株式会社ホンダクリオ共立(Honda Cars 川崎)は、1966年創業と50年以上の歴史を誇ります。現在、神奈川県の川崎・横浜東エリアで計9拠点を展開し、安心・安全・快適なカーライフをサポートしています。
とりわけ重視しているのは、一人ひとりに合わせた “One to Oneコミュニケーション”。車検は車1台1台に合わせたオーダーメイドのメニューを作成するほか、ショールームの空間づくりや接遇まできめ細かく配慮しています。新車販売はもちろん中古車販売やレンタカー、板金・塗装サービスまで手がけ、幅広い車のニーズに応えているのも特長です。
導入事例
「カイクラ」の7店舗一斉導入で
顧客コミュニケーションのスムーズ化に成功
データベースへのアクセス時間は約20秒短縮!
- 商品で差別化を図れないからこそ、「対応力」による顧客満足度向上が重要に
- 約2万件の顧客情報からの照合で、保留時が長引いてしまうことも
- 「カイクラ」の導入で保留時間を大幅に短縮、またコミュニケーションの質も大幅に向上
- 履歴の有効活用で、顧客への案内機会の最大化も実現
全国のHondaディーラーの中でも上位の実績を誇る
カーディーラーは、同業他社との競争が激しい業界だ。他の自動車メーカーに対してのみならず、同じメーカーのディーラー同士もしのぎを削っている。後者の場合、当然のことながら商品力だけで差別化を図ることは難しい。
「だからこそ、接遇を含めた“おもてなし”の部分でお客様の満足度を上げることを重視しています」
そう話すのは、株式会社ホンダクリオ共立が展開するHonda Cars 川崎の港北店で店長を務めている川島進一氏。総務部部長の平岡天明氏は、全国屈指の激戦区にある同社の状況について、次のように説明する。
「神奈川県内だけでも、20社以上のHondaディーラーがあります。当然、各社ともしのぎを削っていますので、お客様に選ばれなければ淘汰されてしまうのです」(平岡氏)
さらに、新車販売が以前に比べれば落ち込んでいることも、競争の激化に拍車をかけている。顧客満足度向上のためにも、点検などのアフターメンテナンスが重要となっていると平岡氏は話す。
「弊社が正規ディーラーであることの強みのひとつは、Hondaの車に精通したサービススタッフがいることです。自動車整備士の国家資格だけでなく、Hondaの社内技術資格を取得したスタッフが、“車のお医者さん”として1台1台の点検・整備・修理をしています」(平岡氏)
その技術の確かさは、量販店からディーラーへ点検・整備に関する問い合わせが入ることでもわかる。しかも、意外と知られていないが、ディーラーの点検価格は量販店などとほとんど変わらない。
「そうした強みを十分に活かしつつ、お客様一人ひとりに、お車の1台1台に合わせた対応をさせていただく。シンプルなスタイルですが、生き残るためにはこれを徹底すること重要だと考えています。他のディーラーさんのお考えはわかりませんが、弊社にとって販売はゴールではなくスタートなのです」と川島氏。その姿勢が正しいことは、Honda Cars 川崎が全国のHondaディーラーの中でも上位の実績を挙げていることが証明している。
「お客様の特定」に手間取り、保留時間が1分に及ぶことも
アフターメンテナンスを重視することは、既存顧客とのコミュニケーションを大切にすることを意味する。「よりお客様に寄与できる方法をいつも模索しています」と話す平岡氏が改善の余地を感じていたのは、電話応対だ。
「お客様から電話をいただいても、どのお客様か特定するのにどうしても時間がかかっていました。『オデッセイの○○です』といった形で名乗っていただくことが多いのですが、弊社のお客様データベースは約2万件ありますので、その情報だけだと何十人と該当してしまい、絞り込めません。そのため車の登録番号を伺いますが、お客様の電話の電波状況がいつも良好とは限りませんので、聞き取りにくいときもあります。そうなるとフルネームをお聞きしたり、電話番号で検索したり……。いくらお名前や電話番号をデータベースに入力してもヒットしない、おかしいなと思ったら、お電話は奥様からなのに、ご主人が登録されているというケースもあります。結局は保留でお待たせすることも少なくありませんでした」
