医療・介護

「カイクラ」の導入により、電話がかかってくるとすぐにカルテを表示
患者に寄り添った対応が可能に

 医療法人社団ときわは「人に寄り添い、未来に挑む」を理念に掲げ、訪問診療を中心とした四つのクリニックを運営しています。様々な専門分野や専門領域をもつ医師による、高度な在宅医療を提供しており、2018年4月には小児在宅医療も立ち上げました。

 「事実と正義に基づいて診療を行う」「医療という範囲に限定することなく、患者さんへの価値の最大化を目指す」という2つの行動規範のもと、すべての人が望む場所で安心して暮らせる社会を目指して活動しています。

    point0123456789
  1. 医療の現場では、電話の初期対応が非常に重要
  2. 電話対応で生じていた課題を解決するために「カイクラ」を導入
  3. 「カイクラ」導入で、着信時に電子カルテをリアルタイムで確認できるように
  4. 「カイクラ」の有効活用で、患者様に寄り添った医療を実現

訪問診療では、患者からのSOSでもある電話対応が非常に重要

医療法人社団ときわ理事長
赤羽在宅クリニック院長 小畑 正孝様

 医療法人社団ときわでは赤羽、大宮、練馬、墨田4カ所でクリニックを運営。医師と看護師、医療アシスタント、相談員、医療事務がチームを組んで、患者に寄り添った訪問診療を行っている。通常は月に2回定期的に訪問して診療を行い、患者からの要望があれば24時間365日往診する。その一方、具合の悪くなった患者から突然、電話で連絡が入り、医師が患者の元へ向かうことも昼夜問わず発生する。

 「患者さんの多くはかなりの高齢であったり重い疾患を抱えていたり、通院できないという理由から在宅医療を利用しています。そんな患者さんやご家族からの電話は、ときには命にもかかわる大事なSOSであることもあります。そのため、私どもにとって最初の電話への対応は非常に重要なのです」と、医療法人社団ときわの理事長で、赤羽在宅クリニック院長の小畑正孝氏は語る。

 同医療法人全体で1300人の患者を抱えており、医師は常勤、非常勤がそれぞれ15人。そのため一人の医師がすべての患者の名前や状況を頭に入れておくことは難しい。そこで電話でのやり取りや診療の内容はすべて電子カルテに記入し、それを共有することで、どんな医師や看護師でも、患者の状況に即した対応ができるようにしている。

 「これまでは患者さんから電話がかかってくるとまずお名前をうかがい、その名前で電子カルテを検索して、表示されたカルテを見ながら対応していました。でも患者さんが名前をうまく言えなかったり、患者さんの言葉が聞き取りにくかったりすると、すぐにカルテを検索することができません。電話を受けてからカルテを表示するまでを、もっとスムーズにできないものかと思っていたのです」

「カイクラ」の導入で、電話対応がスピーディーかつ正確に

 そんな時、小畑氏は知人からの紹介で「カイクラ」のことを知る。電話が鳴った瞬間にかけてきた人の名前が表示されるこのシステムなら、電子カルテを今までよりスピーディーに参照できるようになる。そう考えた小畑氏は、2018年に赤羽と大宮のクリニックで「カイクラ」を導入。その後も2つのクリニックの開業に合わせて追加導入した。

 「通常、赤羽のクリニックだけで1日に100件ほどの電話がかかってきます。相手も患者さんだけでなく、そのご家族、老人ホームや介護施設の職員、ケアマネージャーやヘルパー、訪問看護師、薬局、別の事業所の方など様々です。そうした電話には、事務員や相談員、看護師などが対応しています。これまでは誰かが一度受けた電話を、相手や要件に合わせて担当者に回していたのですが、『カイクラ』導入後は電話に出る前に相手が分かるので、担当すべき人が最初から電話に出られるようになり、電話を回す手間がなくなりました」

 もちろん、当初の課題だった電話を受けてから電子カルテを表示させるまでのプロセスも、非常にスムーズになった。当初は電話をかけてきた人の名前のみ表示していたが、現在は表示された名前のポップアップをクリックすれば、本人の電子カルテがすぐに開く仕組みにした。
 「名前を聞き出す必要がなくなっただけでも楽になったのですが、電話のたびに名前からカルテを検索する必要がなくなり、対応がますますスピーディーで正確になりました。患者さんも、こちら側がカルテを読んでこれまでの病歴や経過、現在の状況を把握したうえで対応していることが分かると、大変安心されます」

ITによる効率化を推進し、より患者に寄り添った医療を実現

 同医療法人では、医療業界の都合に患者が合わせるのではなく、患者に寄り添った医療を提供することを理念にしている。「カイクラ」を導入したことで、その理想に一歩近づいたともいえるだろう。電話を担当者に回したり、名前を聞き返したり、確認したりする時間や負担が減った分、スタッフはより患者のために心をくだき、時間を費やすことができる。

 「医療業界はまだまだ効率の悪いところが沢山あります。民間企業よりあらゆる面で10年以上も遅れているでしょう。そこをIT の力を使って効率化すれば、余った時間を患者さんのために使えるようになります。そのためにも、シンカさんのような会社の力を積極的に借りたいと思っています」

 そう小畑氏が語るように、同医療法人はITによる医療現場の効率化に積極的だ。すでにクリニック内での連絡にはほとんど電話を使わず、コミュニケーションツール「Slack」で行っているという。またカイクラが新たに始めた、録音した通話内容をAIが解析してテキスト化するサービスにも関心を寄せている。現在、担当者が手作業で行っている電話対応記録の入力を自動化でき、トラブル等に備えた履歴も残せるからだ。
 「もし将来的に、電話対応や往診の記録を自動的にテキストで残せるようになれば、そのデータを蓄積することで様々な知見が得られます。患者さんからはどういう訴えが多いのか。同じような訴えの内、発熱が何割で、実際に往診に行ったら、そのうち何割が肺炎で、何割が尿路感染症だったのか。そんなデータが得られれば、より効率的で効果的な医療に活かせるでしょう」

 今後、在宅医療が広がり、同医療法人の規模が拡大していけば、様々な機能をもつ「カイクラ」の導入効果は、ますます発揮されることだろう。

在宅医療の新しい仕組みをつくり、当たり前のインフラとして整備したい

 実は小畑氏が「カイクラ」の導入を決めた理由の1つに、シンカの担当者から当時「まだ医療機関での導入実績はない」と言われたこともあったという。「社会に必要とされながら、まだ広く普及していない在宅医療をインフラとして整備させていきたい」との思いをもつ小畑氏は、「我々も開業したばかりだったので、シンカさんとこれからの医療の新しい仕組みを一緒に創っていきたい」と考えたのだという。そんな小畑氏に、今後の抱負を伺った。

 「これからますます高齢化が進み、年間に20万人も死亡者が増えていくと予想されていますが、政策的に病院のベッド数が増えることはありません。病院が受け入れられない人たちを、どこが受け入れるかはこれからの社会の大きな課題です。私たちは在宅医療を当たり前のものにし、誰もが家にいながら高度な医療が受けられるインフラを整備したいと思っています。そして誰もが安心して暮らせ、決して取り残されない社会をつくる。それが私たちの願いです」