固定電話恐怖症は現代病?原因と対応方法について

電話を受けるのが怖い、と感じた事はありませんか?既にビジネスパーソンとして長く働いている人にとっては「そういえば、新人の頃そんなふうに感じたことがあったなあ」という記憶があるかもしれません。しかし今では若者を中心として無視できないほど多くの人が電話を苦手としています。

本稿では固定電話恐怖症について解説します。

なお、「電話を受けるのが怖い」と感じる理由の1つに、「電話先の相手が誰かわからない」といった点があります。こういった場合は、システム導入するのも1つの手です。詳細については、以下からご確認ください!

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目次

固定電話恐怖症とは?

固定電話恐怖症とは文字通り固定電話をとったりかけたりする事に恐怖を感じる症状です。

固定電話恐怖症は厚生労働省が定める精神疾患として個別に認知されている病気ではありませんが、定義上は社交不安障害の一種だと言えるかもしれません。

「不安障害」というのは、精神疾患の中で、不安を主症状とする疾患群をまとめた名称です。その中には、特徴的な不安症状を呈するものや、原因がトラウマ体験によるもの、体の病気や物質によるものなど、様々なものが含まれています 

引用:社交不安障害(社交不安症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)|厚生労働省

また米国精神医学会のDSM-IV-TRの分類は下記の通りです。

パニック障害・不安障害|厚生労働省

固定電話に限らず、電話不安症は1990年代から報告されており、telephonophobia、telephobia、Phone Phobiaと呼ばれています。

2019年にイギリスで行われたオフィスワーカーを対象にした調査では、ベビーブーマーの40%、ミレニアル世代の70%が電話が鳴ると不安を感じる事が明らかになりました。

引用:Phone anxiety affects over half of UK office workers”| Face for Business

日本において同様の調査は見当たりませんが、民族性による差があったとしても同程度の割合で電話に不安や恐怖を感じる人がいると思われます。

何故このような恐怖症が起きるのでしょうか?

原因は個人のメンタルの弱さではない

固定電話恐怖症は電話恐怖症とは若干異なり、主に固定電話が不安や恐怖の対象となります。スマホの電話でも嫌だ、という人は多いかと思いますが、固定電話に比べれば心理的なストレスを受ける人の割合は少ないかもしれません。

スマホの場合、誰からかかった電話なのか瞬時に分かりますし、基本的に携帯電話番号を知っている相手に限られるので不安が少ないのです。

これに対して固定電話の場合、突然知らない人からかかってきて内容も分かりません。電話を取ったらクレームを受けるかもしれませんし、自分では判断不能な問題が発生しているかもしれません。

何より基本的にビジネス上のやり取りはエビデンスとしてテキスト化して双方が保存するのが通例です。様々な連絡手段が整った2020年における通話は、急いで対処したい重要問題が発生したか、テキストに残したくない内容が含まれるか、どちらかの可能性が高いと言えます。

また固定電話恐怖症の何より大きな原因は通話自体が減っている点にあると考えられます。

人々のコミュニケーションそのものが減っているのでは無く、固定電話・携帯電話の音声通話による減退とともに・連動して、携帯電話(やパソコンなど)のデジタルコミュニケーションの増加が起きているのは間違いない。

電話による1日あたりの通話回数と1通話の通話時間の推移をさぐる|yahooニュース

これが意味するのは、スマートフォンは電話よりもテキストをやり取りする携帯コンピュータとしての役割が伸びている点です。

おそらくこちらの都合で電話をかけるのは、相手の時間を奪う不躾な行為であるという認識が強まったせいかもしれません。

その裏付けとして総務省の資料を見れば、通話時間が非常に短い事から好きな場所で長電話をするという使われ方がされていないのが分かります。

携帯電話・PHSの1通信辺りの通信時間は10秒以下の通信が多く、30秒以下の通信が全体の約33.8%を占めています。

通信量からみた我が国の音声通信利用状況【平成29年度】|総務省

以上の点から明らかにテキストでのやり取りがメインになっており、通話は減っているといってよいでしょう。

つまり下記の要因が電話恐怖症の原因として有力です。

  • 固定電話が減った
  • 固定電話だと電話を取るまで相手と用件が分からない
  • こちらの都合を無視して電話がかかってくる
  • スマホでの通話をする回数が減った
  • 通話の代わりにSNSやメッセージのやり取りが増えた
  • 通話が必要な案件はリアルタイム性が求められトラブルの可能性が高い予感がある

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対処方法

固定電話恐怖症に限らず、社交不安障害に対する医療的なアプローチは2種類あります。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の処方と認知行動療法です。

しかし大抵の場合、固定電話恐怖症は社内の業務時間内に限った問題なので、通院したり薬物治療が必要なほど重篤化することは稀だと言えます。上司が命じて通院させるわけにもいきません。

