするのは初めてという会社も多いかと思います。助成金の対象となる製品・サービスを扱う企業では助成金の申請を前提として相談に乗ってもらえます。
申請の段階になって書類の不備などで突き返されないよう、プロのサポートを受けてみてはいかがでしょうか?
きっと安心して設備導入できるでしょう。