企業と従業員を困らせる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」。悩ましい問題ですが、昨今、AIを活用した顧客対応が注目されています。
株式会社PRIZMAの実態調査によると、AIチャットボットで業務工数を削減できた企業は全体の約6割にのぼりました。また、未使用企業のうち約半数が1、2年以内に導入を検討しているそうです。
このようなAIをカスハラ対策に活かす場合、どのような手段があるのでしょうか?今回は、顧客対応におけるAI活用法を解説します。
カスタマーサクセス領域における業務改善のプロフェッショナル。株式会社シンカのマネージャーとして、3000社以上の「カイクラ」導入企業を支援するチームを統括。担当業務の多様化・複雑化に伴う「タスクの抜け漏れ」や「業務の属人化」といった、多くの企業が抱える課題に対し、ITツールを活用した業務プロセスの抜本的な再構築を主導。現場の課題解決から事業成長までを幅広く支援する、電話コミュニケーションDXのプロ。
電話でのカスハラ対応を効果的におこなうには、状況確認を効率化し、迅速かつ適切に処理することが重要です。コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」は、顧客とのやりとりを一元的に管理し、AIの力を借りて状況確認をサポートします。
AIの活用で電話対応での従業員の負担を減らし、顧客対応の品質向上を目指したい方は、以下より詳細をご覧ください。
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企業と従業員を困らせるカスハラ
カスハラとは、顧客からの過剰で不合理な要求や暴言、威圧的な態度のことを指します。SNSに企業を侮辱する偏った発言を投稿したり、特定の従業員の実名を投稿したりすることもカスハラに含まれます。
その結果、従業員が心身の健康を損ない、離職してしまうことも少なくありません。カスハラ問題で企業イメージが損なわれ、社内の被害者からは安全配慮義務違反などを問われ、訴訟に発展するリスクもあります。
このようなカスハラ問題の予防策として、顧客対応マニュアルの整備と研修などを実施し、従業員一人ひとりの対応力を高めることが先決です。
しかし実際のところ、多様な顧客ニーズにマニュアルと教育のみで応えていくには限界があります。そこで注目されているのがAI技術の活用です。
カスハラ対策に有効!AIにできること6つ
AIを活用してカスハラ対策を支援するには、どのような方法があるのでしょうか?
ここでは、顧客対応においてAIにできることを6つ紹介します。
- 通話のテキスト化と自動要約
- 通話の内容解析
- 問い合わせ対応支援
- 顧客の属性分類
- LLMを活用したAI接客
- 従業員へのトレーニング
それぞれを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
1.通話のテキスト化と自動要約
1つ目は、AIが顧客と従業員の通話をテキスト化し、その内容を要約することです。これはトラブルが発生した際、初期対応をスムーズにします。
クレームがこじれてカスハラ行為に発展した場合でも、テキスト化された通話内容と要約文があれば状況を素早く把握し、速やかに対応できるからです。
たとえばコミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」は、AIが通話内容を自動で文字に起こし、内容をまとめてくれます。担当者は、システムからそのデータを検索するだけで、必要な情報にたどり着けます。
従来のように、録音された通話内容を聞き直して確認する必要はありません。またAIは相手の発話を分析し、カスハラ判断に役立つ「感情フラグ」を立ててくれます。これは電話の緊急度を把握し、迅速かつ適切な対応をおこなうための指標にもなります。
カイクラにはAI以外にもカスハラ対策をサポートする機能が満載です。詳しくは以下よりご覧ください。
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2.通話の内容解析
2つ目は、AIが自然言語処理(NLP)で音声を認識し、高い精度で通話内容を解析することです。この技術は、顧客との対話からカスハラか否かを判断する際に役立ちます。
たとえば攻撃的な発話やトーン、NGワードを検知し、注意が必要な通話に関してはアラートを発するように設定できます。カスハラ電話にあたる場合、上長などに自動で報告が可能です。
なお、この音声認識技術を発展させたシステムとして、トランス・コスモス株式会社の「transpeech」があります。コンタクトセンター向けのシステムとして、従業員の顧客対応そのものを幅広く支援することが可能です。
3.問い合わせ対応支援
3つ目は、AIが人による問い合わせも全面的に支援できることです。自ら考えて回答を生み出すAIエージェントを活用すれば、状況にあった対応を提案してくれます。
たとえば、顧客からの難しい質問や答えにくい問い合わせでも、相手を待たせずに回答することが可能です。人であれば電話を保留したりかけ直したりして判断に時間がかかる内容でも、AIなら迅速に処理できるため、顧客を長く待たせずに済むからです。
問い合わせ対応を全面支援するAIエージェントとして、カラクリ株式会社の「KARAKURI assist」があります。状況別の定型的な回答も、検討が必要な回答も時短でサポートしてもらえます。
参考:オペレーター支援AIエージェント「KARAKURI assist」
4.顧客の属性分類
4つ目は、AIが顧客の属性を分類できることです。対話から顧客の声(VOC:Voice of Customers)を収集・分析し、その結果から顧客を属性ごとに分けます。
たとえば、暴言や理不尽な発言をする顧客とのやりとりを分析し、とるべき対処法の見直しを提案してくれます。また分類した特定層に向け、マーケティングの施策を打つことも可能です。
