2025年4月に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されました。要件を満たすと奨励金・補助金が支給されるため、カスハラ対策に力を入れる良い機会です。
とはいえ「そもそも奨励金の概要がよくわからない」「奨励金をもらうためには何をしたらいいのか知りたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」の奨励金・補助金を受け取る方法や金額、具体的なカスハラ対策を解説します。奨励金・補助金の受給を検討している方の参考になれば幸いです。
カスハラに備えるためには、カスハラとクレームの違いを知り、どのような対策があるのか押さえておくことも欠かせません。
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東京都カスタマーハラスメント防止条例の奨励金・補助金は3つ
令和7年(2025年)4月1日に施行された「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」にともない、カスハラ対策を実践している企業や団体に対して、奨励金・補助金が支給されます。
「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」の奨励金・補助金は、以下の3種類です。
- 企業向け奨励金
- 団体向け奨励金
- 団体向け補助金
それぞれの金額や支給要件をみていきましょう。
1.企業向け奨励金
「企業向け奨励金」では、2025年4月1日以降、実践的なカスハラ防止対策をおこなった企業(従業員規模300人以下の中小企業)に対して、定額40万円を支給します。
執筆時点で公表されている「企業向け奨励金」の支給要件は、下記のとおりです(2025年5月時点)。
- カスハラ防止対策マニュアルを作成する
- 以下のいずれか1つを実施する
- 録音・録画環境の整備
- AIを活用したシステムなどの導入
- 外部人材の活用
参考:TOKYOはたらくネット「とうきょうの労働1432号」
マニュアルの内容やAIを活用したシステムなどの詳細はまだ公開されていません。募集開始予定は2025年6月となっていますので、詳しくは「TOKYOはたらくネット」をご覧ください。
2.団体向け奨励金
「団体向け奨励金」では、会員企業とその従業員向けに、カスハラ防止対策の体制を整備した場合に、最大100万円を支給します。
「企業向け奨励金」と同じく、支給要件の詳細は2025年5月時点では公開されていませんが、概要は下記のとおりです。
支給要件 | 金額 |
---|---|
企業向けカスハラ対策方針の策定・周知 | 20万円 |
カスハラ防止対策のサポート窓口の設置 | 40万円 |
カスハラ対策研修の実施 | 20万円 |
外部人材等活用によるカスハラ対策の実施 | 20万円 |
参考:TOKYOはたらくネット「とうきょうの労働1432号」
募集開始予定は2025年6月となっています。最新情報は「TOKYOはたらくネット」をご覧ください。
3.団体向け補助金
「団体向け補助金」では、東京都と連携してカスハラ防止対策と条例の普及に取り組む団体に対して、経費の補助をおこないます。補助対象団体は、審査会によって決定されます。
補助限度額は、1団体あたり5,000万円・補助率は2分の1です。申請書類の提出期間は2025年4月30日~7月31日となっていますので、遅れないように提出しましょう。
参考:TOKYOはたらくネット「とうきょうの労働1432号」
詳しくは都庁総合ホームページ「団体連携によるカスタマーハラスメント防止条例普及促進事業補助金のご案内」をご覧ください。
ここまで「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」の奨励金・補助金を解説してきました。奨励金・補助金を受給するためには、カスハラ対策の実施が必須です。
次からは、企業が講じるべきカスハラ対策を具体的にみていきましょう。
従業員を守る!カスハラ対策4つ
従業員を守るためのカスハラ対策としては、下記の4つが有効です。
- カスハラ対策マニュアルを作成する
- AIを活用したシステムなどを導入する
- 外部人材を活用する
- 録音・録画環境を整備する
それぞれのポイントや具体例をみていきましょう。
1.カスハラ対策マニュアルを作成する
カスハラ対策マニュアルの作成は、「企業向け奨励金」の支給要件として必須です。
「企業向け奨励金」の支給要件の詳細はまだ公開されていませんが、カスハラ対策マニュアルに盛り込む内容としては、下記が望ましいと考えられます。
- 基本的な方針や姿勢
- 相談・報告先
- 現場での初期対応
厚生労働省が「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公開しているため、自社で作成する際のベースにするのがおすすめです。
参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」
とはいえ、厚生労働省のマニュアルは主に飲食業界・小売業界を想定しているため、自社で活用するにはアレンジが必要です。
シンカでは、企業が講じるべきカスハラ対策や、カスハラ対策のフロー例を解説した資料を無料で配布しています。自社に適した内容にアレンジする際のヒントになりますので、気になる方は下記よりダウンロードのうえご覧ください。
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2.AIを活用したシステムなどを導入する
「企業向け奨励金」では、AIを活用したシステムなどの導入が支給要件となっています。
具体的な例はまだ公開されていませんが、以下のようなシステムが考えられます。
- AIチャットボット:感情分析機能により顧客などの言葉遣いを解析する
- AI音声認識システム:通話中の暴言や威圧的な言動を検知する
- ロールプレイングAIシステム:AIアバターがカスハラを実演し、対応をシミュレーションする
AIシステムの導入を検討する際は、自社の業種や業務形態に適しているか確認しましょう。
3.外部人材を活用する
外部人材を活用することも「企業向け奨励金」の支給要件の1つです。
AIシステムと同じく、支給要件の詳細はまだ公開されていませんが、下記のような人材の活用が想定されます。
- カスハラに詳しいコンサルタント
- カスハラに詳しい弁護士
- クレーム対応やコンプライアンスに詳しい講師
- メンタルヘルスケアの専門家(臨床心理士・産業カウンセラーなど)
このような外部人材を活用できれば、従業員に対して、カスハラに対応するスキルや知識を提供できます。
4.録音・録画環境を整備する
