不動産

携帯通話の録音により営業電話のクオリティ向上とトラブル対応の迅速化を実現

株式会社ネクサスエージェントは「不動産を通じて、価値を提供し、世界を変えていく」というミッションを掲げ、2016 年に大阪市で創業。不動産の売買・管理事業や不動産関連の投資・資産運用コンサルティングなどを手がける中で、積極的にプロップテック(不動産事業とテクノロジーの組み合わせ)を展開している急成長中のベンチャー企業だ。
今回は、不動産流通のプラットフォームサービス「イエリーチ」業務における顧客対応品質の向上を目的に導入されたカイクラの携帯通録について、技術開発部の川野氏、イエリーチ事業部の青山氏と畠山氏に、導入の経緯や解決された課題について伺った。

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  1. 費用対効果が見込めると判断しカイクラの携帯通録を導入
  2. 通話録音の振り返りによって、客観的な事実にもとづいた指導が可能に
  3. クラウド保存されているデータで、異なる部署同士のやりとりもスムーズに
  4. 蓄積された通話録音を「顧客分析」や「営業分析」にも活用
  5. 広がり続けるカイクラの携帯通録、導入部署と活用方法

費用対効果が見込めると判断しカイクラの携帯通録を導入

ネクサスエージェントでは、営業部門が不動産業者向けの toB 営業と、不動産を所有されているオーナー様向けの toC 営業に分かれている。最初にカイクラの携帯通録を導入したのは、toC 部門だった。そのいきさつについて川野氏はこう振り返る。

「これまでお客様との会話は録音機能付きのスマートフォン(Android 端末)を使用していましたが、会話中に手動で録音ボタンを押す必要があるなど、運用面での不便がありました。今後の Android 端末にて録音機能が保証されていなかったこともあり、確実に利用でき、かつ利便性の高いサービスに切り替える判断をしました」

「新たな費用負担が発生するため、営業部門を含む 3 部門で協力し、詳細な費用対効果を算出しました。その結果、投資に十分見合うと判断できたことから、カイクラの携帯通録を導入することに決めました」

通話録音の振り返りによって、客観的な事実にもとづいた指導が可能に

営業部門時代にカイクラの携帯通録を使用し、企画部門に異動した今もその効果を実感している青山氏によれば、カイクラの携帯通録の導入効果は「上司からの指導が客観的な事実にもとづいて、より具体的になった」こと、「文字起こしの作業効率が上がった」こと、そして「トラブル対応の迅速化が測られた」ことの3つだという。

中でも印象に残っているという「上司からの指導が客観的な事実にもとづいて、より具体的になった」点について、青山氏に以下のように語っていただいた。

「上司からの指導とは、営業がお客様に次のステップである商談に進んでもらうためにかける『アポ取り』電話への指導についてです。そこまでたどり着ける確率は少数で、より効果的に『アポ取り』ができるよう指導が入るのですが、これまで我々部下は口頭報告をベースに行っていました」
「口頭による報告だと断片的な説明になることがあるため、上司も曖昧な情報をもとに指導せざるを得ませんでした。しかしカイクラの携帯通録を共有するようになったことで、明らかに変化が現れました」

「カイクラの携帯通録導入後の指導では、これまで以上に自覚できていない点まで指導をもらえるようになりました。例えば、気負いすぎて先方の語尾にかぶせて相槌を打ってしまうことや、間を詰めた話し方になっている点など営業に必要な会話のノウハウを直していただけたので、非常に勉強になりました」と感想を述べている。

通話録音という客観的事実をもとに話し合うようになったことで、部下本人でさえ気づいていなかった部分への指導が可能になりその効果を実感しているようだ。

クラウド保存されているデータで、異なる部署同士のやりとりもスムーズに

もうひとつの「文字起こしの作業効率が上がった」という効果は、商談の際の「議事録の作成」についてである。同社では、携帯電話の録音を文字起こしして議事録としてまとめていた。

しかし、過去に使っていたツールは自動で上がってくる文字起こしの精度が低い上に、「話者識別」ができていなかったため、1本の議事録の手直しに3〜4時間は要していたのだ。

その当時を振り返りつつ畠山氏は、「カイクラの携帯通録を導入したことで、体感的に 9割以上の時間を削減できています」と語る。

ノンコア業務にかける時間が減ったことで、コア業務にかけられる時間が増え、業務の質も向上したという。


そのメリットについて「これまで議事録作成は、コア業務後にやることも多くとても時間がかかっていました。カイクラの携帯通録は高精度な文字起こしを出してくれる上に、話者も識別してくれるので非常に楽になりました。おかげで、議事録作成のために残業することはなくなりました」と畠山氏は語る。


そして最後の「トラブル対応の迅速化が測られた」点について、川野氏は次のように語った。
「法務部が対応するトラブル対応は、直ちに営業担当者に連絡をとって先方との会話を確認しています。しかし、ここがボトルネックでした。なぜなら、営業担当者は毎日、各地に出向いて訪問営業や商談に臨んでいるため、なかなかつかまらないのです。また、連絡がついても該当の通話録音を探し出すのに手間がかかっていたのです」

同社の営業担当者は1日に 60〜70 件は電話をかけているという。その中から、過去の通話録音を探し出す行為は、川野氏曰く「砂の中から宝を発掘するような作業だった」、と。しかし現在は、顧客の名称が表示された通話録音がクラウドに保存され、それを直接、法務担当者が探せるような環境になったため、対応完了までのリードタイムが大きく短縮された。

「時には、お返事に1週間ほどかかってしまうケースもありましたが、今ではほぼ即日対応ができています。我々が重視する『顧客視点』という意味でも、ご連絡を頂いた方をお待たせする時間が短縮されたことは重要な改善といえます」と川野氏。

社内作業の効率化以上のメリットがあったことを実感しているという。

蓄積された通話録音を「顧客分析」や「営業分析」にも活用

さらに同社では、蓄積された通話録音を「顧客分析」や「営業分析」にも役立てていく考えだ。

「例えば、売上トップの営業担当者の通話録音を AI に読み込ませて受け答えのパターンを提示させれば、新人の研修などに使えるのではと考案中です。もっといえば、将来的には AI エージェントを育てて、人間の営業担当者と置き換えることも想定しています」と、川野氏は今後の展望を語る。

実際に通話録音のそうした活用方法は、導入前の部署同士の議論において、すでに議題に挙がっていたという。

システム開発や AI 開発部門を社内に抱える同社に対し、強みを理解したうえで寄り添った提案ができるカイクラの営業・開発担当の存在も、同社がカイクラを選んだ理由の一つだと川野氏は語る。

広がり続けるカイクラの携帯通録、導入部署と活用方法

最後に、同社においてカイクラの携帯通録が果たしている役割について青山氏に伺った。
「最初は toC 営業部での導入でしたが、その効果を目の当たりにした4つの部署が次々と導入しました。現在では、社外の方とコミュニケーションを取る際に録音を残しておくべきすべての部署(約 140 名)に導入されており、今後は春に入社する新卒社員にも導入する予定です。どの部署も作業効率や顧客対応品質の向上につながっており、加えて、AI エージェントといった新しい展開も生まれました。今後も『カイクラ』を通じ、『理想を追求する』という当社の理念をもっと多様な形で実現できればと思っています」

どの部署も作業効率や顧客対応品質の向上につながっており、加えて、AI エージェントといった新しい展開も生まれました。

今後も『カイクラ』を通じ、『理想を追求する』という当社の理念をもっと多様な形で実現できればと思っています」