「電話対応で『もしもし』というのは失礼なんだろうか?」
「『もしもし』の代わりの言葉は何を使えばいいの?」
と悩むことはありませんか?
電話対応の第一声や、保留後などに使いがちな「もしもし」ですが、ビジネスシーンでは不適切といわれています。とはいえ、日常生活では問題なく使っている言葉なので、いざ別の言い方をしようとすると「なんと言えばいいの?」と迷う方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、電話対応で「もしもし」の代わりに使うフレーズや、思わず言ってしまった場合の対処法をお伝えします。「もしもし」以外のNGワードも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
不適切な言葉を使わないためには、事前に電話対応の流れや注意点を押さえておくのが効果的です。シンカでは、電話対応の流れや例文について解説した電話対応マニュアルを無料で配布していますので、ぜひお役立てください。
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電話対応で「もしもし」がNGなのはなぜ?
日常の電話で「もしもし」と使うのは問題ありませんが、ビジネスシーンの電話対応で使うのはNGとされています。
電話対応で「もしもし」がマナー違反といわれるのは、元は「申します、申します」の略語であるためです。略語はカジュアル・若者言葉という印象を与えるので、「ビジネスシーン・とくに目上の方に使用するのは不適切」とされています。
ただし、「もしもし」の語源からすると、必ずしもマナー違反とはいえない面もあります。
「もしもし」はもともと電話交換手(昔の職業の1つで、電話の回線を手動でつなぐ役割)が呼びかける際に使っていた応答です。男性は「おいおい」と応答していましたが、「おいおい」は無礼な印象を与えるので、「もしもし」が使われるようになったという説があります。
この説から、「もしもし」はもともと「丁寧な受け答え」として使われていた可能性があり、語源からすると無礼な表現と断定はできません。
とはいえ「ビジネスシーンでもしもしというのはマナー違反」と認識している人がいるのも事実なので、使わないほうが無難です。
しかし、電話対応の第一声や、相手の声が聞き取りにくいときなど、「もしもし」と声をかけたいシーンもあります。そのようなシーンでは「もしもし」の代わりに何と言えばよいのか、次の項目でみていきましょう。
電話対応で「もしもし」の代わりに使うフレーズ6つ
電話対応で「もしもし」の代わりに使うフレーズ6つを、下記の表にまとめました。
シーン | 代わりのフレーズ |
---|---|
最初の挨拶(受電時) | お電話ありがとうございます |
はい、株式会社〇〇の□□です | |
最初の挨拶(架電時) | お世話になっております |
相手に聞こえているかわからないとき | 聞こえていらっしゃいますか? |
相手の声が聞き取りにくいとき | お電話が遠いようでございます |
保留後の対応 | 大変お待たせいたしました |
それぞれの具体的な使い方をみていきましょう。
【フレーズ1】お電話ありがとうございます
受電時の「もしもし」は、「お電話ありがとうございます」に言い換えられます。
相手に感謝の気持ちを表すと、相手に対するリスペクトや親しみを感じさせ、良い第一印象を持ってもらいやすいです。
午前10時より前に受電した場合は、「おはようございます」と伝えても問題ありません。
【フレーズ2】はい、株式会社〇〇の□□です
受電時には「はい、株式会社〇〇の□□です」と述べ、相手に自分の所属や名前を伝える方法もあります。
第一声で所属や名前を伝えると、電話のかけ間違いがあったときはすぐに気づけるため、コミュニケーションを取りやすくなります。
また「お電話ありがとうございます」のあとに「株式会社〇〇の□□です」と伝えると、より丁寧な印象を与えられ、スムーズなコミュニケーションにも効果的です。
【フレーズ3】お世話になっております
架電時の「もしもし」は、「お世話になっております」と言い換えましょう。「お世話になっております」は、会社として取引いただいていることへの感謝を表す言葉です。
「初対面の相手に使うのは違和感があるのでは?」と思うかもしれませんが、「会社同士」ですでに取引があれば、初対面の相手に使っても問題ありません。
なお、相手が新しく取引をする会社であれば「お世話になっております」ではなくて「お世話になります」が正しいです。
【フレーズ4】聞こえていらっしゃいますか?