顧客の属性分類ができるシステムとして、株式会社プラスアルファ・コンサルティング「見える化エンジン」があります。
クレームやカスハラ対応に特化したシステムではありませんが、電話やSNS、メールなどで顧客の心理や本音に関わるインサイトを深く分析し、グラフやマップなどで可視化してくれます。
5. LLMを活用したAI接客
5つ目は、LLM技術(Large Language Models:大規模言語モデル)を活用し、AI接客ができることです。LLMとは自然言語処理に特化した生成AIのことで、人の代わりにAIが顧客とやりとりをします。
AI接客は膨大なテキストデータと高度なディープラーニング技術から、人が対応しているかのような自然な会話が可能です。またAIには感情がないため、カスハラ顧客を相手にしても慌ててミスを犯すこともありません。
AI接客システムの実例として、ビーモーション株式会社の「接客オンデマンドAI」があります。対話型の生成AIで自然なやりとりができるため、顧客対応を自動化することが可能です。
6. 従業員へのトレーニング
6つ目は、AIが人材に向けて顧客対応トレーニングを実施できることです。こちらもLLM技術を活用したもので、実際のカスハラに近い状況を設定し、顧客役のAIと会話をしながら対応トレーニングができます。
実例として、株式会社インタラクティブソリューションズの「iRolePlay(アイロールプレイ)」があります。このツールを活用すると、従業員はすき間時間などでもAIを相手にカスハラ対応の練習が可能です。
カスハラ対応研修を社内でおこなう場合、プログラムの選定から講師の採用、実施日の設定が必要になりますが、AIであればこれらの調整が不要です。AIを導入するコストは必要ですが、従業員に継続的なトレーニングを受けてもらう有効な手段といえるでしょう。
AIの技術は日々進歩しているため、今後はさらにできることが増えていくことが考えられます。では、AIの活用は顧客対応においてどのようなメリットがあるのでしょうか?次にみてみましょう。
カスハラ化防止にも!顧客対応にAIを活用するメリット
顧客対応にAIを活用すると、以下のメリットが期待できます。
- 従業員の精神的負担を和らげられる
- カスハラ電話を適切に処理できる
- 顧客対応教育の人的コストを節約できる
- 自動録音・テキストデータが証拠になる
まず、AIはカスハラと判断した通話を電話スキルの高い上長に振り分けたり、対応フローを提示したりして適切に処理するため、従業員が受けるはずのストレスを抑えられます。
また、社員教育面でもAIの活用が有効です。顧客対応教育には講師の採用やマニュアル作成にコストがかかるものですが、AIを活用すれば現場に即した研修内容を生成して実施できます。その結果、研修で発生する人的コストを抑えられます。
もちろん、AIで自動録音された通話データは顧客との認識の食い違いを正す材料にもなり、不当なクレームから従業員を守る法的根拠としても有用です。
顧客対応でAIを取り入れる際に忘れてはならないこと
前述のとおり、顧客対応にAIを活用するメリットは多くありますが、注意すべきこともあります。
- AIには感情がない
- AIは事実と異なる回答をすることがある(ハルシネーション)
- AIには常識が通じないことがある
まず、AIそのものには感情がなく、人のように顧客との関係性を考慮した柔軟な対応が難しいです。AIのキャラクターや言葉遣いなどを、細かく設定しなければなりません。またAIは事実と異なる回答を生成する「ハルシネーション」を起こすこともあります。
これらの点をふまえ、顧客対応でAIが対応を提案してくれた場合でも、最終的な判断は人が下すのが安全です。
また、情報セキュリティへの配慮も欠かせません。人間が当たり前と認識していることでも、AIにはその常識が備わっていない可能性があります。そこで、個人情報などの扱いに関しては、データの保存方法や利用範囲を明確にしておくことが大切です。
AIも活用!電話対応の負担を減らすツールとは
前章ではAI活用の注意点をみてきましたが、電話対応でAIを効果的に利用するにはどうすればよいのでしょうか?まずは、顧客対応に直接AIを使うのではなく、通話内容の文字起こしなどを社内で活用するのがおすすめです。
具体的には、万が一に備えてAIに通話内容を文字起こしさせ、確認の効率を上げるために要約させることが役立ちます。カスハラ発生時に通話内容を即座に確認し、そのデータを客観的な証拠として使えば、事態を収拾しやすくなるからです。
カイクラの場合、全通話を自動で録音し、AIによる文字起こしと要約機能もあります。相手の発話を分析し、感情ラベリングでカスハラ電話を判定することも可能です。
加えて、カイクラは以下の機能で顧客情報とやりとりの履歴を一目で把握できます。
- 通話時のポップアップ表示:顧客情報の確認がスムーズ
- メモ機能:前任者からの伝言確認がスムーズ
これらのことから、社内のガイドラインに従った顧客対応がしやすくなります。顧客対応の効率化と品質向上を目指したい方は、ぜひこちらから詳細をご覧ください。
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まとめ:カスハラ対策にAIを取り入れよう!
カスハラ電話は、顧客対応のなかでもとくに難易度の高い事案です。しかし、AIに情報検索や対応支援を任せることで、適切に対処しやすくなります。カスハラはもちろん、電話業務全般に課題をお持ちの方はAI活用を検討してみてはいかがでしょうか?
一方で、AIには優秀な処理能力と判断能力があるものの、人のように感情がありません。顧客の潜在ニーズを理解しながら柔軟な顧客対応を目指したい方は、人とAIが協働し、質の高い顧客対応を目指せるツールの導入がおすすめです。
詳細が気になる方は、こちらからカイクラの機能をご確認ください。
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