コールセンターのKPI一覧|18種類の計算式と改善方法を解説

コールセンターの効率的な運用には、中間指標であるKPIを設定し、計測や改善を繰り返すことが欠かせません。一方で、コールセンターで用いられるKPIは種類が多いため、「自社の課題に合ったKPIがわからない」と悩む方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、コールセンターで使われるKPIを18個挙げ、計算式や改善方法を解説しました。コールセンターで使われるKPIを目的別に紹介しますので、参考になれば幸いです。

コールセンターの生産性を向上させたい場合は、現状の正確な分析も必要です。コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」には、曜日、時間帯別の電話量をグラフで確認できる分析レポートや自動録音機能が搭載されているため、オペレーターの稼働状況や電話対応品質をチェックできます。

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目次

コールセンターにおけるKPIとは

コールセンターにおける具体的なKPIをチェックする前に、KPIの意味を改めて理解しておきましょう。

KPIとは「Key Performance Indicator」の略であり、最終的な目標(KGI)を達成する過程の評価・中間指標を指します。ゴールまでの道筋をKPIとして具体化することで、目標達成の確率を上げる効果があります。

たとえばコールセンターで「顧客満足度の向上」を最終目標とする場合は、「応答率」や「一時解決率」を改善していくイメージです。

コールセンターで押さえたい!18のKPI一覧表

コールセンターで押さえたいKPIとして、18個の指標を以下の一覧表にまとめました。

分類 名称
応答品質 応答率
放棄呼率
サービスレベル(SL)
一次解決率(FCR)
エスカレーション率
生産性 コール・パー・アワー(CPH)
稼働率
占有率
平均処理時間(AHT)
平均通話時間(ATT)
平均後処理時間(ACW)
収益性 コスト・パー・コール(CPC)
成約率
解約阻止率
解約率
アップセル・クロスセル率
マネジメント 欠勤率
離職率

自社のコールセンターで使う指標として適切なものを選ぶために、それぞれの意味や計算式をみていきましょう。

コールセンターの品質を測る5つのKPI

コールセンターの品質を測るKPIは、以下の5つです。

  1. 応答率
  2. 放棄呼率
  3. サービスレベル(SL)
  4. 一次解決率(FCR)
  5. エスカレーション率

改善方法や具体的な目標の数値も紹介しますので、参考にしてみてください。

【KPI.1】応答率

応答率とは、コールセンターへのすべての入電数に対して対応できたコール数の割合で、つながりやすさの指標になります。

「応答率が低い」コールセンターは「つながりにくい」といえるので、顧客満足度にも影響する恐れがあります。

応答率を改善する方法は、下記のとおりです。

  • オペレーターを増やす
  • トークスクリプトを見直して通話時間を短縮する
  • 管理システムを導入して業務スピードを上げる
  • 顧客が電話しなくても解決できる環境を整備する(FAQやチャットボットなど)

とくにオペレーターの負担を軽減できる管理システムを導入すると、業務スピードが上がるため対応時間が短くなり、結果として応答率の向上が期待できます。

コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」は、受電時に顧客情報や対応履歴がわかるので、内容確認の時間を削減できるシステムです。通話時間を短縮し、1人あたりがより多くの電話に対応できるようになった事例が多くあります。

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計算式 応答率(%)=対応件数÷受電件数×100
使用する業務 インバウンド

【KPI.2】放棄呼率

放棄呼率とは、オペレーターが対応できなかった受電の割合です。

放棄呼率が高い場合に考えられるのは、オペレーター不足や対応時間が長いことです。放置すると新規顧客を取り逃がす恐れがあります。

放棄呼率は応答率と表裏一体であるため、応答率が改善されれば、放棄呼率も下がります。

計算式 放棄呼率(%)=放棄呼数÷受電件数×10
使用する業務 インバウンド

【KPI.3】サービスレベル(SL)

サービスレベル(SL)とは、目標時間以内に対応できた受電の割合です。

「受電から20秒以内に顧客に応答する」という目標があった場合、応答までに30秒かかった対応は、サービスレベルにカウントされません。

多くの企業では、サービスレベルの目標として「20秒以内に80%以上の電話に対応すること」を掲げています。サービスレベルを向上させるには、後述する「平均処理時間」「平均後処理時間」の改善が有効です。

計算式 サービスレベル(%)=設定した時間内の応答件数÷受電件数×100
使用する業務 インバウンド

【KPI.4】一次解決率(FCR)

