2026年(令和8年)に保険業法改正が施行されました。ニュースなどで耳にし、実務にどのような影響が出るのかと考えている方もいるのではないでしょうか。
すでに施行されているため、保険代理店においては、体制整備義務の強化や過度な便宜供与の禁止など、これまでの業務フローを見直さなければなりません。
本記事では、保険業法改正の全体像から実務で求められる具体的な対応手順までをわかりやすく解説します。
また、今後ルールが整備される予定の「比較推奨販売」も、ルールが確定する前に記録の仕組みを整えておくのがおすすめです。記事の後半では、比較推奨販売における「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、確実な証拠保全をおこなうための具体的なシステム構築も紹介します。
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2026年(令和8年)施行の保険業法改正とは?

2026年(令和8年)の保険業法改正は、保険業界における顧客保護とコンプライアンスの徹底を目的とした重要な制度変更です。
保険代理店や保険会社にとって、これまでの業務フローを見直すきっかけとなる大きな転換点といえます。
ここでは、今回の法改正がいつから適用されているのかのスケジュールと、実務に直接的な影響を与える3つの大きな変更点を詳しくみていきましょう。
保険業法改正は2026年6月1日から施行
今回の改正保険業法は、一部の例外を除き2026年(令和8年)6月1日よりすでに施行されています。
本件に関する内閣府令等は、令和8年3月30日付で公布され、同年6月1日から施行されるスケジュールで進められました。詳しい日程や経緯は、金融庁が発表している令和7年保険業法改正に係る内閣府令等の公布及びパブリックコメント結果の公表などの資料で確認できます。
参考:令和7年保険業法改正に係る内閣府令等の公布及びパブリックコメント結果の公表について
すでに法律が施行され、新たな義務が発生している状態です。そのため、各保険代理店は新しいルールに適応した社内体制の整備が強く求められています。
現在も未対応のまま日々の業務をおこなっている場合は、早急に自社の体制を確認し、改善に向けた対応をおこなうことがペナルティやリスクの回避につながります。
2026年の保険業法改正で大きく変わる3つのポイント
今回の改正で実務担当者がとくに押さえておくべき主要なポイントは、以下の3点です。
- 代理店に対する体制整備義務の強化(責任者の設置やルールの厳格化)
- 保険会社側の体制強化(代理店への監視強化)
- 過度な便宜供与など禁止行為の拡大
これらの変更は、金融庁の保険業法の一部を改正する法律案 説明資料などでも示されている通り、業界全体の健全化を促すために実施されました。
わかりやすく言うと、保険会社と代理店の双方に対して、これまでのような曖昧な関係性をなくし、より厳密に業務を管理・記録するように厳しい基準が設けられたことになります。
代理店側はただルールを把握するだけではなく、適法な管理体制を構築し、日々の業務フローのなかで確実な記録保全をおこなうことが欠かせません。
今回の保険業法改正に至った原因や背景
今回の法改正がなぜおこなわれたのか、その背景には過去の法改正から続く金融庁の課題意識と、近年発覚した業界を揺るがす不祥事があります。
ここでは、今回の保険業法改正に至った原因と歴史的な背景を、3つの視点から詳しくみていきましょう。
過去(2016年など)の法改正からの流れ
今回の改正は、過去の規制強化でも防ぎきれなかった不適切な取引を是正するためにおこなわれました。
平成26年(2014年)に改正され、2016年に施行された前回の保険業法では、意向把握義務や情報提供義務が新設されました。これにより、顧客本位の業務運営が強く求められるようになり、業界全体で意識改革が進むと期待されていました。
しかし、法律が厳格化された後も、一部の代理店や保険会社の間で不適切な取引が散見される状況が続いていたのが実態です。
このような歴史的背景から、金融庁は既存のルールだけでは不十分であると判断し、より踏み込んだ厳しい規制に踏み切りました。
保険金不正請求や保険料調整行為事案の発覚
法改正の直接的な引き金となったのは、世間を大きく騒がせた保険業界の不祥事です。近年、保険業界の信用を失墜させる重大な問題が立て続けに発覚し、社会的な批判を集めました。
具体的には、大手中古車販売会社による保険金の水増しおよび不正請求問題が挙げられます。さらに、企業向け損害保険において、大手損害保険会社間で事前に価格を調整するカルテル問題も明るみに出ました。
これらの事件により、業界内に深く根付いていた不透明な取引や企業間の癒着が浮き彫りとなり、国として抜本的な見直しを迫られる状況になったといえます。
顧客保護と体制強化を目指す金融庁の狙い
一連の問題を受けた金融庁の最大の狙いは、顧客を保護し、健全な保険市場を取り戻すことです。
不正請求やカルテルなどの事案に対し、金融庁は顧客の利益が不当に害されていると重く受け止めました。そのため、まずは保険会社と代理店の間にある不適切な関係性を断ち切ることを重要視しています。
そのうえで、各企業が自浄作用を働かせられるよう、ガバナンスと呼ばれる企業統治を強化するための厳しい基準を設けました。
今回、代理店に対する体制整備義務が強化されたのも、真の意味で顧客を守り、業界全体をクリーンな状態へ立て直す金融庁の強い意志が反映されています。
保険業法改正で代理店に義務化される実務対応と注意点

