電話にAIで応答するには?仕組み・メリット・導入事例を解説

「電話対応に追われて目の前の業務が進まない」と悩んだ経験はありませんか。最近、人手不足や仕事の効率化のために、電話対応をAIにまかせる仕組みに注目が集まっています。

便利なAIですが、安易に導入すると「今までは人が対応してくれたのに……」など顧客満足を下げる恐れもあるため、導入に際しては注意点なども把握し検討することが大切です。

そこで本記事では、AI導入のメリットとあわせて注意点も解説します。記事の後半では、AIを導入する前に見直したい「ムダな電話業務時間を減らす方法」と改善した事例も紹介しますので、電話業務にお悩みの方は最後までご一読ください。


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目次

AIを活用した電話応答とは?基本の仕組みを理解しよう

冒頭でも触れたとおり、AIを活用した顧客対応はここ数年で一気に広がっています。

株式会社PRIZMAの実態調査では、すでにAIチャットボットを導入済みの企業が37.5%、導入を検討している企業は42%という結果でした。

出典:PR TIMES

チャットボットをはじめとするAI活用は、もはや一部の先進企業だけの取り組みではなくなりつつあります。

AI活用のなかでもとくに注目されているのが、「AIが人に代わって電話で応答する仕組み」です。

「AI電話自動応答サービス」「AIボイスボット」「AI音声応答」などサービスにより呼び方はさまざまですが、基本的な構造は共通しています。

▼AIが電話で応答する流れ(例:営業時間を聞かれた場合)

  1. 顧客が「営業時間を教えてください」と問い合わせをする
  2. AIは顧客の発話内容を音声認識でテキスト化する
  3. テキスト化された内容から「営業時間を知りたい」という意図を読み取る
  4. データベースから該当する営業時間の情報を検索する
  5. 「営業時間は平日の9時から18時です」と音声で回答する

このように、答えが決まっているシンプルな問い合わせであれば、人を介さずに完結できます。

AI電話応答サービスの主な機能

AIを活用した電話応答サービスは、応答するだけではありません。「聞く」「記録する」「分析する」「引き継ぐ」という一連のプロセスをカバーできる点が特徴です。

ここで、AI電話応答サービスでできることを以下の表にまとめました。

機能例 説明
自動応答・ヒアリング
  • AIが通話の用件をヒアリングし、FAQなどの定型的な質問には即時回答をする
通話の文字起こし・要約
  • 通話内容を自動でテキスト化し、内容を要約して記録する
感情分析
  • AIが自然言語処理(NLP)で音声を解析する
  • 声のトーンや言葉遣いから感情を分析する
  • アラートを出したり、オペレーターへ引き継ぐ際の参考情報としたりする
オペレーターへの転送・担当者の自動振り分け
  • AIが問い合わせ内容を判断し、最適な部署や担当者に自動で転送する
外部システム連携
  • 顧客管理システム(CRM)などの外部システムと連携し、顧客情報や対応履歴を自動で登録・更新する

AIが担当できる部分を増やせば、人間はそのほかの判断が必要な問い合わせなど、より大切にしたい対応だけに集中できるようになります。

なお、「カスハラ電話への対応もAIで可能なのか?」と疑問に感じた方は、以下の記事も参考にしてください。AIを活用したカスハラ対策について、より詳しく解説しています。

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従来のIVR(自動音声応答システム)との違い

会社へ電話したときに、音声ガイダンスで「○○の方は1番、△△の方は2番を押してください」と案内された経験はありませんか。これがIVR(自動音声応答システム)という仕組みです。

従来の自動音声応答システムであるIVRとの違いは、柔軟性にあります

IVR(自動音声応答システム) AI電話応答
ボタン操作による限定的な応答で、会話の意図や文脈は理解しない 会話の意図や文脈を読み取り、柔軟な返答を案内できる

従来のIVRは、顧客がプッシュボタンで選択しながら、あらかじめ用意されたシナリオ(選択肢)に沿って目的へたどり着く仕組みです。

一方、AI電話応答は、顧客が自由に話した内容を理解し、会話形式で応答できます。たとえば、顧客の問い合わせ内容が「昨日注文した商品の配送状況を知りたい」であった場合、AIは文脈から意図を理解し、該当する注文情報を確認したうえで、状況を案内します。

さらに、AIは過去の会話データや業務データを継続的に学習し、応対品質を高めていける点も魅力です。

では、AIで電話応答させる仕組みを導入すると、企業には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。次の章で解説します。

AI電話応答サービスを導入する3つのメリット

企業がAI電話応答サービスを導入すると得られるメリットは以下の3つです。

  1. 人件費・採用コストの削減につながる
  2. 定型業務を自動化して社員の負担を軽減できる
  3. 24時間365日対応で機会損失を防ぐ

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.人件費・採用コストの削減につながる

AI電話応答サービスを導入する最大のメリットは、人件費や採用コストを削減できる点です。

AIが一次対応を担うと、電話対応専任のオペレーターを最小限に抑えられます。場合によっては、電話対応のためだけにオペレーターを常時配置する必要がなくなることもあります。