一次解決率(FCR)とは、顧客からの問い合わせが1回目の受電で解決した割合を示します。なお、折り返しの連絡や別部署へ転送が必要になった場合は、「一次解決」には該当しません。

一次解決率が低いコールセンターでは、顧客が何度もかけ直したり、部署をたらい回しにされたりする状態が多いので、顧客満足度の低下につながります。

参考までに、「鹿児島市総合案内コールセンター」が公開している一次解決率は94.3%です(2024年4月)。

計算式 一次解決率(%)=1回の問い合わせで解決した件数÷受電件数×100
使用する業務 インバウンド

【KPI.5】エスカレーション率

エスカレーション率とは、オペレーターが対応しきれなかった問い合わせを、上長や他部署に相談・引き継いだ割合を示します。

エスカレーションが多いと顧客を待たせる時間が長くなるため、可能な限り削減したいところです。エスカレーション率を下げるには、オペレーターの研修を手厚くしたり、FAQをより使いやすく整備したりするなどの方法が挙げられます。

計算式 エスカレーション率(%)=エスカレーションした件数÷対応件数×100
使用する業務 インバウンド

コールセンターの生産性を測る6つのKPI

コールセンターの生産性を測るKPIとして、以下の6つを紹介します。

  1. コール・パー・アワー(CPH)
  2. 稼働率
  3. 占有率
  4. 平均処理時間(AHT)
  5. 平均通話時間(ATT)
  6. 平均後処理時間(ACW)

コールセンター運用にかかるコストを分析する指標として有効なので、それぞれの意味や改善方法をみていきましょう。

【KPI.1】コール・パー・アワー(CPH)

コール・パー・アワー(CPH)とは、オペレーターが1時間当たりに対応できた件数を指します。

コール・パー・アワーの数字が大きいコールセンターは、効率的な運用ができているといえます。

とはいえ、迅速な対応ばかり求めすぎると、顧客に寄り添った丁寧な対応がおろそかになりかねません。コール・パー・アワーの目安は、問い合わせの内容によって変わるからです。簡易的な内容なら6件前後も可能ですが、動作検証や調査が必要だと1〜2件のこともあります。

この数字単体でコールセンターの評価を決めるのではなく、これまでの実働を調べて定めることが大切です。後述する「平均通話時間」「平均後処理時間」も踏まえて、実態を分析しましょう。

計算式 コール・パー・アワー(CPH)=1日の対応件数÷稼働時間
使用する業務 インバウンド・アウトバウンド

【KPI.2】稼働率

稼働率とは、オペレーターが勤務している時間内にどれだけ実務をおこなっているか把握するための指標です。

適正な稼働率を維持すると、業務効率化や生産性・顧客満足度の向上が期待できます。一方で、過度に高い稼働率はオペレーターに負担をかけ、サービス品質を低下させるリスクもあります。

国内のコールセンターにおける稼働率は、80~85%が適正値とされるケースが多いです。

計算式 稼働率(%)=(対応時間 + 保留時間 + 後処理時間 + 待機時間)÷ 労働時間 ×100
使用する業務 インバウンド・アウトバウンド

【KPI.3】占有率

占有率とは、オペレーターが稼働している時間の中で、実際に顧客対応をした時間の割合です。稼働率との違いは、待機時間を計算式に入れるかどうかです。

  • 待機時間も含める→稼働率
  • 待機時間は含めない→占有率

占有率が低いものの稼働率は高いケースは、オペレーターが顧客対応業務にあたっているなかで、待機時間が長くなっているとわかります。

一方で占有率が高すぎると、オペレーターが多忙である状況を示しているため、偏らず適正値を保つことが重要です。オペレーターのシフトが入電のタイミングに合っているかチェックすると、占有率の改善につながります。

計算式 占有率(%)=(通話時間+保留時間+後処理時間)÷(通話時間+保留時間+後処理時間+待機時間)×100
使用する業務 インバウンド・アウトバウンド

【KPI.4】平均処理時間(AHT)

平均処理時間(AHT)とは、電話1件あたりの顧客対応にかかった処理時間の平均値です。なお、処理時間とは、通話時間と後処理時間の合計です。

平均処理時間の短いオペレーターが多いコールセンターでは、より多くの電話に対応できます。たとえば平均処理時間が15分のオペレーターは、1時間で4本の電話に対応できます。