今回の保険業法改正により、保険代理店はこれまで以上に厳格なコンプライアンス体制の構築が求められます。すでに法律は施行されているため、実務レベルでの速やかな対応が不可欠です。
具体的にどのような業務フローの見直しや準備が必要になるのでしょうか。ここでは、代理店に義務化される実務対応のポイントと、対応が遅れた際のリスクを4つの項目に分けて詳しく解説します。
特定大規模乗合代理店等に対する体制整備義務の強化
一定規模以上の乗合代理店に対しては、これまで以上に厳格な社内体制の整備が義務付けられています。大規模な代理店が市場や顧客に与える影響の大きさを考慮し、より厳密な管理体制が求められるためです。
具体的には、法令等遵守責任者の設置や苦情処理体制の構築に加えて、本業と保険代理業の兼業業務の適切な分離と監視体制の整備などをおこなう必要があります。
また、規模が大きい特定保険募集人に該当する保険代理店は、提出する事業報告書の様式が改正されました。該当する代理店は、金融庁の案内などを確認し、新様式での報告に向けた準備を早急におこなうことが重要です。以下を参考にしてください。
比較推奨販売ルールの見直しと記録体制の再設計
複数の保険商品を扱う乗合代理店では、比較推奨販売のルールを見据えた記録体制の再設計が必要です。顧客に対してなぜその商品を推奨したのかプロセスを、後から客観的に証明できるようにするためです。
たとえば、顧客の意向に沿って提案した事実を正確に残すため、ヒアリング内容の詳細な記録や、CRM(顧客管理システム)との連携などの業務フローの見直しが求められます。
なお、この比較説明や推奨販売に係る規則改正は今回の施行分(令和8年6月1日)には含まれていませんが、今後、監督指針の改正等で対処される予定です。ルールが完全に確定する前から、言った・言わないのトラブルを防ぐための確実な記録体制を整えておくことをおすすめします。
参考:「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)の公表について(保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)関係):金融庁
過度な便宜供与の禁止対象および範囲の拡大
保険契約者などに対する過度な便宜供与の禁止範囲が、これまでよりもさらに拡大されました。不適切な利益供与による歪んだ契約を防ぎ、公平で健全な募集環境を維持するためです。
これまでは特別の利益の提供として一部の行為が禁止されていましたが、改正後は不当な物品購入や役務提供など、より広範な行為が過度な便宜供与として厳しく規制されます。
日々の営業活動のなかで、良かれと思っておこなったサービスが無意識のうちに禁止行為に抵触していないか、社内ルールや営業マニュアルを改めて見直すことが欠かせません。
対応が不十分な場合に発生する罰則やペナルティのリスク
法改正への対応を怠ったり、違反行為が発覚したりした場合、重い行政処分を受けるリスクがあります。コンプライアンス違反は顧客の不利益に直結するため、行政側も厳しく対処する姿勢を示しているからです。
体制整備が不十分とみなされた場合、業務改善命令や業務停止命令が下される可能性があります。さらに悪質なケースや改善がみられない場合は、最悪の事態として代理店の登録取り消しに至る恐れもあります。
法令違反は企業の社会的な信頼を失墜させ、経営上の致命傷になりかねません。だからこそ、最新の情報を把握し、抜け漏れのない実務対応をおこなうことが代理店を守る最善の策となります。
保険業法改正に対応する3つの手順

