「お客様の豊かなカーライフをサポートする」を掲げ、群馬県内で新車・U-Car販売からアフターサービスまで幅広く展開するネッツトヨタGTGぐんま株式会社。同社では、若手社員の電話対応への心理的なハードルや「言った・言わない」といった認識齟齬、さらにアナログな情報共有の非効率さが課題となっていました。
こうした状況を改善すべく導入したのが、コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」です。導入後はお客様対応の品質向上と業務効率化の両立を実現。今回は、カーセールス部GM 新車担当/割賦担当 次長の内田勇樹様と、えぎ店 店長の三木雄介様に、導入の背景から具体的な成果、そして今後の展望まで伺いました。
導入事例

正確な記録と基幹システムの自動連携!工数3割削減とガバナンス強化をカイクラで実現
- 基幹システム連携により、週2回行っていた手作業のデータ突合が自動化。関連業務の工数を約3割削減
- 録音機能の活用で「言った・言わない」のトラブルを防止。顧客の温度感を正確に把握し、クレーム対応が迅速化した
- 担当者不在でも、カイクラ上で顧客情報や過去のやり取りを確認可能に。伝言ゲームがなくなり、スムーズな情報共有が実現
- イベント告知などを郵送DMからSMSへ移行。低コストかつタイムリーな情報発信で、新たな顧客接点の創出に繋がった
専門知識の壁と伝言ミス。店舗と本部、担当者間で起きていた情報伝達の課題

──カイクラ導入以前、どのような課題を抱えていらっしゃいましたか?
内田様:電話応対における聞き間違いや認識のズレがトラブルに発展することがありました。たとえば、自動車保険の切り替え手続きで、営業担当の説明とお客様の理解に差が生じ、結果的に過剰加入となってしまった事例もあります。
当時は通話録音の仕組みがなく、やり取りの検証ができないため「言った・言わない」に発展し、最終的に謝罪で収めるしかないケースが多く見られました。
また、クレーム対応でも、店舗から本部への報告の過程で情報が正確に伝わらないという課題がありました。複数の担当者を経由するうちに“伝言ゲーム”のようになり、お客様が本当に不満に感じているポイントが見えづらくなってしまうのです。お客様の声のトーンや温度感が把握できないまま対応してしまい、結果的に事態を悪化させるリスクも抱えていました。
三木様:店舗現場でも同様の課題がありました。特に、故障対応など技術的な内容の問い合わせでは、お客様からの情報が多岐にわたるため、電話を受けたスタッフがサービス担当者に正確に伝えきれないことがあったんです。専門知識がないと内容のニュアンスが抜け落ちてしまい、二度手間になることも少なくありませんでしたね。
──スタッフの電話対応面では、どのような課題がありましたか?
内田様:一般論にはなりますが、スマートフォン世代の若手社員にとって、発信者が分からない固定電話に出ることへの心理的なハードルがあると感じています。私たちの世代では「電話は1〜2コールで取るのが基本」という意識が当たり前でしたが、今の若手社員は登録のない番号への応答に慣れておらず、対応が遅れることもあります。
こうした心理的な負担を軽減し、誰でも安心して電話に出られる環境を整えるためにも、着信時にお客様情報を確認できる仕組みが必要だと感じていました。
導入の決め手は“隣の成功事例”。視察で確信したカイクラの実用性と連携実績
──カイクラを知ったきっかけと、導入検討に至る経緯を教えてください

内田様:当社のグループ企業内には、デジタル化を推進する「TRY-X」というチームがあります。働き方改革の一環として、フリーアドレス化やペーパーレス化を進める提案があり、その流れで営業スタッフが特定のデスクに縛られず、社外でもスムーズに働ける環境づくりを目指していました。
その際に課題となったのが、固定電話への対応です。担当者が不在時にかかってきた電話を紙のメモで共有しており、伝達ミスや情報の煩雑化が起きやすい状況でした。そこで、「オフィスに戻った際に自分宛ての着信履歴を確認することができ、すぐ折り返せる仕組みが必要だ」という話になり、TRY-Xチームから紹介されたのがカイクラでした。
──数あるツールの中で、カイクラを導入しようと決めた理由を教えてください
内田様:まず安心できたのは、カイクラがすでに多くの自動車販売店で導入されていた点です。公式サイトで紹介されている活用事例を見ても、当社の業務フローに置き換えてイメージしやすく、「自社にも合いそうだ」と感じました。
また、近隣のトヨタ販売店が先行導入していると聞き、実際に視察させていただいたことも大きな後押しとなりました。現場で「データはどのように取得していますか?」など、具体的な質問ができたことで、導入後の運用イメージを明確に描けたのです。近隣トヨタ販売店の成功事例を自分の目で確認できたことが、決断の決め手になりました。
──機能面や操作性など、最終的な導入の決定打となったポイントを教えてください
内田様:最大の決め手は、トヨタの基幹システム「次期i-CROP-J」との連携実績があったことです。これは導入における絶対条件でした。視察先で実際に連携して運用されていることを確認できたため、安心して導入を決断できました。
加えて、商談時のデモンストレーションで見たUIも印象的でした。お客様との通話履歴が分かりやすく表示され、顧客検索も直感的に操作できる点が優れていました。SMS機能については、実際に運用を始めてから便利さを実感しましたが、当初から「これならお客様への連絡もスマートにできそうだ」と期待を持てました。
工数3割削減とヒューマンエラー防止。基幹システム自動連携がもたらした劇的な業務改善
──カイクラ導入後、電話対応やスタッフ間の情報共有に変化はありましたか?