計算式 占有率(%)=(通話時間+保留時間+後処理時間)÷(通話時間+保留時間+後処理時間+待機時間)×100
使用する業務 インバウンド・アウトバウンド

【KPI.5】平均通話時間(ATT)

平均通話時間(ATT)とは、オペレーターが1回の顧客に対応する時間の平均値です。

似た指標である平均処理時間(AHT)では、通話以外の後処理も含めますが、平均通話時間(ATT)は純粋な通話時間のみで計算します。

通話時間が短くなれば対応できる件数が増えるため、人件費を削減したいときにも重視したい項目です。

計算式 平均通話時間(ATT)=総通話時間÷総対応件数
使用する業務 インバウンド・アウトバウンド

【KPI.6】平均後処理時間(ACW)

平均後処理時間(ACW)とは、顧客対応における後処理に要した時間の平均値です。後処理とは、電話が終わった後に履歴を残したり、関係者や担当者に引き継ぎするための時間を指します。

コールセンター業務の効率化によって、平均後処理時間は削減が可能です。業務フローが複雑な場合は見直し、不要な手続きを削ってシンプルにしましょう。

計算式 平均後処理時間(ACW)=後処理時間の合計÷対応件数
使用する業務 インバウンド・アウトバウンド

コールセンターの収益性を測る5つのKPI

コールセンターの収益性を測るKPIとして、以下の5つを紹介します。

  1. コスト・パー・コール(CPC)
  2. 成約率
  3. 解約阻止率
  4. 解約率
  5. アップセル・クロスセル率

コールセンターの運用を通して売上向上につなげたい方は、ぜひチェックしてみてください。

【KPI.1】コスト・パー・コール(CPC)

コスト・パー・コール(CPC)とは、1コールあたりの費用を表す指標で、経営指標として最も重要視されるKPIの1つです。

コールセンターのCPCは家賃や人件費にも左右されるため、センター内の運営努力だけではなく、センター本社の影響も受ける場合があります。増減した場合は、理由を見極めて評価しましょう。

計算式 コスト・パー・コール(CPC)=コール件数÷ コールセンター全経費
使用する業務 インバウンド・アウトバウンド

【KPI.2】成約率

成約率とは、オペレーターが顧客に架電した件数のうち、承諾・成約に至った件数の割合です。

成約率を上げるには、オペレーターのスキル向上のほか、コンタクト率(顧客への架電でつながった確率)を上げることも欠かせません。電話が比較的つながりやすい時間帯である平日のお昼ごろ・夕方などを狙い、顧客とコンタクトできる回数を上げましょう。

計算式 成約率(%)=承諾の件数÷コール数×100
使用する業務 アウトバウンド

【KPI.3】解約阻止率

解約阻止率とは、顧客から解約希望があった際に、どの程度阻止できたか表す割合です。

サービスの解約を阻止し、企業のリピーターになってもらえば、売上の維持・向上につながります。ただし、顧客の解約希望を拒否するだけではなく、意向に寄り添ったうえでの提案が求められます。

解約希望の理由を丁寧にヒアリングし、代替サービスを提案したり、解約のデメリットを伝えたりして、顧客の継続利用を促しましょう。

計算式 解約阻止率(%)=解約を阻止できた件数 ÷ 一定期間中の解約申出総数×100
使用する業務 インバウンド

【KPI.4】解約率

解約率とは、会員からの退会(退会率)や、離脱した顧客の割合(顧客離脱率)です。

新規顧客の獲得より、既存顧客との関係を維持するほうがコストを抑えられるため、解約率を下げる取り組みは売上に直結します。そのため、オペレーターは解約理由をヒアリングし、顧客の反応の分析・サービス品質向上につなげましょう。

オペレーターは解約希望を受け入れるだけではなく、顧客の本音を引き出すことも必要です。顧客の解約希望に隠されたサービスの課題に気づけるように、トークスクリプトを改善しましょう。

計算式 解約率(%)=一定期間中に失った顧客数÷当初の顧客数×100
使用する業務 インバウンド

【KPI.5】アップセル・クロスセル率

コールセンターが企業の売上向上に寄与しているか測る指標として、「アップセル率」「クロスセル率」があります。

まず「アップセル率」とは、顧客が希望する商品より、単価の高い商品やサービスを提案し、売上アップにつなげた数値です。上位モデルへの乗り換えやまとめ買い・定期コースへの案内などがアップセルにあたります。