保険業法改正にスムーズに対応するためには、現状の把握からシステムの導入まで、順序立てて進めることが重要です。
体制整備義務はすでに施行され、義務化されています。そのため、未対応の場合は早急な現状把握が求められます。また、比較推奨販売のルールは、これから詳細が確定する予定ですが、正式な発表を待つのではなく、今のうちから記録を残す仕組みを整えておくのがおすすめです。
ここでは、実務に落とし込むための具体的な3つの手順を解説します。
- 自社が該当する規制範囲や数値基準を把握する
- 庁のパブリックコメントなど公式な一次情報を確認する
- 比較推奨時の言った・言わないを防ぐDXツールを導入する
1つずつみていきましょう。
1.自社が該当する規制範囲や数値基準を把握する
まずおこなうべき手順は、自社が新たな規制対象に該当するかどうかを正確に把握することです。
事業の規模やターゲット層によって、対応すべき業務の重さや内容が大きく変わるためです。
具体的には、従業員の数や手数料収入などの数値基準をもとに、自社が特定大規模乗合代理店などの対象になるのかを確認します。自社の規模と照らし合わせることで、どこまで厳格な体制整備が求められているのかが見えてきます。
必要な対策を過不足なくおこなうためにも、まずは自社の現状と規制範囲を正確に把握することから始めましょう。
2.金融庁のパブリックコメントなど公式な一次情報を確認する
自社の立ち位置を把握したあとは、金融庁が発表する公式文書やパブリックコメント(意見公募)の結果など、正確な一次情報を定期的に確認する体制を作ることが大切です。
法案の詳細は、審議の過程で微修正されることが多々あるためです。
インターネット上の噂や推測に振り回されることなく、正確な情報源にあたる必要があります。具体的には、金融庁が公開している令和7年保険業法改正に係る内閣府令等の公布及びパブリックコメント結果の公表などの資料を参照し、最新の動向を追う担当者を社内で決めておくのが効果的です。また、比較推奨販売の最終的なルールも別途公表される予定となっているため、継続的なチェックが欠かせません。
つねに公式の一次情報を確認し、誤った解釈による対応漏れを防ぎましょう。具体的には、以下のパブリックコメントなどが参考になります。
参考:令和7年保険業法改正に係る内閣府令等の公布及びパブリックコメント結果の公表について
3.比較推奨時の言った・言わないを防ぐDXツールを導入する
情報収集と並行しておこないたいのが、顧客とのやり取りを正確に記録するDXツールの導入です。
今回の法改正の実務において現場の負担となるのが、意向把握と比較推奨の正確な記録だからです。
担当者の手書きメモや個人の記憶に頼るアナログな運用では、どうしても記載の抜け漏れが発生し、顧客との間で言った・言わないのトラブルに発展するリスクを拭えません。そこで、通話録音システムや音声をテキスト化するツールなどを導入し、やり取りが自動的に証拠として保全される仕組みを作ることが重要になります。
人の手によるミスをなくし、確実かつ効率的な対策をおこなうためにも、専用のDXツールを活用した業務フローの構築を進めるのがおすすめの手順です。
保険業法改正の実務対応や証拠保全には会話を記録できる「カイクラ」

2026年の法改正に伴う体制整備、とくに意向把握の記録や、言った・言わないのトラブル防止には、会話を記録できるコミュニケーションプラットフォームのカイクラが最適です。
なぜなら、顧客との会話を自動で録音し、顧客情報と紐づけて一元管理できる仕組みが備わっているからです。
手作業のメモに頼る運用では、どうしても記載漏れが発生してしまいます。しかしカイクラであれば、通話は自動で録音できます。また、対面でのやり取りはアプリで録音可能です。
録音データは、自動でテキスト化し、要約できるため、提案のプロセスを客観的なデータとしてそのまま保存できます。具体的な活用メリットは以下のとおりです。
- 言った・言わないのトラブル発生時:録音データをもとにした確実な証拠保全がおこなえる
- 監査や苦情対応時の事実確認:AIによる要約機能で、該当する会話の内容をすばやく把握できる
さらにCRM(顧客管理システム)と連携すれば、いつ、誰が、どのような意向をヒアリングし、どの商品を推奨したのかを正確なデータとして蓄積できます。
すべてが自動で記録されるため、担当者の業務負担を増やすことなく、法改正で求められる証拠保全体制を構築することが可能です。
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ここからは、実際にカイクラを導入してリスクマネジメントを強化している保険代理店様の事例を紹介します。
保険代理店における会話録音のリスクマネジメント事例

会話の録音と記録の仕組み化によって、法改正を見据えた効果的な体制づくりを実現しているのが、ライフサポート株式会社様の事例です。
同社では、年間約3,000件にのぼる事故受付をはじめ、繁忙期には1日400件もの電話の受発信があります。カイクラの導入により、日々の業務における通話を録音し、顧客とのやり取りを正確な記録として残す仕組みを整えました。これにより、万が一クレームやトラブルが発生した際にも、客観的な音声データをもとに事実関係を正確に把握し、迅速かつ適切な対応がおこなえるようになっています。
人間の記憶や担当者のメモだけに頼らない確実な記録体制は、顧客を保護するだけではなく、対応にあたる従業員を守るリスクマネジメントとして機能します。
今回の保険業法改正への対応として、実務のなかにどうツールを組み込み、負担なく証拠保全をおこなうべきかの参考になるケースです。
参考:ライフサポート株式会社様
まとめ:保険業法改正は施行済み。早急に体制整備を進めよう

2026年の保険業法改正は、これからの保険業界を生き残るために対応必須の制度変更であり、すでに施行されています。
代理店に対する体制整備義務の強化や、比較推奨ルールの厳格化などの新しい基準は、一朝一夕ですぐに対応できるものではありません。罰則リスクを確実に回避し、顧客から選ばれ続ける健全な代理店であり続けるためには、早急に自社の業務フローを見直す必要があります。
とくに、実務において大きな負担となるのが顧客とのやり取りの記録です。この課題を解決するには、日々の業務にツールを組み込むことが効果的です。通話などの音声をテキストとして保存できるシステムを導入すれば、後から会話の要点をつかみやすくなり、言った・言わないのトラブルを防ぐ証拠保全を自動でおこなうことができます。
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