相手に聞こえているかわからないときは、「もしもし?」と呼びかけるのではなく、「〇〇様、聞こえていらっしゃいますか?」と言い換えます。
相手の声が全く聞こえず、電話のやり取りが不可能な場合は、お詫びしたうえで「電波が悪いようなので、一度切らせていただきます」と伝えてから切りましょう。こちらが聞こえていなくても、相手には聞こえている可能性があるためです。
電話で相手の声が聞こえないときは、ほかにも以下の対策を取ります。
- 通話音量を上げる
- スピーカー部を掃除する
- Bluetoothデバイスの接続を切る
- イヤホンの接続を見直す
- 場所を移動する
- 別の方法で連絡を取る など
電話で相手の声が聞こえないときの対策をより詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
【フレーズ5】お電話が遠いようでございます
相手の声が小さくて聞き取りにくい場合は、「お電話が遠いようでございます」と伝えましょう。
通話の際、雑音や電波の影響で相手の声が小さく聞こえるときに、直接的な指摘をしなくても、相手に「聞き取りにくい」という意図を伝えられます。
相手の声が聞こえにくいときには、「もしもし」を「〇〇様」と相手の名前に置き換えて呼びかけることも効果的です。
【フレーズ6】大変お待たせいたしました
保留後の対応時は、「大変お待たせいたしました」と呼びかけます。
「お待たせしております」では現在進行形となり、「引き続き待ってもらう」意味になるため、言い間違えないように意味の違いを押さえておきましょう。
電話対応で慌てないためには、よく使うフレーズをあらかじめ知っておくことが重要です。よく使うフレーズとしては、ほかにも下記のようなものがあります。
- おつなぎいたしますので少々お待ちくださいませ
- 担当の〇〇は不在にしております。折り返しお電話いたしましょうか
- 本日はお忙しいなかありがとうございました
以下の記事では、ほかにも電話対応に役立つ定番のフレーズをシーン別に紹介していますので、気になる方はあわせてご覧ください。
「もしもし」と言ってしまった場合の対処法
代わりのフレーズを事前に押さえていても、とっさに電話対応で「もしもし」と言ってしまう場合も考えられます。
反射的に「もしもし」と言ってしまった場合は、間違いを詫びる一言を添えて会話を続けましょう。
「もしもし……大変失礼いたしました。お世話になっております」
「もしもし……申し訳ありません。改めまして、〇〇と申します」
必要以上に恐縮すると相手の時間を奪ってしまうので、謝罪のあとはすぐに切り替え、用件を述べます。
ここまで、電話対応で「もしもし」の代わりになるフレーズや、言ってしまった場合の対処法を紹介してきました。
しかし、「もしもし」に代表されるように、「日常会話では失礼でない表現」「礼儀正しい印象を持つものの、実際はマナー違反である表現」はいくつもあります。
次からは、ビジネスシーンの電話対応で失敗しないように、「もしもし」以外のNGワードを解説します。
「もしもし」以外のNGワード5つ
「もしもし」以外のNGワードは、大きく下記の5つです。
- お疲れ様です
- お名前を頂戴します
- 大丈夫です
- 声が小さいです・聞こえません
- なるほど
いずれも電話対応で使いがちなフレーズなので、NGな理由や代わりの言葉を押さえ、失敗を防ぎましょう。
【NGワード1】お疲れ様です
「お疲れ様です」は、社内で使う言葉としては問題ありませんが、顧客に対して使うのはマナー違反です。「お疲れ様です」は目上の方が部下の労をねぎらう表現であるためです。
似た表現として、「お世話様です」も上から目線に受け取られてしまいかねないため、ビジネスシーンでは使いません。「お世話様です」を使うのは、主に自分が顧客の立場であるときです。
「お疲れ様です」は、「お世話になっております」と言い換えましょう。
【NGワード2】お名前を頂戴します
「お名前を頂戴します」「お名前を頂戴してもよろしいでしょうか」は、丁寧に聞こえるものの、正しい日本語ではありません。
名前や電話番号を聞くときは、「うかがう」が正しい表現です。「教えていただけますか?」と素直に聞くのも自然です。フレーズの例をみていきましょう。
「お客様のお名前をうかがってもよろしいでしょうか?」
「お客様のお名前を教えていただけますでしょうか?」
相手に違和感を与えないためにも、正しい日本語を心がけましょう。