アップセルは売上単価を向上させる一方で、顧客に押し売りと思われてしまうリスクがあります。顧客の課題を丁寧にヒアリングし、適切なタイミングで提案しましょう。

次に「クロスセル率」とは、顧客がほしい商品に関連した商品・サービスを追加で提案することで、追加購入につなげた数値です。たとえば、化粧水を購入したい顧客に対し、美容液も紹介するアクションがクロスセルです。

アップセルと同様に、顧客のニーズに合った提案が求められます。オペレーターに商品・サービスの教育をおこない、理解度を深めてもらうと、提案内容の品質が上がります。

計算式 アップセル率(%)=アップセルした顧客数÷すべての顧客数×100

クロスセル率(%)=クロスセルした顧客数÷すべての顧客数×100

使用する業務 インバウンド・アウトバウンド

コールセンターのマネジメントを測る2つのKPI

コールセンターのマネジメントを測るKPIは、以下の2つです。

  1. 欠勤率
  2. 離職率

生産性や収益性の評価も重要ですが、優秀なオペレーターに長く働いてもらうためには、マネジメントの視点も欠かせません。それぞれ詳しくみていきましょう。

【KPI.1】欠勤率

欠勤率とは、オペレーターが勤務日数に対して欠勤した日数の割合です。

欠勤率が高いと、出勤しているオペレーターの負担が増えたり、コールセンターの応答率が低下したりする恐れがあります。

オペレーターが休む理由を面談で聞き出し、職場環境に問題がある場合は改善しましょう。空調やヘッドセットなどのツールも働きやすさに影響を与えるので、何が負担になっているかヒアリングするのがおすすめです。

計算式 欠勤率(%)=欠勤日数÷予定勤務日数×100
使用する業務 インバウンド・アウトバウンド

【KPI.2】離職率

離職率とは、オペレーターが退職した割合を示します。

離職率は、雇用環境や労働条件・待遇などに影響され、企業の働きやすさなどを示す指標の1つとされています。

コールセンターはクレーム対応や騒音などへのストレスが大きく、ほかの業界と比べても離職率が高いです。とはいえ、離職率が高いと人手不足に陥りやすく、対応品質の低下にもつながります。

離職率を下げるには、定期的な面談で相談しやすい環境を作ったり、オペレーターに負担のないノルマを設定したりするなどの対策が挙げられます。

計算方法は企業によって異なりますが、下記の表では厚生労働省が年2回実施している『雇用動向調査』で用いられている計算式を記載しました。

参考:雇用動向調査:調査の結果|厚生労働省

計算式 離職率(%)= 離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100
使用する業務 インバウンド・アウトバウンド

ここまで、コールセンターの運用で評価したいKPIを解説してきました。しかし、KPIを達成するためには、現在の状態を正確に分析する必要があります。

次からは、コールセンターの状態を分析するのに役立つ顧客管理ツール「カイクラ」を紹介します。

コールセンターでKPIを管理・達成させるには顧客管理ツールがおすすめ

コールセンターでKPIを管理・達成するには、データの集計や分析が欠かせません。

コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」では、曜日・時間帯別の電話量をグラフで確認できるので、最適な人員を考える際に活用できます。

CSV形式でのエクスポートも可能なので、KPI管理に必要なデータが簡単に取得・管理できることもメリットです。

加えて、受電時に顧客情報や過去の対応履歴が把握できるので、顧客に対して同じ質問を何度も繰り返さずに済み、対応時間の短縮にもつながります。結果的に、応答率や占有率、コール・パー・アワーなどのKPI改善に貢献します。

コールセンターのKPI管理に効果的な「カイクラ」の詳細は、以下よりご確認ください。

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まとめ:コールセンターのKPIを適切に設定しよう

コールセンターを効率よく運用するには、現状を分析したうえで、適切なKPIを設定する必要があります。品質や生産性・収益性などを測るKPIを設定し、目標達成に向けて改善していきましょう。

コールセンターのKPIを管理するには、現状データの正確な収集・分析が不可欠です。コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」を活用すれば、曜日別・時間帯別に電話量を確認できるので、最適なシフト調整にも役立ちます。

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この記事を書いた人

カイクラ編集部です。カイクラ.magは、株式会社シンカが運営するオウンドメディアです。 「音声を記録し、会話を企業価値に」をモットーに、「会話」に関する様々なテクノロジーや最新情報、企業の業務効率化や社内コミュニケーションの活性化事例など、すべての企業にとってお役に立てる情報を幅広く発信します。

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