カスハラで名前を聞かれたら要注意!具体的な対処法とNG行動

近年、悪質なクレームやカスハラ(カスタマーハラスメント)が社会問題となっています。

とくに「お前の名前を教えろ!」と威圧的に名前を聞かれ、どう対応すべきか迷った経験がある人もいるのではないでしょうか。個人情報の観点から考えても、対応を誤ると二次被害につながるおそれがあります。

結論からお伝えすると、カスハラで名前を聞かれた際、個人名を伝える必要はありません。本記事では、カスハラで名前を聞かれた際の正しい判断基準と状況別の具体的な対応方法を解説します。

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目次

カスハラで名前を聞かれたら?まず知るべき基本方針とリスク

顧客に名前を聞かれても、まずは落ち着いて判断する必要があります。ここでは、以下の4つに分けて基本方針とリスクを考えてみましょう。

  1. 原則:顧客に名前を教える義務はない
  2. 個人名を教えることで生じるリスク
  3. 個人名を教えないことで生じるリスク
  4. 名前を教えろと迫る顧客の心理

それぞれ詳しくみていきましょう。

原則:顧客に名前を教える義務はない

カスハラかどうかに関わらず、接客の場で顧客に個人名を教える義務はありません。個人情報保護の観点から、法的に個人名を名乗る義務はないからです。

多くの企業では、従業員のプライバシーを守るために、名字のみの開示や部署名での対応を原則としています。

万が一、個人名を尋ねられた場合は、企業の方針として個人名の開示はできないと伝えましょう。

個人名を教えることで生じるリスク

では、なぜ個人名を教えるべきではないのでしょうか。それは、個人名を教えることで従業員の身に危険が及ぶ可能性があるからです。

たとえば、SNSでの誹謗中傷や個人情報の拡散、つきまといなどの被害に遭うリスクがあります。過去には、ネームプレートの名前からSNSが特定され、つきまとい行為に発展した事例も起こっています。

安易に個人名を教えることは、従業員の安全を脅かすことにつながるわけです。

個人名を教えないことで生じるリスク

個人名を教えることにはリスクがある一方で、教えないことにもリスクがあることは知っておくべきです。

個人名を教えないことで、顧客が不信感を抱く可能性があります。たとえば、「名前を言えないのは、こちらが何か悪いことをすると疑っているのでは?」「名乗らないのはおかしい」と、さらなるクレームにつながってしまうケースも考えられます。

このようなリスクを回避するためには、従業員の個人の判断で名前を言えないわけではなく、企業の方針であることを顧客に伝えることが大切です。

名前を教えろと迫る顧客の心理

そもそも、なぜ顧客は従業員の名前を聞きたがるのでしょうか。

その背景には、「責任者を明確にしたい」「話を通したい」という心理があります。しかし、なかには威圧や支配を目的とした悪質なケースも存在します。

とくに、以下のケースはカスハラに該当する可能性が高いです。

  • 一度断っても執拗に要求する
  • 大声で威圧しながら聞く
  • 個人を特定してSNSで晒すことを示唆する

このような場合は、冷静に対応しつつ、必要であれば上司や警察に相談しましょう。

カスハラで名前を聞かれたときの具体的な対応方法

カスハラで名前を聞かれた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?ここでは、冷静に対応するための具体的な方法を2つ紹介します。

  1. 会社の規則で教えないルールであると説明する
  2. 部分的な情報のみを伝える

それぞれ詳しく解説します。

1.会社の規則で教えないルールであると説明する

基本的には、企業の規則・方針で個人名を教えられないことを伝えます。

具体的には、以下のフレーズを使って丁寧に説明するのが効果的です。

  • 「申し訳ございませんが、会社の規定で個人名はお答えしておりません」
  • 「会社として、個人情報は開示しない方針です」

上記のフレーズを使うことで、個人の判断ではなく、企業全体のルールであることを明確に伝えられます。会社のルールであり、個人の見解ではないことを強調することで、相手は従業員個人を責めにくくなります。

2.部分的な情報のみを伝える

もし相手がしつこく担当者名を求めてくる場合は、部分的な情報のみを伝える方法もあります。

たとえば、「担当者のフルネームは控えさせていただいております」と丁寧に前置きをした上で、「苗字のみでしたらお伝えできます」と伝えてみましょう。また、社員番号や部署名で対応する方法も有効です。

これは、相手の要望に部分的に応えることで、不信感や怒りを和らげる効果があります。ただし、この方法は会社のルールとして許容されている場合に限ります。あくまでも、会社の規定を最優先にしましょう。

カスハラで名前を聞かれたときのNG対応

カスハラで名前を聞かれた際に、決してしてはいけないNG対応があります。それは嘘の名前を教えたり、ごまかしたりすることです。

なぜなら、嘘が発覚した場合、相手の怒りをさらに煽り、より大きなトラブルに発展する可能性が高いからです。相手に「信用できない」と思われてしまうと、その後の対話が難しくなるばかりか、企業としての信頼まで失いかねません。

嘘の名前を教えたことが新たなクレームのきっかけになることもあります。名前を聞かれても、会社のルールに従い対応することが大切です。

カスハラで名前を聞かれた際の企業方針と対応マニュアル

カスハラ被害から従業員を守るためには、企業全体で体制を整えることが欠かせません。ここでは、名前を聞かれた際を想定した、企業が取るべき4つの対策を紹介します。

  1. 個人情報保護の観点から個人名を非開示と定める
  2. カスハラ対策のマニュアルを作成する
  3. 具体的な状況別の対応方法を共有する
  4. 対応した従業員へのアフターフォロー体制を整える

