カスタマーサクセスで大切なのは、顧客のニーズにぴったり合ったフィードバックをすることです。
そのためにはKPI、つまり目に見える数値指標が欠かせません。
KPIを適切に設定しているなら、顧客に的確なフィードバックやサポートが行えます。
自社のプロダクトの利用者まだ気がついていないような潜在的な課題に、先回りして対応することが可能です。
どのように効果的なKPIの設定が出来るのか調査してみました。
カスタマーサクセスのKPIは顧客の継続率重視
KPIの設定で大切になってくるのが、顧客がどれだけ自社のプロダクトを継続して利用してくれているかという点です。
サブスクリプション型のサービスでは、新しい顧客の獲得よりも既存客の解約を防止することが優先されます。
なぜなら毎月定額の料金を払い続けてくれるため、企業の利益率を上げてくれるからです。
新規顧客が大量に増えなくても既存客が解約しないことで、企業は利益を上げ続けられます。
もし解約をする顧客が増えるなら、どんなに新規顧客が増えても安定した利益を上げていくことは難しくなります。
数字上の利益だけではなく、解約客の増加にはもっと深刻な問題があります。
解約するには、解約の理由が必ずあるのではないでしょうか。
その理由を早急に解決しないと、さらなる解約客の増加に繋がりかねません。
広告宣伝費をつぎ込んで新規顧客を獲得しても、ユーザーが不満に思う問題が解決されていなければ新しい利用者もそのうち解約してしまいます。
こういった状態を防ぐために必要なのが、カスタマーサクセスの考え方です。
現在のサービス内容を細分化して満足度を数値化したり、不満度を視覚化したりすることによって継続率をアップさせられます。
カスタマーサクセスではアップセルとクロスセルが大事なの?
カスタマーサクセスのKPI設定で、アップセルとクロスセルのことも覚えておきましょう。
アップセルというのは、既存のサービスよりもさらに高いサービスを利用してもらうことです。
動画のサブスクリプション型のサービスなら、もっと解像度が高い画質で見られたり、最新の動画を見放題になったりするさらに価格の高いサービスへ変更してもらうことを意味します。
クロスセルは一つの商品に加えて、別の商品も合わせて買ってもらうことです。
インターネットショッピングをするときに、目的の商品を買うとリコメンド機能で別の商品が表示されます。
リコメンドされた商品を買って、売り上げがアップすることをクロスセルと言います。
自社のプロダクトにおいて、どれくらいのアップセルやクロスセルを達成したいのかkpiをきちんと設定しましょう。
目指すアップセルの数値を達成するためには、ベースとなる商品をどう改善したら良いのかが見えてきます。
サイトやサービスの構成を変える必要に気がつくかもしれません。
目標のクロスセルの数値を目指すことで、検索のアルゴリズムの改善やリコメンド機能の改善が進むことでしょう。
結果として、顧客はより必要としていたプロダクトを利用したり、購入したり出来るのでカスタマーサクセスがアップします。
カスタマーサクセスのKPIで意識すべき指標まとめ
ここまででいくつかの意識しておくべき指標について説明してきました。
他にも知っておくと便利な指標についての情報をまとめてみたので参考にしてください。
例えば、チャーンレートについて知っておきましょう。
チャーンレートとは解約率のことです。
カスタマーサクセスを向上させて行くには、チャーンレートを一定の基準にまで下げなければなりません。
的確にチャーンレートを算出するには、カスタマーチャーンとレベニューチャーンを考える必要があります。
カスタマーチャーンとは、既存客がどれくらい解約したかの指標です。
それに対しレベニューチャーンは、既存客の解約がどれほど収益に影響しているかを示す指標となっています。
この二つの指標を見ながら目標のチャーンレートを決めていけます。
別の覚えておきたい指標はNPSです。
NPSとはプロダクト利用者の満足度を知れる指標です。
今のサービスや商品にどれくらい愛着を持っているか、信頼感を持っているかを数字にしたものです。
この指標を出すにはアンケートで、自社のプロダクトをほかの人に勧めたいと思うかを聞くと良いでしょう。
答えを1から10の数字で示してもらい、その数字を元に指標を作っていきます。
これらの指標を参考にしていくと実際的なKPIの設定が可能になります。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートのKPIって同じ?
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、言葉が似ているので違いが分かりにくくなっています。
そのためKPIの設定も同じで良いのでないかと考える人がいます。
しかし、この二つは全く違うことを目指しているので、KPIの設定の仕方も自ずと変わってきます。
カスタマーサポートは、利用者の満足度を高める受け身の取り組みです。
顧客が自社のプロダクトを使って困ったときに助けてあげるという考え方です。
カスタマーサクセスは、利用者がプロダクトを使って成功できるように積極的に働きかけていく取り組みです。
そのため二つのKPIの設定は違ってきます。
カスタマーサポートで参考になる指標は、どれくらいの顧客の問題を一日に解決したかです。
一件あたりの問い合わせを早く解決できたか、それとも待たせてしまったかも指標となります。
サポート後に担当者の対応がどうだったか、などもKPIに欠かせないデータです。
カスタマーサクセスでは、より踏み込んだ指標が求められます。
新しい利用者がプロダクトの理解を深められるようにどんな働きかけをしているか、利用回数が減っている顧客へどんなアドバイスをしたかなどを分析しなければなりません。
実績を上げているKPIについて知っておこう
カスタマーサクセスで成功している企業は、どんなKPIを設定しているのでしょうか。
ある企業はどれくらい顧客の質問に早く対応できたのかを数値化しました。
ターゲットはサービス利用者では無く、その一歩手前の資料請求をした潜在的利用者です。
資料請求をした人が、資料を見ながらすぐに気になった点を質問できるようにチャットブースをサイトに設けました。
チャットブースを利用した人に、どれだけ迅速に対応できたかを数値化したのです。
その結果として、資料請求者に対する早い対応が市場に評価され、この企業のプロダクト契約者は飛躍的に伸びました。
別の企業はプロダクトの契約更新を指標にしています。
契約を更新しない顧客の理由を数値化し、既存の利用者が不満を持たないような改善をするようにしたのです。
細かく数値化した結果、顧客がプロダクトをよく理解していないことや、必要としている機能があるにもかかわらず気がついていないといった問題点が分かりました。
問題点を改善し、契約更新の数値を一気に上げられたのです。
カスタマーサクセスを確実に遂行して行くにはKPIの設定が必須です。
既存の顧客の継続率を意識したKPIを設けたり、アップセルとクロスセルの数値を作ったりすることが大切になります。
適切な数値設定をすることで将来的な解約を防止できますし、既存客から利益をさらに出すことも可能です。
チャーンレートやNPSといった指標についても覚えておいてください。
これらの指標があると、カスタマーサクセスが成功しているのかどうかが一目瞭然になります。
もちろん一回設定したKPIは、定期的に見直すことが必要です。
市場の変化や利用者のニーズに合わせて適宜KPIを調整していってください。
そのようにして、より一層カスタマーサクセスの質を高めていくことが出来るでしょう。