三木様:劇的に改善しました。以前は担当者が不在の場合、お客様からの電話を手書きのメモで残し、戻ってくるのを待つしかありませんでした。現在では、カイクラのSMS機能を使い、着信のあった旨をすぐに担当者へ共有できます。
担当者は外出先からでもPCでカイクラにアクセスし、通話録音を直接確認できるため、伝言の過程で情報が漏れたり誤って伝わったりすることがなくなりました。電話の受付から担当者への連絡、内容確認、折り返しまでの一連の流れがスムーズになり、対応スピードと正確性の両面で大きな進化を感じています。
──専門的な内容の問い合わせ対応にも変化がありましたか?
三木様:こちらも確実に改善しています。以前は営業スタッフが専門的な内容をサービス担当者へ正確に伝えきれないことが課題でしたが、今ではカイクラの録音データをサービス担当者や保険担当者など、関係者全員で確認できます。
「お客様はこういう意図で話している」と共通認識を持ったうえで最適な対応策を検討できるようになり、結果としてお客様により安心していただける対応が可能になりました。
──SMS機能は、情報共有以外にもどのように活用されているのか教えてください
三木様:現在ではお客様への情報発信ツールとしても積極的に活用しています。以前はDM(はがき)で案内していましたが、現在は店舗イベントの告知などをSMSで送信しています。
例えば、お子様連れのご家族向けに開催したプラモデル作成イベントでは、該当顧客のリストを作成し、一斉配信でご案内しました。DMに比べてコストを大幅に削減でき、URLを記載することで店舗ブログなどへの誘導も可能になります。お客様に最新情報をタイムリーかつ手軽に届けられる点が大きな魅力です。
──トヨタの基幹システムとの連携が自動化されたことによって、どのような効果が得られましたか?
内田様:本部・店舗の双方で大きな成果が出ています。以前は本部担当者が週2回、パソコンを2台使用してお客様データの突き合わせを手作業で行っていました。さらに、担当者が不在の際には、普段この作業に慣れていない別の担当者が対応していましたが、たまに行う業務のため手順を忘れてしまうこともあり、業務の属人化が課題となっていました。
しかし、今は夜間に自動でデータが日次で更新されるようになり、常に鮮度の高い情報が得られるようになりました。その結果、作業工数はおよそ3割削減され、担当者の負担軽減とヒューマンエラーの防止につながっています。これにより、担当者の不在時でも業務が滞ることなく、属人化の問題も解消されました。
三木様:店舗側でもお客様対応の質が格段に向上しました。電話応対中にカイクラの画面からお客様の保有車種や対応履歴をリアルタイムで確認できるため、「少々お待ちください」と保留にする時間が減りました。担当者でなくても即座に適切な案内ができるようになり、「自分のことをよく分かってくれている」とお客様から喜びの声をいただいています。
顧客との信頼を深化させる「先回りの一報」。カイクラが可能にした新しいフォロー体制

──導入後、コンプライアンスやガバナンスの観点で感じた効果について教えてください
三木様:記憶やメモに頼らず、すべての通話内容を記録として残せるようになったことは、大きな安心材料です。お客様からご指摘をいただいた際には、担当者と一緒に録音を確認し、事実関係を正確に把握できます。
そのうえで、こちらに非がある場合は誠実に謝罪し、逆に過度な要求に対しては冷静かつ適切に対応できるようになりました。やり取りのすべてをエビデンスとして残せることで、コンプライアンスの強化はもちろん、従業員が安心して働ける環境づくりにもつながっています。結果として、ガバナンスの面でも大きな効果を実感しています。
──顧客満足度の面で、印象的な変化やエピソードはありますか
三木様:長期休暇明けの対応が格段に良くなりました。以前は休業期間中の着信を追う手段がなく、お客様からの再連絡を待つしかありませんでした。しかしカイクラ導入後は、休暇中の着信履歴がすべて残るため、営業再開後にこちらから折り返しのご連絡ができます。
実際にお電話すると「どうして電話したのが分かったの?」と驚かれるお客様も多く、その反応から信頼関係の深まりを感じます。これまでの“受け身の対応”から“能動的なフォロー”へと変化したことで、「自分のことを気にかけてくれている」と感じていただける機会が増えました。
──カイクラはどのような企業に向いているとお考えですか?
内田様:人手が限られている企業にはもちろん効果的ですが、むしろ規模の大きな組織ほど導入効果は高いと思います。従業員や部署が多いと、どうしても情報の共有がうまくいかない場面が増えてきます。人が多いがゆえに、担当者間の伝達漏れや認識のズレが起きやすいのです。カイクラのようなツールがあれば、出勤シフトが異なるスタッフ間でも、担当者が外出していても、誰でも同じ一次情報にアクセスできる仕組みを構築できます。そうした情報統制の基盤として、営業担当の外出が多く、お客様との電話のやり取りが多い企業には特に有効だと感じます。
三木様:お客様のデータベースを持っている企業にとっては、非常に心強いツールです。例えば、ロードサービス会社や保険会社のように会員様からの問い合わせが多い業種では、着信と同時に顧客情報を確認できることが大きなメリットになります。お客様をお待たせすることなく、最初の一言から安心感を届けられる点が魅力です。