とくに2つめのマニュアルの作成は、担当者レベルでの判断の助けにもなるので、早めに作成しましょう。それぞれ詳しく解説します。

1.個人情報保護の観点から個人名を非開示と定める

まず、企業として従業員の個人名を非公開とする方針を明確に定めましょう。

なぜなら、この方針があることで、従業員は安心して対応できるようになるからです。個人情報保護を徹底する姿勢は、従業員の安全を守るための第一歩といえます。

2.カスハラ対策のマニュアルを作成する

次に、カスハラ対策の具体的なマニュアルを作成することも重要です。

マニュアルには、どのような言動がカスハラに当たるかの判断基準や、カスハラと判断した際の具体的な対応手順を明記します。これにより、担当者レベルでも迅速な判断と対応が可能です。

とくに、名前を聞かれたときの対処法は、「申し訳ございませんが、弊社の規定により個人名はお答えできません」などの具体的なフレーズを載せておくことで、従業員は迷うことなく対応できます。

3.具体的な状況別の対応方法を共有する

電話、メール、対面など、状況に応じた対応方法をマニュアルに盛り込んで共有することが大切です。

たとえば、電話対応中に名前を執拗に聞かれた場合、保留にして上司に代わるルールを定めておけば、従業員は一人で抱え込まずに済みます。実際にあった事例を共有すれば、より実践的なマニュアルを作成できます。

4.対応した従業員へのアフターフォロー体制を整える

最後に、カスハラ対応をした従業員へのアフターフォロー体制も整えておきましょう。

カスハラ対応は、従業員の精神的な負担が大きいものです。そのため、相談窓口を設けたり、上司が積極的に声かけをするなど、具体的なフォロー体制を明確にすることで、従業員は安心して業務に取り組めます。

【状況別】カスハラで名前を聞かれた際の具体的な対処法

カスハラ対応は、状況によって適切な対処法が異なります。ここでは、以下の2つの状況別の具体的な対処法を解説します。

  1. 店舗や窓口での対面での対応
  2. 電話対応の場合

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.店舗や窓口での対面での対応

対面で名前を執拗に聞かれた場合、従業員1人で解決しようとせず、周囲のスタッフに協力を求めることが重要です。

事前にチーム内で、カスハラ対応が必要になった際のサインを決めておきましょう。これにより、声を出さなくても周囲のスタッフに助けを求められます。

防犯カメラが映る場所へ誘導したり、相手から見えやすいようにカメラの存在を伝えたりすることもカスハラの抑止になります。

大声を出す、暴れるなどの相手が興奮している状況では、個室や別の場所へ移動し、他の顧客への影響を避けつつ、冷静に対応できる環境を整えましょう。

2.電話対応の場合

電話対応で名前を聞かれた場合、通話録音が有効な手段です。

まず、電話が始まるタイミングで録音していることをアナウンスすることで、カスハラ行為の抑止につながります。

また、通話内容の記録は、カスハラ行為の証拠を残すうえでも重要です。カスハラ行為の証拠は、今後の対策や法的措置を検討するうえで欠かせません。

もし、対応が難しいと感じたときには、「申し訳ございませんが、私では判断いたしかねますので、上司に代わらせていただきます」と伝え、速やかに上司に引き継ぎましょう。

身の危険を感じたり、脅迫めいた発言があった場合は、無理に対応を続ける必要はありません。会社のルールに従って、電話を終えるようにしましょう。

カイクラでは、自動通話録音機能があります。自動で録音できるため、途中から録音を開始する操作などが必要ありません。AIによる文字起こしや要約の機能も備わっているため、事実確認を迅速に進められるメリットもあります。

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カスハラ対策で名前を記載しない方針にした事例

カスハラ対策として、従業員の名前を非公開にする企業が増えています。ここでは、実際にネームプレートの記載内容を変更したタリーズコーヒージャパン株式会社の事例を紹介します。

タリーズコーヒージャパン株式会社では、店舗スタッフがネームプレートに記載された本名をもとにSNSで検索され、つきまとわれるなどのトラブルが発生しました。これは、従業員が安全に働けない環境であり、カスハラ対策が急務であると判断されました。

そこで同社は、従業員の安全を確保するために、ネームプレートの記載内容を変更します。具体的には、本名ではなく「社員番号」や「イニシャル」で表記するようにしました。また、レシートに表示されるレジ担当者名も、社員番号での表記に切り替えました。

これにより、従業員の個人情報が顧客に知られるリスクを大幅に減らし、安心して業務に取り組める環境を整えられています。この事例は、従業員の安全を守るために、企業が積極的に対策を講じることの大切さを示しています。

参考:取組のきっかけはSNSでのつきまとい行為|カスタマーハラスメント対策企業事例

まとめ:カスハラで名前を聞かれても毅然とした態度で対応しよう

カスハラは、従業員個人の問題ではなく、組織全体で取り組むべき課題です。カスハラで名前を聞かれた際は、安易に個人名を教えず、毅然とした態度で対応しましょう。

そのためには、会社の対応マニュアルやルールを事前に策定しておくことが大切です。また、通話録音や防犯カメラの活用は、カスハラ行為の抑止力となるだけではなく、万が一の際の証拠にもなります。

まずは、自社に合った対応方針の策定と、必要なツールの導入を検討することから始めましょう。

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カイクラ 佐貫
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この記事を書いた人

カイクラ編集部です。カイクラ.magは、株式会社シンカが運営するオウンドメディアです。 「音声を記録し、会話を企業価値に」をモットーに、「会話」に関する様々なテクノロジーや最新情報、企業の業務効率化や社内コミュニケーションの活性化事例など、すべての企業にとってお役に立てる情報を幅広く発信します。

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