そのため、新規採用や教育にかかるコストを抑えられるだけではなく、夜間・休日の対応や繁忙期の一時的な増員がいりません。

結果として、限られた人材をより付加価値の高い業務へ配置しやすくなります。

2.定型業務を自動化して社員の負担を軽減できる

2つ目のメリットは、社員の負担を軽減できる点です。

よくある質問への回答や予約の受付など、同じ内容が繰り返される仕事をAIに任せれば、社員はほかの専門性の高い業務に集中できるようになります。

実際に、自動応答や生成AIを組み合わせることで、社内の問い合わせの20%以上を自動化したケースも報告されています。

3.24時間365日対応で機会損失を防ぐ

24時間365日稼働できる点もAIの魅力の1つです。

営業時間外や休日など、顧客が「問い合わせたい」と思ったタイミングで連絡できることは、顧客にとって安心材料になりえます。

たとえば、以下の状況でも時間帯やピークに左右されず安定した対応が可能です。

  • BtoB企業で相手の都合の良い時間に対応し、リード獲得の機会損失を防ぐ
  • 不動産業界で物件への問い合わせが集中している休日の対応をおこなう
  • キャンペーン・セール期間中の注文電話の急増へ対応する

結果として、「あふれ呼(電話が混み合ってつながらない状態)」や待ち時間が長くて途中で切断してしまう顧客を減らし、売上機会の損失を防ぐことにつながります。

AIによる電話応答は上記のメリットがある一方で、導入にあたっては注意すべき点もあります。導入後の運用を想定しないまま進めてしまうと期待した効果を得られません。

続いては、事前に押さえておきたい3つの注意点を紹介します。

AI電話応答サービスを導入する際の3つの注意点

AI電話応答サービスを導入する前に知っておきたい主な注意点・デメリットは、以下の3つです。

  1. 導入や運用にコストがかかる
  2. シナリオ設計に手間がかかる
  3. 複雑・イレギュラーな問い合わせへの対応が難しい

導入後に「イメージと違った」とならないよう、それぞれのポイントを確認しておきましょう。

1.導入や運用にコストがかかる

まず注意したいのは、導入費用に加えて継続的な運用コストもかかる点です。「AIを入れれば自動的にコスト削減できるだろう」と安易に導入しようとしていませんか。

AI電話応答サービスには、一般的に以下の費用が発生します。

初期費用:システム設定・環境構築・他システムとの連携設定など
月額費用:利用ライセンス料、通話量に応じた従量課金、保守・サポート費用など

人件費の削減や対応時間の短縮などの見込める効果を具体的に試算し、投資額とのバランスを検証することが重要です。

2.シナリオ設計に手間がかかる

AIが自然で的確な応答をおこなうためには、「こう聞かれたら、こう返す」という会話の流れを作るシナリオ設計が欠かせません。

自社の顧客専用のシナリオ作成には、自社の顧客がどのような問い合わせをしてくるのかを洗い出し、丁寧に設計する必要があります。

具体的な作業内容は、以下のとおりです。

▼シナリオ設計の流れ

  • 過去の問い合わせログから、どのような問い合わせが多いのかを洗い出す
  • シナリオ(会話の流れ)をパターンごとに設計する
  • 想定外の質問に対する分岐や、回答できない場合の対応を決める

ここで設計したシナリオの質によって会話のわかりやすさや自然さが決まるので、初期設計には相応の時間をかける必要があります。

AIに任せるシナリオが不十分だと、「緊急なのに担当者に繋がらない」「お詫びの電話なのに機械的な対応をされた」など、顧客の不満につながりかねません。

シナリオ設計のタイミングで、AIと人の担当範囲も整理し明確化しておくとスムーズです。

3.複雑・イレギュラーな問い合わせへの対応が難しい

何でもできるイメージのあるAIですが、苦手分野もあることを知っておきましょう。AIは、あらかじめ学習しているデータやルールに基づいて応答する仕組みのため、複雑な対応は得意とはいえません。

複雑な対応とは、たとえば以下の場面です。

  • 前例のないトラブル
  • 個人的な事情が絡む相談や問い合わせ
  • 顧客の感情に寄り添う必要があるケース

実際に、「今まではすぐに人が出て話を聞いてくれたのに」「AIに話した内容を、転送先でもう一度説明させられた」などの不満が生じるケースもあります。

こうした事態を避けるためには、「AIに任せすぎない」設計が必要です。たとえば、感情的な言動が見られた場合や一定回数以上同じ内容を繰り返す場合は、速やかに人へエスカレーションするなどのルールを決めておきましょう。

自社の顧客層や問い合わせ内容の傾向をふまえ、「どこまでAIに任せるのか」を見極めることが求められます。

ここまで、AI電話応答サービスの特徴やメリット・注意点をみてきました。とはいえ、いきなりAIに顧客との電話を任せるのは不安に思う方もいるかもしれません。

実際に、AIが電話で十分に力を発揮するためには、過去の通話データや顧客情報の管理の仕組みが整っていることが前提です。まずは、現在の電話対応の課題を見える化し、電話業務のベースを整えるところから始める必要があります。

