医療・介護

増えていく電話対応の業務負担に危機感
「カイクラ」の導入で効率化と質向上を両立し、職員間の連携も強化

 社会福祉法人三神会(さんしんかい)は、神奈川県川崎市宮前区で特別養護老人ホーム「フレンド神木」(2006年設立)と地域密着型特別養護老人ホーム「フレンド神木 二番館」(2014年設立)を運営しています。双方ともユニットケア型式の個室で、「フレンド神木」は120室(うち20室は短期入所生活介護)、「フレンド神木 二番館」は29室(うち13室は短期入所生活介護)となっています。

 家庭的な居心地のよい雰囲気を大切に、「ご入居前と変わらない当たり前の暮らし」を支援するため利用者の生活スタイルを重視しているのが特徴で、自立をサポートするため「ハート=真心」を込めたケアをおこなっています。また、「フレンド神木」には地域包括支援センターも併設。社会福祉士、主任介護支援専門員、保健師を中心に職員全員がチームとなって支援に取り組み、中でも「介護予防教室」に力を入れています。

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  1. 「電話保留時間」や「折り返し電話の対応」に大きな課題
  2. 「電話対応業務の負担軽減」と「職員の接遇意識向上」を目的に「カイクラ」を導入
  3. 「カイクラ」導入後、担当者による迅速な電話対応が可能になり、お叱りも9割以上削減
  4. 職員間のコミュニケーションが活性化という想定外の効果も

人気の介護施設だけに電話の量も多く、対応に大きな課題が

特別養護老人ホーム フレンド神木
施設長 理事 井田 友花様

 超高齢社会を迎え、介護施設に期待される役割は日に日に増している。とりわけ、寝たきりや認知症などで日常生活全般での常時介護を必要とする要介護認定された高齢者を、自宅でケアするのは決して簡単ではない。食事や入浴、排泄などの介助を24時間体制で行わなければならないため、介護離職の問題も大きくクローズアップされている。

 そんな在宅での生活が困難になった要介護認定の高齢者が入居できる介護施設が「特別養護老人ホーム」だ。対象となる高齢者の家族にとっては、よりよい施設に入居してもらいたいと願うのが当然。ケアマネジャーに施設のリストをもらって見学したうえで決定する人がほとんどとなっている。

 そうした状況の中で満室状態が続き、地域からの評判も高いのが、社会福祉法人三神会が運営する特別養護老人ホーム「フレンド神木」と地域密着型特別養護老人ホーム「フレンド神木 二番館」だ。人気の秘訣を施設長の井田友花氏に聞いたところ、「接遇の質を向上させることは常に意識しています」と謙遜しながら教えてくれた。一方で、電話対応については改善する必要性を強く感じていたという。

 「かかってきた電話に対して、担当者が不在で保留のまま長々とお待たせしたり、折り返しのお電話にうまく対応できなかったりすることが目立っていました。恥ずかしい話ですが対応が粗雑になってしまったことで、ご利用者様のご家族からお叱りを受けたこともあります」

費用や課題解決を踏まえた提案が「カイクラ」導入の決め手

 この問題の背景には、かかってくる電話の量がある。120室ある「フレンド神木」では、併設の地域包括支援センター用の2回線を含めて6回線用意している。「フレンド神木」の事務室には常時10~15名の職員がいるが、ピーク時には午前中いっぱい電話対応しかできないことも少なくないと井田氏は明かす。

 「こうした状況のなか、『電話対応業務の負担を減らすこと』と『職員の接遇意識を向上すること』の2つが大きな課題でした。どうやって解決すればいいのか悩んでいたとき、『カイクラ』の存在を知ったのです」

 それまでCTIサービスを活用していなかった三神会が、「カイクラ」を導入した決め手はなんだったのか。

 「シンカさんが親身にサポートしてくれたのが大きかったですね。IT導入補助金(経済産業省)が活用できると教えてくれたり、職員の接遇意識を効果的に向上させるため、ビジネスマナー研修の実施と同時に導入することを提案してくれたりしました。特別養護老人ホームは、運営も決して楽ではありません。そのなかでシンカさんは、費用面のハードルを下げてくれたうえに課題の解決法を的確に示してくれたので、すんなりと決めることができました」

無駄な保留時間がなくなり、お叱りも9割以上削減に成功

 ビジネスマナー研修の受講直後に「カイクラ」を使うようになったことで、職員もスムーズに変化を受け入れることができたと井田氏は振り返る。

 「『カイクラ』の場合、誰から電話がかかってきたか出る前にわかるので、心理的な余裕ができたことも意識向上の助けになりました。『電話を保留で待たせるのが失礼だ』と研修で教わっても、保留せざるを得ない状況が変わらなければ、改善できなかったと思うのです」

 以前ならば電話に出たあとで「○○さんは誰が担当?」と事務室内で呼びかけていた。必然的に、その間は保留で待たせることになる。しかし、電話に出る前に誰からの電話なのかわかるようになったため、着信時点で担当者自身が声をあげたり、他の職員が声をかけあったりするようになった。

 「これまでは状況によって1分以上保留でお待たせすることもあったのですが、『カイクラ』を導入したことで激減しました。余裕をもって電話の対応ができるようになったこともあり、電話対応に関するお叱りは目に見えて減りましたね。おおよその体感ですが、9割以上は削減できたのではないでしょうか」

電話対応を省力化したことで、他の業務へ力を注げるように

 誰からの電話なのか出る前にわかる――。このシンプルな機能を活用するだけで、クレームの大幅削減に成功したわけだが、ほかにも副次的な効果を実感しているようだ。井田氏はこう説明する。

 「以前は、折り返し待ちで事務室に待機する職員も多かったのですが、『○○さんから電話がかかってきたら構内PHSに転送してね』と伝言できるようになったので、その間に別の作業ができるようになりました。このような業務の効率化までは想定していなかったので、想定外の効果ですね。また、自然発生的に声かけが増えたことで職員間のコミュニケーションが活性化し、事務室内の雰囲気も良くなりました」

 電話対応業務の効率化と質向上を両立させたことで、電話の重要性を改めて認識したと語る井田氏は、オプション機能の追加も検討している。

 「たとえば利用者様が転倒などのトラブルに見舞われた場合、すぐにご家族に報告の連絡をするわけですが、電話がつながらないこともあります。留守番電話に残したり、改めて電話したりといった対応をしていますが、うまくつながらないと利用者様のご家族に不信感を抱かせることにもなりかねません。発信履歴を残したり通話内容を録音できたりすればきちんと伝えることができますし、職員に対してもよりしっかりと意識付けができます」

 職員に「カイクラ」の導入効果をヒアリングした結果、『導入前の状態はもはや考えられない』と口を揃えていました」と教えてくれた井田氏。三神会では、日々の介護サービスを円滑に実施するうえで、「カイクラ」はなくてはならない存在になっているようだ。