変革期を迎えている自動車業界。消費者行動の変化や人手不足への対応が迫られながらも、大手自動車各社は2023年4〜12月のグループ決算において、売上・利益ともに増加しています。
とくにトヨタ自動車は、グループ全体で営業利益が初めて4兆円を超え、時価総額も日本企業初の50兆円達成と好調です。この記事では、トヨタ自動車が50兆円を達成する前までの軌跡と、自動車業界の動向を紹介します。
トヨタ自動車が時価総額50兆円を達成した軌跡
トヨタ自動車は、愛知県豊田市に本社を置く自動車メーカーの最大手です。
「自動車を通じて豊かな社会をつくる」という理念のもと、事業活動に取り組んできたトヨタ自動車。2024年2月6日の東京株式市場で、一時前日比5%(156円)高の3,148円を付け、日本企業で初めて時価総額が50兆円を達成しました。
過去10年の株価で見ると、およそ2倍の上昇をみせています。
出典:日本経済新聞
トヨタ自動車の株価はなぜ上がる?時価総額50兆円につながった要因2つ
好調なトヨタ自動車の株価上昇につながった要因は、以下の2つが考えられます。
- 為替変動や販売台数の増加による業績回復
- 半導体企業への出資やEVへの積極投資
それでは、ひとつずつみていきましょう。
【要因1】為替変動や販売台数の増加による業績回復
2024年2月6日にトヨタ自動車が公表した2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績の最終利益は、同107.9%増の3兆9,472億円と大幅な増収増益となりました。
また為替変動の影響による増益は約3,800億円、原価改善の努力は資材高騰の影響により650億円の減益となっています。
営業面の努力では、ハイブリッド車を中心とした販売台数の増加などで1兆9,900億円の増益、その他スワップ評価損益などにより1,371億円の増益を押し上げました。
所在別の営業利益をみても、日本や北米、欧州、アジアなど多くの箇所で増益となっています。
営業収益は43兆5000億円、営業利益は4兆9000億円を見込み、上方修正した営業利益を達成すれば、過去最高となります。
子会社のダイハツ工業やグループ会社の豊田自動織機による不正の影響が懸念されていますが、円安効果や原価改善の努力などが追い風となり業績回復につながりました。
【要因2】半導体企業への出資やEVへの積極投資
トヨタ自動車は、TSMCの熊本工場の運営子会社JASMに出資すると発表しました。
その背景には、新型コロナウイルス禍で自動車向けなどの半導体不足に陥り、生産が滞る事態を経験したことが影響している、といわれています。
今回の出資は、半導体の安定調達を見据えた供給体制の拡充が目的です。対象となるのは日本で2番目となる工場(熊本第2工場)で「トヨタ自動車自動車の出資比率は2.0%」と発表されました。
熊本第2工場は、国内最先端となる回路線幅6ナノメートルの半導体生産(ナノは10億分の1)を予定しており、第1工場と合わせた月間生産能力は10万枚以上となる見込みです。
またトヨタ自動車は2月6日、米国ケンタッキー州の生産拠点への13億ドルの追加投資も発表しました。
追加投資はトヨタ自動車自動車が初めて米国で生産するEVと、まだ特定していない他のバッテリー駆動モデルのためのもので、バッテリーパックの組み立てラインを設置するための資金も含まれます。
TSMCの日本工場運営子会社への出資や、米国のEV工場への投資を積極的に進めるトヨタ自動車の姿勢は「トヨタ自動車の収益性と成長性の向上に寄与すると評価され、株式市場にも影響した」と考えられます。
ここまで、トヨタ自動車における株価上昇の要因を解説しました。ここであげた要因の他に、業界全体の流れとして日本のHEV技術が世界で再評価されていることも挙げられます。
ここからは、再評価される日本のHEV技術に関してみていきましょう。
再評価されている?日本のHEV技術
日本が力を入れてきたHEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)などが、EVシフトの過渡期の技術として再評価されつつある現状をご存知ですか?
HEV技術が再評価される背景には、電気自動車(EV)が抱える課題が深く関係しています。
カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、その排出量を「実質ゼロ」に抑える考え方)を目指すなかで、電気自動車(EV)は以下の課題を抱えています。
- 補助金不足や金利上昇により販売価格が高水準を維持
- 郊外での充電インフラ設備不足と航続距離への懸念
- エンジン関連の雇用喪失を懸念する声
そのため、電気自動車(EV)に変わり、同じく環境に配慮したHEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)などが再注目されるようになりました。事実、Fordなども再びHEVに注力する意向を示しています。
なおHEVに関しては、日本がシェアトップを誇っています。
出典:日経XTECH
この流れが続けば、四半世紀近くにわたりHEVの実績を重ねてきた日系メーカー、とくにトヨタ自動車の優位性が増すことが予想されるでしょう。
HEV技術もさることながら、DXやデジタル化も避けては通れない流れとして注目されています。ここからは、自動車業界の動向を紹介します。
2024年も自動車業界のDXやデジタル化は必須
変革期にある自動車業界のなかで、DX推進の流れは止まりません。
CASE(Connected:コネクティッド、Autonomous/Automated:自動化、Shared:シェアリング、Electric:電動化)やMaaS(Mobile as a Service)のキーワードを聞く機会が増えている、と感じる方もいるのではないでしょうか。
DXやデジタル化推進の背景には、インターネットの普及により自店舗での刈り取りが難しい現状が挙げられます。
他店舗と差別化を図り製品を売るためには「この店舗の〇〇さんに相談したい」「〇〇さんから車を買いたい」などの動機作りが重要です。たとえば「〇〇さん、お電話ありがとうございます」など心のこもった電話対応の積み重ねは、顧客の記憶に残り他店舗との差別化につながります。
しかし自動車業界の問い合わせ内容は、販売や車検、修理など多岐にわたります。煩雑な問い合わせに対し顧客の記憶に残るコミュニケーションをとるためには、「誰からの電話なのか」「どのような要件で電話をかけてきたのか」が把握できるシステムの導入など、情報の整理・共有が必須です。
そこで、顧客一人ひとりに合わせた応対ができるよう顧客情報を集約して管理できるシステムを導入する企業が増えています。
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まとめ:トヨタ株価をはじめとした日本の自動車業界の動向に注目
日本で初めて時価総額50兆円を突破し、2024年の2月中旬には3,300円台と、順調に上昇しているトヨタ自動車。
大手企業であるにも関わらず、経営陣は現場に直接参加し、業務の目標、内容、安全性、品質の再評価を行いつつ、未来への投資や新たな挑戦に必要な基盤を築くための努力を積極的に行っています。
労働力不足の課題克服や、サプライチェーン全体と販売店に対して人材への投資を推進し、自動車産業の魅力と競争力を向上させるトヨタ自動車の取り組みは、業界から注目されています。
一方自動車業界では、インターネットの普及で顧客の選択肢が広がったことにより、製品での差別化が難しい現状です。
コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」は、顧客情報や問い合わせ内容を一元管理できるシステムです。
着信時には画面に顧客情報が表示されるので、スムーズな対応が実現し他店舗と差別化につながります。SMS(ショートメッセージ)でキャンペーン告知やリマインドメッセージが簡単に送れるので、来店予約の確認やキャンペーンの告知が可能です。
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