顧客がディーラーに電話をする際には、何らかのトラブルに見舞われていることも少なくない。困っているときに保留にされるのは、決して気分が良いものではないだろう。しかも、保留時間がどれくらいか調べたところ、1分間待たせることもあったという。困って電話をかけた顧客の心理を考えると、1分は長い。いくら接遇を含めた対応にきめ細かく配慮しても、電話の対応ひとつで台無しにしてしまう可能性すらあった。
顧客対応が高いレベルで平準化し、無駄なやりとりもゼロに
顧客の印象を悪化させかねない電話対応をどうにか改善したい――。そう考えていたときに出会ったのが、「カイクラ」だった。
「ノベルティの業者さんから紹介してもらったのですが、着信と同時に電話の相手が特定できるのが、とにかく魅力でした。30日間無料でお試しできるというので、まずは港北店で使ってみたのです」
無料お試しを活用したのは、スムーズな組織マネジメントも考慮してのことだったと平岡氏は振り返る。
「弊社はHonda Cars 川崎が5店舗、中古車販売のオートテラスが2店舗あります。導入するなら、まずはこの7店舗にと考えていました。しかし、どんな優れた仕組みもそうですが、導入するだけでは効果を発揮しません。まず1店舗で試すことで、『良さそうだからうちの店舗にも導入したい』という声が出てくることを期待しました。そのうえで導入すれば、各店舗で主体的に運用できますから」(平岡氏) 果たして、お試しで先行導入した港北店では想像以上の効果があったと川島氏は語る。
「電話に対するストレスは一気に下がりました。特に、新入社員などキャリアの浅いスタッフには大きな効果がありましたね。実は、新入社員が仕事を覚えるとき、もっともハードルが高いのが電話応対なのです。たとえば車のトラブルの場合、車種や年式によって対応方法はまったく異なりますので、ひとつひとつ覚えていかなければなりません。『カイクラ』導入前は、そのうえお客様を特定するのに神経を使いますので、ある程度経験を積まないと適切な対応ができなかったのです。今は、電話をとる前にお客様を特定できるので、少なくとも20秒は時間が短縮し、対応も高いレベルで平準化できました」(川島氏)
つまり、こういうことだ。着信時の画面で顧客の名前と登録番号が表示されるため、データベースにアクセスしながら電話に出て、「○○さま、いつもありがとうございます」と第一声を発することができる。電話に出てから登録番号を聞き、データベースに打ち込んでいたときと比べれば、無駄なやりとりが減っただけでなく顧客コミュニケーションの質も向上した。
「『なんで私だってわかったの?』とうれしそうに反応してくださるお客様はやはり増えました。コミュニケーションの糸口がそれで掴めますので、電話を“おもてなし”の手段に使えていると実感しています」(川島氏)
営業時間外や通話中の着信もしっかり把握でき、「機会」の最大化を実現
現場からも好評だったことで、予定どおり7店舗で「カイクラ」を導入した同社。川島氏は、複数店舗で活用することのメリットも大きいと話す。
「実は、店舗を横断してご利用されるお客様も少なくないのです。車は東名川崎店で購入されたけれども、馴染みのサービススタッフが中原店にいるといった具合です。ですから、お電話をいただいたときに『鶴見北店でご登録されている○○さまですね』『○○さま、担当は港北店の川島ですね』といった対応ができます」(川島氏)
営業時間外の電話が「見える化」したのも見逃せない効果だ。「バッテリーがあがってしまった」「エンジンがかからない」といったトラブルは朝方に多い。従来は留守番電話で対応していたが、「カイクラ」ならば出社後すぐに対応できる。さらに、クラウドCTIならではの機能も役立っていると平岡氏は明かす。
「外線が全部着信で埋まっているとき、お客様側は呼び出し音が鳴りませんが、着信を示すポップアップは表示されますので、すぐ折り返すことができます。また、発信履歴をお客様ごとにソートできるため、社員の動きがわかるのはマネジメントの面でも役立っていますね。今後は、SMSを簡単に送信できる機能を点検予約のリマインドに活用することも予定しています」(平岡氏)
顧客コミュニケーションの軸となっている電話応対を改善したことで、日々のさまざまな対応のクオリティを底上げできたと評価する平岡氏は、最後にこう語ってくれた。
「電話に限らずどんなことでも、改善の『特効薬』はそうそうあるものではありません。むしろ、簡単なことをきっちりとやることで、対応の質は少しずつながら向上していきます。その意識付けを組織内に促すという意味でも『カイクラ』の一斉導入は役立ったと思っています」(平岡氏)