カスハラ対策には、録音・録画ができる環境の整備が有効です。録音・録画環境の整備は「企業向け奨励金」の支給要件の1つでもあり、カスハラに対して以下の効果が期待できます。
- 暴言・理不尽な要求の抑止
- クレーム・法的対応時の証拠の確保
録音・録画によって「自分の発言・行動は記録に残る」と思うと、行動にブレーキがかかりやすいです。
さらに録音や録画による証拠を確保できれば、クレーム対応時に「言った・言わない」の水掛け論を防止できます。
このような録音・録画環境を整備する際には、ボディカメラや監視カメラなどが役立ちます。
電話でのカスハラ対策として録音環境を整備する場合は、自動通話録音機能を備えた「カイクラ」がおすすめです。次からは、80%以上のクレームを削減できた実績をもつ「カイクラ」を紹介します。
「カイクラ」は電話でのカスハラ対策に有効
コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」が、電話でのカスハラ対策に有効な理由は、主に2つあります。
- 通話録音
- 受電時の顧客情報ポップアップ
自動的に通話が録音できるので、聞き漏らしの不安がなく、あとから何度でも確認が可能です。カスハラに法的措置が必要になった際も、音声データが証拠として残ります。また従業員に「カスハラを受けたときに証拠が残る」という安心感を与えられます。
さらに受電時には、あらかじめ登録した顧客情報がポップアップされるため、過去のやり取りを踏まえた対応ができ、トラブルが大きくなる事態を防ぎやすいです。何度もカスハラをしてくる顧客に対して、最初から上司が対応することもできます。
カスハラ対策に有効な「カイクラ」の詳細は、下記から確認できますので、気になる方はチェックしてみてください。
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次からは「カイクラ」を実際にクレーム対応に役立てている企業の事例を紹介します。
1.株式会社湘南らいふ管理様
株式会社湘南らいふ管理様は「カイクラ」の導入で80%以上のクレーム対応時間を削減できています。
『通話録音』は、クレーム防止と対処の両面から役立っていますね。たまたまクレームの電話が入ったとしても、録音されていた内容を聞きかえし、『いついつにこういう話をしていましたよね』と対応ができるので、クレームの悪化を未然に防ぐことができます
クレームにつながった音声データを振り返り、話し方や対応の改善点を指摘することで、社内教育にも役立てているとのことです。
株式会社湘南らいふ管理様の事例の詳しい内容は、下記をご覧ください。
参考:株式会社湘南らいふ管理様
2.茨城ダイハツ販売株式会社様
茨城ダイハツ販売株式会社様も「カイクラ」の通話録音をクレーム対策に役立てています。
以前は連続して電話業務が発生すると、メモを十分に取れなかったり、内容を整理できなかったりしていました。「カイクラ」を導入してからは、通話録音機能によって内容を振り返ることができ、クレーム対応時も状況把握が正確にできているといいます。
具体的には、お電話の内容や用件については後から振り返ってもだいたい思い出せるケースが多いのですが、お客様の現乗車両など具体的な情報も会話の履歴を確認すればすぐに把握できるので役立っています。その他、言った言わないなどの誤解が生じたりすることを防ぐことができますし、万が一クレームが発生してしまった場合でも録音を確認することで事実関係や状況を明確にできるので、その後の対応も迅速にできるようになりました。
正確に状況把握ができていることによって、顧客への説明の説得力が増し、信頼度を高められています。
茨城ダイハツ販売株式会社様の事例の詳しい内容は、下記からご覧ください。
押さえておきたい!カスハラ奨励金のよくある質問3つ
ここからは、カスハラの奨励金に関してよくある質問に回答します。
- 東京都のカスハラ条例とは?
- カスハラ対策の奨励金は東京都で支給される?
- カスハラ対策の奨励金はいくら?
1.東京都のカスハラ条例とは?
正式名称は「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」であり、2025年4月に施行されました。
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例には以下のようにと明記されており、カスハラを禁止しています。
第四条 何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない。
事業者はカスハラ防止の対策を積極的におこなうことが求められており、必要な措置としてカスハラ防止の手引の作成や、被害に遭った従業員への配慮などが記載されています。
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例の本文は、下記からご覧ください。
2.カスハラ対策の奨励金は東京都で支給される?
東京都では、支給要件を満たしている中小企業や団体などに対して、カスハラ対策の奨励金が支給されます。
2025年5月時点で、支給要件の詳細は公開されていません。最新情報は「TOKYOはたらくネット」をご覧ください。
3.カスハラ対策の奨励金はいくら?
カスハラ対策の奨励金で支給される金額は、下記のとおりです。
種類 | 金額 |
---|---|
企業向け奨励金 | 定額40万円 |
団体向け奨励金 | 最大100万円 |
団体向け補助金 | 最大5,000万円(補助率は2分の1) |
詳しくはTOKYOはたらくネット「とうきょうの労働1432号」をご覧ください。
まとめ:東京都のカスハラ奨励金を受給するには対策が必要
東京都が施行した「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」にともなう奨励金を受給するためには、支給要件が満たせるようにカスハラ対策をおこなう必要があります。2025年5月時点で詳細はまだ公開されていませんが、カスハラ対策マニュアルの策定や、録音・録画環境の整備などが支給要件です。
従業員を確実に守るためには、支給要件を満たすだけではなく、企業としてカスハラ対策に取り組みましょう。
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カスハラ対策には労務・総務だけではなく、被害を受けた従業員の上長や、相談窓口など、多くの従業員の協力が必要です。一部の部署のみがカスハラ対策に取り組んでいては、トラブルが発生したときに対応がスムーズに進みません。
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効果的なカスハラ対策をおこないたい方は、ぜひお手元でご活用ください。
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