そこで、次の章ではAI活用の前段階として取り組むべきことを紹介します。

まずはここから!AI活用前に見直したいムダな電話対応を減らす方法

  • 電話業務に追われて担当者の作業が中断されてしまう
  • 相手の情報や過去の履歴がすぐに見つからず相手を待たせてしまう
  • 顧客対応の品質が担当者によってバラつく

このような課題を抱えている企業の方は、AI電話応答サービスの活用前にまずは今の電話業務のムダをなくすことから始めるのがおすすめです。

AI電話応答サービスは、多くのメリットが期待できる一方で、導入後の効果を左右するのは、「どれだけ正確なデータを事前に整備できているか」にかかっています。

もし「顧客情報が散財している」「どんな問い合わせが多いのか把握できない」など、現状のデータが可視化されていない状態でAIを導入しても、的確なシナリオやAIの学習データが作れず、期待した効果が得られません。最悪の場合、AIが対応するものの顧客が期待する返答ができず、顧客満足度が下がり続ける可能性もあります。

実は完全な自動化をしなくても、受電のタイミングで以下の基本情報を把握できると、「誰だろう?」「どんな用件だろう?」という不安が消え、電話対応の負担は軽くなります。

  • 誰からの電話なのか
  • 過去にどのような対応をしたのか
  • 今回の問い合わせが緊急度の高いものか

通話内容や顧客情報を正しく記録し一元管理すれば、取り次ぎや確認にかかる時間の削減も可能です。

いきなりAIを導入するのではなく、まず今の電話業務のムダをなくし「電話対応の土台づくり」から取り組むと、電話対応の負担を効率よく軽減できます。

では、実際に電話対応の土台を整えることで、どのように業務改善できるのでしょうか。次に、電話業務に追われていた企業が対応時間を約20%削減した事例を紹介します。

不要な取次ぎが減り、電話対応時間を約20%削減した事例

全国202店舗を展開する大手不動産賃貸仲介企業ハウスコム株式会社様は、受電数が多く、顧客情報や履歴が店舗ごとに分散していたため、電話対応が属人化しやすい状況でした。

とくに繁忙期には、顧客特定や過去履歴の確認に時間がかかり、「誰が電話に出るか」によって応対品質にばらつきが出てしまうことが課題だったそうです。

そこで、同社が導入したのが、受電と同時に顧客情報・対応履歴が画面にポップアップ表示される「カイクラ」です。

導入後、顧客特定までの時間が大幅に短縮され、結果として電話対応時間は約20%削減されました。加えて、「誰が出ても一定水準の対応ができる」環境も整えられ、顧客対応の品質が高められたといいます。

この事例の詳細は、こちらのページをご覧ください。

カイクラは、電話業務に追われる現場で活躍する、DXツールです。顧客管理・対応履歴・通話録音・文字起こし・要約までを一元管理できるため、煩雑になりがちな電話業務のベースを整えられます。

通話内容をAIが自動で文字起こし・要約してくれるので、面倒なメモ作成や伝言の手間を減らせて、AIによる効率化と人ならではの温かい対応のいいとこ取りができるのが、カイクラの強みです。

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自社の電話システムに課題をお持ちの方や、AI電話応答に興味があるものの「まずは情報の整理や見える化から取り組みたい」企業にとっても、カイクラは最初のステップとして有効です。

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まとめ:AIと人の役割を最適化し、電話対応の品質を高めよう

電話にAIで応答させる仕組みは、人件費・採用コストの削減や機会損失を防ぐため、企業にとって魅力のあるサービスです。一方で、導入・運用コストやシナリオ設計の手間、イレギュラー対応が難しいなどの注意点もあります。

重要なのは、すべてをAIに任せることではなく、AIと人それぞれの得意分野を見極めて、役割を最適に分担することです。そのためには、まず既存の電話業務を見直し、ムダな取り次ぎや情報の分散をなくすことから取り組みましょう。

カイクラは、AI導入の土台となる「顧客データ」や「通話履歴」を一元管理し、電話業務を効率化するツールです。

電話が鳴った瞬間に顧客情報や過去の対応履歴、メモが表示されるため、「誰からの電話か」「前回どんな話をしたか」を探す手間がなくなります。さらに通話の内容は、自動で録音されAIが文字起こし・要約するため「いつ・誰と・どんな話をしたか」がもれなく残り、手入力も不要です。

このようなツールを活用して電話業務の土台を整えておけば、AI電話応答の導入もスムーズに進み、現場負担を抑えながら顧客対応の品質を高められます。

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この記事を書いた人

カイクラ編集部です。カイクラ.magは、株式会社シンカが運営するオウンドメディアです。 「音声を記録し、会話を企業価値に」をモットーに、「会話」に関する様々なテクノロジーや最新情報、企業の業務効率化や社内コミュニケーションの活性化事例など、すべての企業にとってお役に立てる情報を幅広く発信します。

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