【NGワード3】大丈夫です
日常会話で使いがちな「大丈夫です」も、ビジネスシーンで使うのは望ましくありません。
「大丈夫です」は、否定表現とも肯定表現ともとれるあいまいな言葉であるためです。ビジネスシーンであいまいな表現を使うと、思わぬ誤解を招く恐れがあります。
言い換えるときは、下記のように具体的な表現を用いましょう。
▼例
- 肯定するとき:「承知いたしました」「かしこまりました」
- 否定するとき:「対応できかねます」「遠慮しておきます」
- 配慮したいとき:「お気になさならないでください」
「大丈夫です」と言いたくなったときは、誤解を与えないように、否定・肯定を具体的に伝えましょう。
【NGワード4】声が小さいです・聞こえません
「相手の声が小さい」「相手の周辺環境がうるさい」場合でも、「声が小さいです」「聞こえません」とストレートに伝えるのは、相手を責める言い方になってしまい、失礼にあたります。
そのようなシーンでは、前述したように「お電話が遠いようでございます」と伝えましょう。
「もう少しゆっくり話してほしい」「静かな場所で通話してほしい」など、相手に依頼したい場合は、クッション言葉を使うと柔らかい印象が与えられます。
クッション言葉の例は下記のとおりです。
- 恐れ入りますが
- 申し訳ありませんが
- ご面倒をおかけしますが など
以下の記事では、「相手に尋ねる」「相手に協力を仰ぐ」などのシーン別に使えるクッション言葉を紹介しています。相手に配慮しながら適切なコミュニケーションを取りたい方は、あわせてご覧ください。
【NGワード5】なるほど
相づちとして使いがちな「なるほど」も、目上の方や顧客に使うのは失礼にあたります。
「なるほど」は感嘆詞の1つであり、「うん」や「へえ」などに近いカジュアルな印象を与えるためです。
同じように相づちとして使われがちな言葉として「参考になります」もありますが、こちらも上から目線な印象を与えてしまいます。
「なるほど」や「参考になります」を言い換えたいときは、下記の表現を用いましょう。
▼例
- 相づちをうちたいとき:「はい」
- 同意したいとき:「おっしゃるとおりです」「勉強になります」
- 理解を示したいとき:「左様でございますか」
ここまで電話対応のNGワードを解説してきました。しかし、電話対応をおこなう際には、正しい敬語表現以外にも押さえておきたいポイントがあります。
次からは、電話対応で心がけるべきポイントをみていきましょう。
【シーン別】電話対応で心がけるべきポイント
電話対応で心がけるべきポイントは、受電時・架電時で異なります。基本的なマナーを押さえておけば、相手に好印象を持ってもらいやすくなります。
受電時・架電時に心がけるべきポイントを、表にまとめました。
シーン | ポイント |
---|---|
受電時 | 3コール以内に受話器を取る |
確認事項を復唱する・記録する | |
保留機能を活用する | |
聞き取れない場合は聞き返す | |
架電時 | 迷惑にならない時間帯にかける |
事前に話す内容を整理する | |
挨拶とセットで社名や名前を名乗る | |
担当者が不在の場合はかけ直す |
以下の記事では、電話対応の基本的なマナーを受電時・架電時にわけて解説しています。電話対応の基本をより詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
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まとめ:電話対応の第一声は「もしもし」ではなく「お礼」から!
ビジネスシーンにおける電話対応の第一声は、「もしもし」ではなく「お電話ありがとうございます」「お世話になっております」などのお礼から始めましょう。取引頂いている感謝の気持ちを表せば、相手に良い印象を持ってもらいやすいです。
「もしもし」と言ってしまわないためには、事前に代わりの言葉をいくつか覚えておくのがおすすめです。代わりの言葉を知っておかないと、とっさに「もしもし」と言ってしまったときにリカバリーできません。
このように電話対応では、事前に流れやフレーズを押さえておかなければ、うまく回答できないシーンが発生します。いざというときに慌てないためには、電話対応マニュアルを手元に置いておくのがおすすめです。
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