そこで認知行動療法に基づく自助努力が求められます。

自助努力による克服

電話の着信音を変えてみたり、落ち着いて一呼吸おいて精神を安定させてから受話器を取る、筆記用具など必要なものを準備して何が起きても安心だという気持ちを持って対処する、といった具合に自分自身を鍛える事で問題解決を目指します。

不安障害への一般的な処方箋ではありますが、「つべこべ言わずにとにかく電話に沢山出て慣れろ式」の根性論、いわゆる昭和のビジネスパーソン流のやり方だと言えるでしょう。

ただしこの方法をミレニアム世代の社員に指導した場合、高確率で離職を招く恐れがあります。

デジタル化による克服

薬物治療でも認知行動療法でもない3つめの選択肢として固定電話に対して忌避感を抱きづらいシステム作りがおすすめです。

そもそも通話自体が必要なのか?通話はお互いの時間を奪う点で非効率ではないか?という点に立ち返ってみてはいかがでしょうか。

一般的なECサイトにおいて、電話問い合わせの半分以上はサイト上に記載があるなど、オペレータの一言で対処可能と言われています。ただ一言教えてもらうために待ち時間があるのは無駄ですし、むしろ不親切だと言えます。

そこでチャットシステムを導入すれば電話問い合わせの頻度を減らす事が出来ます。テキストでの問い合わせなら、調べながら回答できますし、ひとりが同時に複数の連絡を受けられるので効率化出来るのです。固定電話恐怖症の人でも安心して運用できるでしょう。

チャットなら電話待ちを減らせますし、AIチャットボットと組み合わせれば24時間自動対応出来ます。自動対応で十分な問い合わせは想定以上に多いのでおすすめです。

そしてチャットシステムで対処できない問題が発生した時、はじめて通話に切り替えればよいのです。事前のやり取りから用件が分かっているので固定電話恐怖症の人の気分が楽になるでしょう。

とは言え、チャットシステムの導入が難しい、あるいはどうしても人間が受け答えしなければいけない場面の多い業界もあることでしょう。そういう場合には、顧客からの電話がかかってきたら、自動的にPCモニタに顧客情報やこれまでのやりとり履歴がポップアップするCTI(Computer Telephony Integration)を導入する方法もあります。CTIでは通話ログも取れるので管理にも役立ちます。

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これらの施策はECサイト運営だけでなく通常の営業部などでも使えるので、固定電話に対する忌避感を大きく軽減できます。

固定電話恐怖症の一番の対処法はデジタル化なのです。根性や自助努力は会社側がコストを負担しないので楽かもしれませんが、社員にとっては問題解決に繋がりづらいのでシステム的に改善してしまうのが良いでしょう。

参考:固定電話恐怖症の状況をデータで読み解く、企業の利用調査まとめの記事はこちら [clink url=”https://kaiwa.cloud/media/hr/research-dl/”]

まとめ

固定電話恐怖症はテクノロジーの進歩による電話の使い方の変化が大きな影響を及ぼした社交不安障害の一種です。

テクノロジーが進歩していつでもどこでも相手にメッセージを残せるようになると同時に、相手のプライバシー時間を配慮するリテラシーの高まりが気軽な通話を控えさせる文化を生み出したと言っても過言ではありません。

つまり固定電話を忌避するのは個人のメンタリティの問題というより社会全体の傾向なので、特定の個人のメンタルの弱さのせいにするのは少し厳し過ぎると言えます。

社会が大きく変化しない限り、今後の新社会人は程度の差はあっても皆おなじマインドを持っているでしょう。

以上の点から、固定電話恐怖症を抜本的に解決するのなら、デジタル化による支援をしたほうが管理上メリットが大きいと思われます。

まずはどのような事が出来るのか、チャットツールやCTIツールをソリューション販売している企業に相談してみるのも一つの手だと思います。

なお、電話応対の業務効率化や顧客対応の改善をしたい場合は、多数の機能を揃えたシステムの導入がおすすめです。

たとえばカイクラには、過去の通話内容を把握しやすい「通話録音機能」や、販促や顧客とのコミュニケーションにも活かせる「SMS機能」などあります。誰でも簡単に使えるうえ直感的に操作しやすいUIのため、ツールの導入に不安を感じている人にも安心です。

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※本資料は2021年4月14日のスッキリで放送中に使用された資料も含まれています。

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この記事を書いた人

カイクラ編集部です。カイクラ.magは、株式会社シンカが運営するオウンドメディアです。 「音声を記録し、会話を企業価値に」をモットーに、「会話」に関する様々なテクノロジーや最新情報、企業の業務効率化や社内コミュニケーションの活性化事例など、すべての企業にとってお役に立てる情報を幅広く発信します。

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